炭鉱の町夕張の貴重な資料を展示「夕張市石炭博物館」

いつか夕張市石炭博物館には行っておきたいと思っていた。衰退した産業には栄枯盛衰の儚さがある。
まして地中を削り資源を掘り出すという、大規模な変化を伴う人の営みは畏敬の念も抱かせるものだ。

夕張の外れの市立博物館

数年前、夕張市石炭博物館の最寄り駅は、夕張駅だった。しかし、2019年に支線廃線となり、現在は新夕張からのバス移動か、札幌からの高速バス移動が、公式のアクセス方法となっている。
煉瓦模様の建物に「石炭博物館」のネームがついた様子は、文化会館と非常に似通っていて、市立感が著しい。
チケットを買い入場すると、人間が乗れる程の巨大な石炭がまずは目に付く。

そして改めて、これが巨大でも何でもなく、「運びやすいように砕かれた」石炭であると気付く。これを掘っていたのだなぁと思いながら、様々な展示を見進めていく。
かつて栄えていた夕張の様子や、交代制で風呂に入る作業員、ヘッドライトの大きな電池と充電ラックなど、当時を偲ばせる資料が並ぶ。更に、事故の歴史についても言及があり、炭鉱がいかに危険な場所だったかも伺い知れる。

地下展示室の坑道風展示

通常の展示を終えると、見学コースは地下1000メートルの地下坑道に入る――という設定の「立坑ケージ」と書かれたエレベーターで、地下展示室に入る。
坑道風にディスプレイされた地下トンネル型の長い展示スペースには、時折マネキンを使った時代ごとの作業風景が再現されている。
この展示を見ると、掘り出される前の石炭というのは、層なのだという事がよく分かる。その光沢から「黒いダイヤ」という表現もなるほどと思わされる。

地下1000メートル。掘削中に出た粉塵に火が付けば火災になり、湧き水に塞がれれば逃げる事も出来ない。先ほど見た事故の記録も合わせて息が詰まりそうになるが、写真に残る作業員らの表情は底抜けに明るい。
本来は、本物の坑道を残した模擬坑道が見学でるのだが、2019年に火災が発生して以来、復旧していない。
展示を終え、地上に上がった。外は雨が降り出していたが、実にまぶしく感じられた。

おわりに

一般人にとって坑道自体は、一生縁の無い異世界に等しい場所である。そこで使われる道具1つ取り出して見ても、想像が追いつかない。しかし、情景を再現し、マネキンに装着させるだけで直観的に理解出来る。石炭は、日本の産業技術の発展を支えた、大きな1つピースである。これに関わる知識を、そこに働いた人間の姿で残そうとする夕張市石炭博物館の存在価値は大変高い。

何かしらに興味を持ったなら、是非見学してみて欲しい。
注意点は「冬は閉館している」という事。こういう営業方法は、北海道の大都市圏以外の施設では案外多いので、公式サイトをきちんと確認する事をおすすめする。
そして、もう1つ、模擬坑道の火災後の修復が完了して、見学が再開された時には、是非とも行ってみて欲しい。圧巻なので。

※画像はイメージです。

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