北海道とポケモンの都市伝説

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「ポケットモンスターダイヤモンド・パール」の舞台、シンオウ地方は北海道をモデルにしています。
北海道の豊かな自然と、発展したビル街を楽しめる世界なのが特徴です。
2022年発売の「ポケモン LEGENDS アルセウス」では、シンオウ地方がかつてヒスイ地方と呼ばれていた時代のお話が描かれました。

ポケモンゲームには数多くの都市伝説があり、シンオウ地方も例外ではありません。
ガセネタもあれば、ポケモン公式が認めているものもあります。この記事では、北海道とシンオウ地方の怖い都市伝説でも有名なものを紹介し、考察します。
北海道観光を計画しているポケモンファンの方はぜひ参考にしてください。

目次

クロガネ炭鉱・ゴース・夕張市の関係

クロガネシティの場所は現実世界の夕張市に相当し、クロガネ炭鉱はクロガネシティの南側に位置します。
夕張市は、かつて炭鉱都市として栄えた町で、クロガネ炭鉱は夕張炭鉱をモデルにしていると考えられています。

クロガネシティとクロガネ炭鉱について語られる現実世界の都市伝説は、「クロガネシティ周辺の草むらに出現するゴースは、かつて夕張炭鉱の爆発事故で亡くなった方の魂なのではないか?」というものです。

夕張炭鉱では明治時代から1990年の閉山まで大規模な事故が何度も発生し、多くの炭鉱夫が亡くなりました。
夕張市も石炭の需要激減によって1960年代からゴーストタウン化し、現在は財政難も手伝って使われなくなった多くの建物が廃墟のような状態で残っています。

実際、北炭夕張新炭鉱では坑内発生した自己の為に火災が発生し、多くの炭鉱夫が犠牲になりました。そして坑内火災は消化することができず、行方不明者を残したまま坑道内へ水を入れたのです。
現在は閉鎖されましたが、炭鉱の入口は本来であれば安全の為にコンクリートで封鎖するのですが、「空気が通る」ようにという遺族の要望から鉄格子を付けただけになっています。
残された犠牲者が幽霊となって、炭鉱から現れるという噂もあります。

ゴースはどく・ゴーストタイプのポケモンなので、廃墟・炭鉱・炭鉱事故などのイメージと重なるのは当然でしょう。
しかし、クロガネシティ周辺にゴースは出現しません。クロガネ炭鉱とゴースの都市伝説は、夕張炭鉱で亡くなった炭鉱夫たちと、ゴースのイメージを重ねたユーザーたちの間で自然発生したものと思われます。

もりの洋館は都市伝説の宝庫

もりの洋館はハクタイの森の奥にある古い洋館です。モデルは旭川市の「21世紀の森」近くにある「学習の森」の中にあった棺桶屋敷と言われています。
棺桶屋敷とは、昔、松扇園という洋風旅館の跡地に建っている赤い屋根がある小屋の通称で、棺桶が置いてある事はありません。現在は女性の幽霊が出る心霊スポットとして有名ですが、建物は崩壊しかけて、接近するのも難しい状態になっています。

もりの洋館は、荒れ果てた内部と不気味なBGMが印象的で、出現するポケモンはゴースとゴーストです。
心霊スポットを思わせるため、「石像や絵画が主人公を見つめ続ける。」「昔、もりの洋館で殺人事件が起きた。」など多くの都市伝説が語られています。中でも、「もりの洋館には幽霊がいる。」については、ポケモン公式も認めている都市伝説です。

夜間にもりの洋館内を訪ねると、運が良ければおじいさんと女の子の幽霊に出会えます。ポケモン公式によると、幽霊の正体はポケモンを追ってもりの洋館から帰ってこなくなった孫娘と、孫娘を1人で探しに行って行方不明になったおじいさんではないかとのことです。

また、ポケモン公式はもりの洋館にロトムがいるのは、もりの洋館にいるゴースたちに引き寄せられたからと公表しています。しかし、ロトムゲット後もテレビが消えない理由については何も語られていません。

もりの洋館にまつわる都市伝説は、ゲームのクリエイターがユーザーに怖いお話を想像させるのに盛り込んだお楽しみ要素から生まれたのでしょう。ユーザーの間で話が広まったのは、ユーザーが都市伝説の根拠を求めて現実世界の伝説を探し出し、関連付けをしていったからと考えられます。

ロトムの鳴き声が「助けて・・・」と聞こえる

もりの洋館にはほかに、ロトムに関する都市伝説もあります。
ポケモンダイヤモンド・パールでロトムの声を聞くと、男性の声で「助けて・・・」と聞こえるというものです。聞こえる、聞こえないには個人差がありますが、音声をスロー再生すると聞きとりやすくなるようです。

XY以前のポケモンゲームでは、ポケモンの鳴き声をすべて機械音で表現しています。本来なら意味のある言葉としては聞こえないはずです。しかし、人間の聴覚はまれに錯覚を起こすことがあり、音を意味のある言葉として認識することがあります。

「助けて・・・」とネガティブな言葉に聞こえるのは、ロトムがゴーストタイプを持つポケモンで、怖い都市伝説が多いもりの洋館に住んでいるところから来たのでしょう。ロトムの都市伝説は、聴覚の錯覚・ゴーストタイプのイメージ・もりの洋館の雰囲気から生まれたのではないかと考えられます。

ミカルゲは人柱にされた囚人の魂?

