おはようございます。紋別プリンスホテルより海に背を向け、窓の向こうには街が広がっていました。
朝にはマイナス15℃にもなる環境、道路上では除雪作業が行われていますが、それでも北海道らしく真っ白な世界です。
オホーツク海沿いにおける中心都市の紋別市にはオホーツク紋別空港があり、羽田空港とも直接結ばれています。一方で全国的に見ても鉄道空白地帯であり、交通の便が悪く訪れにくいのが正直なところです。
そんな紋別市ですが、かつては国鉄名寄本線が通っていました。紋別バスターミナルの目の前では、モニュメントによってその歴史を伝えてくれます。
今回紋別市を訪れたのは、史上最長片道切符のルートに名寄本線が含まれていたため。特に鉄道ファンだと中々来ないエリアで、今回来られたのは結構貴重な機会です。
ここ紋別と言えば流氷が有名であり、網走、知床と並んで流氷観光が人気です。せっかく紋別に宿泊して寒い朝滞在しているので、流氷観光船「ガリンコ号」に乗ってみたいと思います。
紋別中心街から流氷観光船が発着するターミナルまでは、シャトルバスが運行されています。
その名も「ガリヤ号」。流氷観光船「ガリンコ号」をもじっています。その始発地点がここ、紋別バスターミナルです。
料金は先払いで、均一運賃200円。500円の1DAYきっぷもあって、流氷科学館へ行かれる方などは便利です。
8時ちょうどに紋別バスターミナルを出発。
流氷観光船に合わせたダイヤが組まれているので、時間はピッタリでその点は考えなくても良くて楽々ですね。
途中では今日宿泊した、プリンスホテルにも立ち寄ってくれます。本来ならここから乗れば良いんでしょうが、紹介する訳なので始発から乗車しました。
続いて紋別セントラルホテルにも立ち寄ります。これらホテルから乗られる方が多くて、かなり便利に思われているはずです。
海沿いに出てきまして、左手には立派な建物が見えてきました。何かの工場かと思ったら、バイオマス発電所のようです。
オホーツク地域は森林資源が豊かで、認証林が国内で最も多い地域になっています。木質資源を燃焼することで発電していることから、立地面でも適している訳です。事業で得た収益を森林へ還元する、クリーンな循環の実現を目指しています。
15分ほどで海洋交流館(ガリンコステーション)に到着しました。
チケット購入に関しては2日前までのWEB予約もあるのですが、数日前まで流氷が見られておらず状況が分からなかったので、当日購入することにしました。
こちらのカウンターで氏名など記入して、カウンターに提出。
料金を支払いまして、チケットを受け取ります。
大人4000円となっており、学生にとってはちょっと大きい金額。それに見合う景色を見せてくれると信じましょう。
こちらが乗船するガリンコ号Ⅲ IMERU。「イメル」とはアイヌ語で光を意味します。
朱色には南極観測船のイメージのためか、観光船感を感じさせない勇ましさがあります。
船は3階建てになっていて、出入り口が2階部分です。
入ってすぐショップが出迎えてくれます。
特に目を惹くのが豊富な種類のお酒、流氷を見ながらポカポカの船内で飲めるなんて最高でしょうね…。
2階部分の通常座席がご覧の通り。足元にコンセントが備わっていたのもポイントが高かったです。
3階に上がってきまして、こちらは窓に向かって座席が配置されています。
2,3階では外にでて、直接海上の景色を楽しむことができます。氷点下2桁は当然のこと、障害物の無い海上でかなり寒いですが、折角なのでここから流氷を楽しみましょう。
ガリンコ号は海洋交流館を出港。さっきまで船の居座っていたところが空っぽになっており、周辺に氷の押し寄せているのが分かります。
よくあれが流氷と思われるのですが、あくまで「その場で氷が張っている」だけ。流氷は沖合から海上を流れ漂って来て、それが陸まで到達すると「流氷接岸」と言われます。
海面にはうすーく氷の膜が張っており、雲でフィルターを掛けられた朝日が、ぼんやりと映し出されていました。
