中島公園最寄りのディープな資料館 渡辺淳一文学館

好きな小説家は、と問われて一時期は渡辺淳一と答えていた。
こういうのは、その時点で感性に合うものなので、変わっても良いと思っている。
彼が北海道の人である事は知っていたので、自分が北海道に移住した後、記念館でもないかと地図検索したところ、中島公園の隣りに渡辺淳一文学館があるのに気付いた。

地下鉄から徒歩5分

渡辺淳一は、失楽園でブームになった作家だが、医師免許を持ちその知識を元にした医者ものとでも言うべき小説も多数書いている。
外科医だったため、医者ものには手術描写も多い。本来はグロテスクになるであろう血にまみれた描写が、どこか艶めかしく感じられてしまう。これは文章力、文体の成せる業だろう。
ネタが面白く文体が気持ち良いとなると、好きになるのも当たり前である。

渡辺淳一文学館へは、中島公園駅が最寄りである。
札幌駅周辺にホテルを取っている旅行者ならば、地下鉄南北線で南下してすすきのの次という事になる。
2つ先にある中の島駅は、非常に似た名前をしているが全然別の駅なので間違えない事。自分も移住してしばらくは混乱した。

中島公園駅から、公園の西沿いの道を南下すると、コンクリート打ちっ放しの渡辺淳一文学館に到着する。
1階が図書スペース兼喫茶、2階が展示スペース、地下がホールとなっている。
展示スペースの入場料は500円。自分が十数年前に言った時より200円上がっていた。

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生原稿で大体目的は達せられる

早速2階の展示スペースに上がる。
それほど広くはないフロアに、渡辺淳一の作品年表と、生原稿、写真などがずらずらと展示されている。
作品年表は流石の長さだ。これを全部分かる程のディープなファンではない。
そして生原稿。結局、こういう場所に来る輩が見たいのはこれに尽きると思う。生い立ちだのなんだのは、その後の事だ。

原稿は失楽園と白い宴のものだな。失楽園は言わずもがな、白い宴は和田心臓移植ネタだったか。人々が移植心臓に踊らされる様を暗喩するタイトルセンスが、なかなかダークでゾッとさせられる。
文字は殴り書きに見えて粒が揃っている。こういう手書きの時代の人の文字というのは、機能をしっかり押さえている感じがする。むしろ、こうでないと300枚も書いていられないか。

紫綬褒章が飾られ表彰状の首相は小泉純一郎だ。
医師免許も飾られている。成績表もか。まあ人様にお見せ出来る成績だから飾っているのだろうが。
それから女性とばかりのツーショット写真のパネルもある。違和感が仕事をしていない。
何というか、どれもがファンが見たいもののツボを押さえた展示って気がする。
面積は狭いものの、密度の濃い展示だった。

総評として

ファンなら必見だが、多少知っている程度でも割に合う程度に行きやすい場所である。
中島公園はこの他にも幾つかの見所があるので、自分の趣味に合わせて散策するのも楽しい。
特に園内にある天文台は、天体観測会で開放される事があるので、タイミングが合えば参加してみるのも面白い(現在は予約制)。