北の千と千尋の神隠し?!現代の竜宮城??「オタモイ遊園地跡」

かつて北のウォール街といわれるほどのにぎわいだった小樽。
今は年間800万人近くが訪れる観光地でもあります。

昭和のはじめ、オタモイ遊園地という巨大なレジャーランドが小樽にはありました。
今は廃墟となり、知る人ぞ知るミステリースポットです。
経済都市として活気があった頃の小樽の残影を探しに行ってきました。

個人が私財を投げうって建設した一大レジャーランド

オタモイ遊園地は、小樽市の西にある崖地の続く景勝地・オタモイ海岸に建てられました。
鯉の養殖をしていた廣部幸太郎が建設場所を用意し、寿司職人だった加藤秋太郎が私財を投じて完成させたのです。

小樽は金融街としては繁栄していましたが、観光名所といわれるところがなく、新しい小樽の観光地として建設が始まったとされます。
私人での建設ということもあり、現存する資料も少ないため、今も謎の多い施設とされています。
一日に数千人も訪れる人気施設であったことから、当時は誰もが知るリゾートだったと考えられます。

清水寺と同じ工法で建てられたオタモイ遊園地の象徴・龍宮閣

オタモイ遊園地には、いくつもの人気施設があり、収容人数800人の大演芸場では、踊りや芝居・落語などが開かれていました。
お子様のための児童遊園は、ブランコや木馬・シーソーなどが備わった広大なグラウンドでした。

130人収容の弁天食堂では、取れたての新鮮な魚介を使用した食事の提供をしています。
また、岩を伝わる模様が白蛇を思わせるために祀られた白蛇弁天堂と悲しい伝説の残るオタモイ地蔵尊をありました。

その中でも、断崖絶壁に突き出すように建てられた龍宮閣は、オタモイ遊園地の象徴でした。
清水寺と同じ「懸け作り工法」が採用され、50人を収容する宴会場だったといいます。

今も残る写真を見ると、まるで映画「千と千尋の神隠し」の湯婆婆の屋敷のようです。
オタモイ遊園地の正式な開園がいつであったのかははっきりしていませんが、資料を総合すると、オタモイ遊園地が繁盛していたのは17年ほどだったようです。

龍宮閣の焼失と夢の里・オタモイ遊園地の終わり

北海道の巨大レジャーランドとなっていたオタモイ遊園地にも終焉が近づいていました。
きっかけは太平洋戦争です。

国民の生活が貧しくなる中、レジャーは贅沢とされ来場者が減少したのです。
さらに、崖崩れや豪雪による施設の損壊が追い打ちをかけました。
それでも、終戦後にオタモイ遊園地が再開されることが予定されていたのです。

ところが、再開を目前に控えていた1952年、失火によりオタモイ遊園地のシンボルであった龍宮閣が全焼してしまいます。
失火の原因は、漏電とも火の不始末ともいわれ、未だに謎のままです。

こうしてオタモイ遊園地は、レジャーランドとしての役目を終えたのです。
その後、崩壊の危険から残された建物も解体されました。
龍宮閣の跡地までは遊歩道が整備されていましたが、現在は崖崩れによって入れなくなっています。

心霊スポットとなったオタモイ地蔵尊の悲しい伝説

オタモイ遊園地の中には、オタモイ地蔵尊という地蔵を祀った施設があります。
現在でも、オタモイ地蔵尊は存在し、連絡をすればオタモイ遊園地跡の中に入って参拝ができます。

オタモイ地蔵尊を中心にしたオタモイ海岸の一帯は、ミステリースポットとされています。
それはオタモイ地蔵尊にまつわるある伝説が関係しているのです。

オタモイ海岸の沖には女神がいるとされていました。
そのため、この海岸あたりを女性が通ると嫉妬する女神のために、海が荒れるとされていたのです。

明治の頃、北海道へ向かう船にこっそりと一人の女性が乗っていました。
この女性のお腹には、開拓使として北海道へ渡った男の子供がいたのです。
その男を追って、この女性は北海道へ渡ろうとしていました。
オタモイ海岸沖をこの船が通ると、海は大きく荒れ始めます。

自分のせいだと思ったこの女性は、女神の怒りを鎮めるために海に身を投げたのでした。
とたんに海は穏やかになり、その後、海が乳白色になったといわれるのです。

オタモイ地蔵尊は、この伝説から子宝のご利益があるとされ参詣者が多くありました。
しかし、女神の祟りもあるともされ、女人禁制の場所でもあったそうです。

オタモイ遊園地が廃墟と化したのも、女神の怒りに触れたためでもあるかもしれません。

オタモイ遊園地跡地へのアクセス

オタモイ遊園地跡地は、小樽市の西・オタモイ海岸にあります
旧国道のオタモイ交差点から山を登るように行くと、オタモイ海岸の案内板があります。
そのまま行くと下りの狭いカーブが続きますので、その先がオタモイ遊園地の跡地です。

今はただ広いだけの駐車場となっており、遊歩道へも入れませんので、遠くから夢のあとを眺めるだけになります。
美しい日本海を前に、かつてあったとされる一大レジャーランド。
まさに夢であったと思わせる光景が今でもそこにあるのです。

住所:〒048-2671 北海道小樽市オタモイ1−20