防波堤で囲われたところから、いよいよ外の世界へ飛び出します。
このあたりの氷は本当に薄く、ちょっと波が当たっただけで粉々になります。海面がピシッと凍る段階にも至っていません。
これをじーっと見ているだけで面白かったり。
この薄い氷もところどころ境目ができており、まるで凍てついた世界の地面に川が流れているようです。ウユニ塩湖に似た、幻想的な要素があります。
25分ほど船に揺られたでしょうか、放送が流れまして一帯白い塊が近づいていることに気づきます。
よく見るとタコの吸盤みたくポツポツ小さい丸が現れていました。
更にその塊は大きくなっていき、いよいよ流氷へ突入。
一瞬にして目の前は、白い氷の板が広がるばかりです。
なぜか生き物のような柔らかさがありそう、現実逃避できる世界で触れ合いたくなります。
海の流れで生まれた雪の模様も、波が当たれば消されていくのが儚いです。
今年は流氷が中々やって来ず、氷は小さめで厚さもそこまで無いそう。しかし、雪が積もっているために存在感があって、海に浮かんでいることがよく分かります。
流氷で埋め尽くされると船は通れなくなるのですが、このガリンコ号はアルキメディアンスクリューと呼ばれるドリルで流氷を砕き進みます。今日はプカプカ浮かんでいるだけなので、そこまででは無さそう。
「道を開けろ」と言えばスルスルっと開けてくれます。
5分ほど流氷の中に滞在しまして、Uターン。段々と小さくなって隙間に見える海も広がってきました。
流氷地帯を脱出、凍っていない海が目新しくなっているぐらいですが、港へ戻ります。
カモメがいい具合に船を追いかけて来てくれました。
こんな長時間冬の海風にあたって凍えそう…、というか凍えているので船内へ入りました。直接絶景を見られて良かったですが、皆さん体は大切に。
9:40、海洋交流館に戻ってきました。
基本運行時間は1時間とされていますが、流氷が遠いと最大1時間30分まで延びることになります。
いつか見に行きたいと思っていた流氷ですが、こんなに素敵な光景とは想像以上でした。冬の北海道へ来たからには、本当にオススメできる景色です。
帰りのバス、ガリヤ号まで少し時間があるので、周辺を歩いて回ってみます。
こちらは密かにいつも探しているポケふた。全国各地に寄贈された、ポケモンを描いたマンホールです。隣接したガリヤ地区港湾緑地駐車場に設置されていました。
紋別と言えばご紹介した通り、オホーツク海に流れる流氷がシンボル。アザラシが乗っかっている様子が描かれていますが、フィクションの世界と思いきや、本当にこういう光景が見られるそうです。
北海道の場合だとどうしても雪に埋もれているのですが、かなり深いところまで掘り返して頂いてました。本当にありがとうございます…。
今度はオホーツク流氷科学センターの近くまで歩いてきまして、突如現るカニの爪。あまりに謎すぎる物体です。
これは1982年に紋別流氷アートフェスティバルで作られたもので、冬期は15年間海上で展示していたそうです。
今では紋別のシンボルで、カントリーサインにも採用されています。
それではガリヤ号に乗車しまして、紋別市街地へ戻ります。
紋別バスターミナル周辺を歩いていると、「メモリアル通」なる道を見つけました。
歩道と道路の境目には、蒸気機関車のマークをつけたポールが立っています。これは1989年に廃止された名寄本線の廃線跡を示すもの。
紋別駅跡地から南方の廃線跡は、市道「メモリアル通」に転用されています。その名前とポールがかつて鉄道が走っていた歴史を今に伝えているのです。
流氷を楽しんだところで、ここからは史上最長片道切符の旅に戻ります。国内唯一全線廃止された本線「名寄本線」をバスで辿り、湧別町を目指します。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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