フレシマ湿原のゲート

寂寥とした大地「フレシマ湿原」に立つ

数年前の9月初旬、人より遅い夏休みがやっと取れたので、北海道へ行こうと決めました。
身も心も疲れ切った自分を、何とか再生したかったからです。

北海道といえば札幌すすきの、函館の夜景、小樽の運河、旭川動物園等観光地は山ほどあります・・・が、とにかく「人のいない所へ行きたい」「雄大な大地に立ちたい」との思いから、決めたのは『フレシマ湿原』でした。

『フレシマ湿原』って知ってます?

何年か前、クリント・イーストウッド監督の『許されざる者』が第65回アカデミー賞・作品賞に選ばれました。
そして、渡辺謙主役の日本版リメーク映画が公開された、その映画の一画面です。

・・・果てしない草原と海・何も無い荒涼とした大地にポツンと立つ一軒の小屋・その周りを戯れる子供達・夕日がそれらすべてを赤く染めていきます。
ストーリーよりもその1シーン一が強く心に残りました。

そのロケ地が、根室市別当賀にある「フレシマ湿原」なんです。

いざ北海道へ!

早朝、羽田から飛行機に飛び乗り、釧路に到着しました。
市内のホテルでビールを片手にノンビリ計画を立てます。
最寄りの別当賀駅へ行くには公共交通を使っては時間がかかり過ぎますし、フレシマ湿原はそこから8キロ程離れているため、レンタカーを手配することにしました。

翌朝、まずは別当賀駅を目指し出発です。釧路からは昼食時間を含め3時間を見込みました・・・所詮一人旅だし大雑把です。

途中、厚岸(ここは牡蠣が有名なので、朝食にと狙っていたのですが早過ぎてレストランは開いていませんでした・・・)を通過し、壮大な海を背景に建つ霧多布岬のドライブインで、北海道名物「スープカレー」を食べていると、地元の人でしょうか「◯◯にクマが出たっぺよ」等と話しています。
うっ・・・こわぁ?

そこから約1時間、閑散とした海沿いの道を進み別当賀の駅に着きました。
コンテナ?としか思えない駅舎、勿論無人駅です。でも、待合室は清潔でなんかホッコリさせてくれます。

これが『フレシマ湿原』だ!

フレシマ湿原のゲート

根室浜中釧路線(142号線)に出て、脇道に入ります。周りは牧草地で、牛が一斉にこちらに顔を向けます。
林が出現し、進むと素敵な別荘のような建物がありますが、全く人気はありません。
すると、突然現れました。フレシマ湿原です。

大草原と沼、かすかに海の匂いもします。
「やったぁ?! ここだ!」
でも、ゲートがあります。
「侵入禁止」の看板も・・・海まで行けません。
仕方なく車を降りタバコを吸っていると、どこから現れたのか十数頭の馬が海岸に向かって駆け抜けていきます。
「おおっ?白馬もいる!」

反対側に目を向けると沼の向こうにサイロが見えます。どうも廃屋らしく、もの悲しい風景です。
その奥は小高い丘があり、こここそがあのロケ地であると確信しました。

静寂

寂寥とした大地に立っているのは自分だけ・・・孤独です。
2日前のあの喧騒は何だったのか?
意味があったのか?
考えてしまいます。

「日が沈むまでいようかな・・・」と考え出した途端、ふと思い出しました。
ここも羆の出没地帯であることを。
後ろ髪を引かれる思いで、根室市内に向かうことにしました。

今晩はジャズの街根室で、一人ウイスキーを飲もうと決めていました。

2泊3日の旅行が終わり日常に戻りましたが、自分を取り戻すあのような空間・時間を得たことは「十分意味があった」と考えています。

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