初めて北海道を訪れたのは、今から10以上前のことで、きっかけは「農家を体験したい!」という突発的な思いでした。
長く勤めた会社を辞めて、1ヶ月のファームステイを決意。
ワクワクと不安を胸に、夏の北海道へ旅立ったのです。
はじめての北海道へ
ファームステイ滞在先は有機農家さん。
羽田空港から千歳空港に降り立ち、電車やバスを乗り継いで小さな町へ向かったのですが、地名が読めなかったのが北海道の第一印象。
町はどこでも見かける住宅地の風景のようですが、自分の住む神奈川と比べたら道も住宅地も広くて、どことなく北海道の大きさを知ったように思いました。
のどかなさを感じる風景を堪能しつつ、「1ヶ月も住み込みでうまくやっていけるだろうか?」という不安が膨らんでいき、心臓をバクバクさせながら滞在先へ到着すると、家の中からとてもフレンドリーな若い奥様が出迎えてくれます。
自分と同年代のご夫婦と、そのご両親で運営されている有機農家さんで、自宅の後ろには広い畑が広がっていました。
荷物を整理したら早速畑仕事
自分の他にも同じようにファームステイで来ている女の子や近所に住むアルバイトの方々、農業の勉強を兼ねて働いているカップルと一緒に作業を始めます。
みんな同年代であったこともあり、思ったよりも早く打ち解けていきました。
初日はヤングコーンの収穫、家の裏の畑以外に車で数分走った場所にある、いくつか農地の中のとうもろこし畑。
自分の背丈よりも高く育ったとうもろこし畑に入り、ひたすらヤングコーンをもいでいくのですが、選別が少々難しかった。
北海道の夏は関東よりも過ごしやすいが、畑仕事をしているとすぐに汗だくになります。
夕方は家の作業場にもどり、ヤングコーンの箱詰めを行って、仕事が終わったらみんなで食事。
良い意味で客人として気を遣われることもなく家族の一員のように接してくれて、自由であたたかな場でありました。
こうしてファームステイ初日を終えたのです。
ファームステイの仕事
仕事開始は朝8時からで、朝日と共に仕事を始めるイメージがあったので思いのほかにゆっくりでした。
作業は主に収穫で、ヤングコーン、とうもろこし、きゅうり、トマト、茄子、オクラ、じゃがいも、小玉スイカ、などと沢山の種類の野菜を栽培しています。
10時頃、休憩。
目の前の畑に転がる小玉スイカを、自分たちで大雑把に切り分けて食べる・・・なんという贅沢でしょう。
熱中症にならないよう、小まめに休憩をとりながら、鶏小屋の掃除や収穫野菜の袋詰め、配送準備などをこなし、毎日17時~18時頃まで仕事をしました。
農家さんの食卓
ここへ来て感動したことの一つは食材の美味しさでしょう。
農家なのだから当たり前と思われるかもしれませんが、とにかく野菜がみずみずしくて、野菜の風味や味がしっかりとしている。都会のスーパーに並ぶ野菜には、まずありえません。
そして、和える、揚げる、蒸す、のようなシンプルな調理ですが、野菜を育てるプロはその食材の最大の生かし方を知っているようで、”最高の食材×最高の調理”で何を食べても旨いのです。
もう一つ食の話ですが、こちらに来て初めて鹿肉を食べました。
なんと、こちらの農家さんのお友達が仕留めた鹿の肉を時々お裾分けしてくれるそうです。北海道の生活の中ではこうしたことは日常的にあるのに驚きます。
カレーライスでいただきましたが、鹿肉は牛赤身肉に似ていて、しっかりと食感はあるがホロホロとくずれ、若干の臭みや癖があるものの美味しかった。
こうして誰かが捕って捌いて肉となり口に入る、という一連の流れが身近な場であることで改めて「命をいただいている」ということを実感します。
どこにいようとそうした事を、頭におきながらいただかなければなりませんね。
北海道でのびのび育つ子
滞在先のご夫婦には小さな息子さんがいて、時々我々と一緒に畑へ行き、収穫の手伝いをします。
畑には沢山の虫がいて、北海道の虫はデカイのですが、彼は臆することなく捕まえ、転んで泥だらけになってもへっちゃら。
好奇心旺盛なお年頃なのか、そこら辺にある木の実に手を伸ばし食べようとするので、私が止めようとすると一緒にいたお母さんが「一度自分で食べさせてみるのも勉強だから」と採って食べることを経験させます。
もちろん、お母さん自身がその実が安全だと知っていた上での判断でしょうが、都会の子供は過保護な事が多くてありえません。
大自然に馴染んで暮らす子どもの姿をみて、とてもたくましく頼もしく感じたのです。
北海道の魅力
はじめの不安をよそに、ファームステイの1ヶ月はあっという間に終わりをむかえました。
朝日とともに起き、畑仕事で汗をかく。
自然とお腹が空き、自分達の育てた野菜で栄養を獲る。
午後の暑い時間帯は風がそよぐなかで昼寝をしたり、屋内で作業をして、夕方また畑の世話をして仕事を終える。
自然の流れとともに過ごす生活がとても心地く、人間本来の暮らしにもどったような感覚で、それとともに発見、勉強、感動の日々でした。
畑仕事後のごはんは格別の美味さが、今も忘れられません。
きっとこの地で暮らせば、困難なことも沢山沢山あるでしょう。
そんな所も含めて、今後ももっと北海道という地を知っていきたいと思います。
※画像はイメージです。
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