ゴースト・あくタイプのミカルゲの正体は、人柱にされた囚人たちであるとの都市伝説があります。ミカルゲは「209ばんどうろ」にある「みたまのとう」に封印されているポケモンです。「209ばんどうろ」の場所は、北海道の常紋トンネルと一致します。

常紋トンネルは北見市と遠軽町をつなぐトンネルで、現在もJR石北本線の列車が走っています。工事は1912~1914年に行われましたが、労働力として多くの囚人が使われ、過酷な環境と作業のため、工事期間中に100人以上の囚人が命を落としたのです。

人柱の風習は世界各国にあり、常紋トンネルにも「指示に従わなかった囚人が見せしめのため、人柱にされた。」との言い伝えがあったのも事実ですが、真実だとは思われていませんでした。
ところが、1970年の改修工事の際にトンネルの壁から大量の人骨が発見されました。亡くなった囚人をその場で埋葬していたのは事実だったと証明されたのです。
1980年にはJRの旧金華駅近くに慰霊塔 「常紋トンネル工事殉難者追悼碑」が建立されています。

ポケモン図鑑によると、ミカルゲは108個の魂が集まって生まれましたが、悪さばかりしたため「かなめいし」に封印されたポケモンです。ユーザーがミカルゲと常紋トンネルで亡くなった囚人の魂を重ねたのは、ポケモン図鑑の内容も理由の1つかもしれません。
「みたまのとう」は常紋トンネル工事殉難者追悼碑をモチーフにしたのではないかと考えられます。

ポケモンやしきの謎

ポケモンやしきは、シンオウ地方の「212ばんどうろ」にある豪邸です。豪邸には自由に出入りできますが、「立ち入り禁止になっている豪邸内端メイド控室と左端にある部屋には何があるのか?」とユーザーの間で語られています。

とくに、豪邸内左端の部屋にはメイドが立っていて、ドアにも触れられない状態です。固くガードされているドアに遭遇すると、ユーザーが「その先には何があるのだろう?」と思うのは当然でしょう。しかし、実際にゲーム内で壁抜けを試みたユーザーは、ドアの先には何もなかったと証言しています。

ポケモンやしきの入れない2部屋は、ゲーム開発当初に盛り込む予定だったなんだかの設備やイベントが没になったために作られたのでしょう。ポケモンやしきは帯広市南部にある真鍋庭園に該当すると思われますが、真鍋庭園は植物園で、豪邸のような建物はありません。

シンオウ神話とアイヌ神話の関係

シンオウ地方には、ゲーム内の人々が古くから大切にしているシンオウ神話があります。シンオウ神話はシンオウ地方とヒスイ地方に伝わる神話の総称です。
シンオウ神話にまつわる都市伝説はゲーム内にとどまり、現実世界では語られていません。しかし、一部のユーザーには「シンオウ神話はアイヌ民族の信仰や伝承をベースにしているのではないか。」と考察する方がいます。

アイヌ民族は北海道で生活してきた民族です。狩猟を中心とし、あらゆるものに霊的な存在「カムイ」が宿ると考え、敬ってきました。アイヌ神話は動物の視点で語られているのが最大の特徴です。人間と動物が結婚したお話も存在します。

シンオウ神話の特徴は、シンオウ地方の伝説ポケモンを神のような存在として語られている点です。アルセウスなど伝説ポケモンによる世界創造物語・ポケモンと人間が仲良くなったきっかけ、かつてポケモンと人間は結婚していたなどのお話はアイヌ神話とよく似ています。

北海道でシンオウ神話の物語に触れたい方は、日高地方・胆振地方・阿寒湖周辺などを訪ねましょう。
アイヌ文化は道央南部から道東にかけて色濃く残っていて、アイヌ文化を紹介する施設が集中しています。

北海道でシンオウ地方の都市伝説を体感しよう

ゲーム内、現実世界にかかわらず、シンオウ地方について多くの都市伝説が生まれたのは、モチーフである北海道が自然豊かで、古くから人々が独自の文化を築いてきた土地だからではないでしょうか。

北海道には現在も、元ネタになったと考えられる施設・史実・文化が全土に散らばっています。
都市伝説にまつわる場所を巡ると、ポケモン世界についての理解がさらに深まるでしょう。

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