2020年12月の北海道コロナ事情を考察 

2020年、世界中で流行したコロナウイルス感染症は拡大・軽減を繰り返しいよいよ年末となりました。日本の中でも北海道は比較的全国に先駆けて2月後半頃から感染拡大が始まりました。第一波は4月上旬で感染者患者数740人超のピークを迎えました。その後全国にも拡大、「ソーシャルディスタンス」「自粛」「三密の回避」といった言葉や新しい習慣が当たり前のものとなりました。

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北海道の感染者数

その甲斐あってか、いったん落ち着いたものの、規制・自粛の解除とともに再度増加を続け8月に入り感染患者数2000人に迫る勢いの第二波を迎える形となりました。感染拡大の特徴としても気のゆるみからか第一波ピーク時より外出が増え、昼カラ、夜の飲食店(特に接待を伴うもの)での感染経路が目立ちました。夏休みやGo Toトラベル導入の影響も多分にあったことと考えられます。

やがて第二波が落ち着き、気温が下がり、雪も降り始めたこの11月にさらに増加傾向となり第三波を迎えている最中です。第二波までは病院以外、札幌の感染患者が中心でしたが、今回の第三波は病院での多発クラスターや病院機能停止、札幌市外での感染拡大も目立つようになってきました。11月末時点で感染患者数8000人を超える勢いを見せています。連日100人以上の新規感染者数を記録し、鈴木北海道知事は11月17日から27日までの間、市民の外出自粛を呼びかけました。

感染拡大の勢いは収まらず20日連続で100人を超える新規感染者数増加を認めました。累計の新型コロナウイルス感染症による志望者数は北海道でおよそ160人になりました。26日夕方、鈴木知事は会見を開き札幌市が全国基準ではステージ「3」相当にあるとし外出自粛・飲食店の営業時間短縮の要請を12月11日までの延長を決定しました。

日本全国と全世界の様子

北海道での感染者数拡大と同様、おおよそ同じ経過での人数の増減をたどっており、第一波、第二波での全国合計での重症化患者数は最大でも200人台後半で推移していたものの、今回の第三波ではすでに400人を超えてきています。入院患者数も第一波から第三波になるにつれて増大傾向にあり、医療機関の負担増加をしています。累計の感染者数はおよそ14万人、死者数は2000人を超えました。

医療体制や文化、保険の制度が異なるため一概には比較できませんが、全世界で見てみると感染者数は6090万人、死亡者数は143万人となっています。国別の上位3か国でいえば、アメリカの合計感染者数1295万人、死者数26.3万人、インドの合計感染者数931万人、死者数13.8万人、ブラジルの合計感染者数621万人、死者数17.2万人となっています。順位でいうと、日本は40位程度を推移しています。

死亡率では日本1.47%、アメリカ2.04%、インド1.46%、ブラジル2.76%となっています。理由は定かではありませんが、欧米に比べ日本、インド、ロシアなどアジアの方が少ない傾向にあるようです。

全体の統計的傾向として、致死率は80歳以上で15%程度と高値が目立ちます。全体の年齢での致死率は0.1~4%程度とされ、季節性のインフルエンザでは0.1%程度といわれます。上記を踏まえると、ある程度健康の保たれている若年者~壮年者層においては例年のインフルエンザ並みの致死率なのだろうと考えられます。

新型コロナウイルスの重症化リスクファクターとして高齢や内科的併存症があることがわかってきています。ところが、日本の高齢化は世界トップクラスであり、世界における人口の順位も10位となっています。上記を考慮すると、理由は定かではありませんが日本人と新型コロナウイルスの重症化のなりにくさ、日本の医療システム、政府・自治体の政策、マスク・手指消毒・きれい好きの文化などはある程度感染拡大を防ぐのに有効に働いていることが考えられます。

道内の医療機関

とはいうものの、北海道においては死亡率2.03%となっており、寒冷地につき感染の流行が他都府県に比べ早く、地方の高齢化の高さ、札幌以外の地方の医療体制の脆弱性など複数の原因が考えられ油断を許さない状況となっています。

札幌の場合、市立札幌病院、北海道医療センター、北海道大学病院、札幌医科大学附属病院などいくつかの施設が新型コロナウイルス感染症の指定受け入れ病院となっています。筆者は普段整形外科勤務医として、2020年4月以降これらの複数の施設で勤務経験があります。

流行のピーク時にはマンパワーや医療資源不足、院内クラスター発生による病棟閉鎖といった状況も起こるようになってきました。呼吸器内科の医師だけに限らず、軽症者の診療は一部私たち他科の医師も手伝わざるを得ない場面もありました。感染対策をしながらの通常医療の継続は医療資源・スタッフの心身の消耗も激しく負担が大きく、家族を含めた周囲の人々への影響も無視できません。

今後の展望

高齢者、合併症のある高リスク患者において、致死率に影響してくる因子として有効なワクチンや治療薬が実用化されていないことがあり、その開発は世界中の急務となっています。治療には既存の抗ウイルス薬やステロイド薬など既存の薬剤を転用されていますが治療効果は限定的です。治療薬としてウイルスの中和抗体薬、低分子薬の開発が進められています。

WHOの11月12日時点の発表では臨床試験に入っている新型コロナワクチンの候補は48種類(さらに164種類が前臨床)あります。米国のファイザーは95%の有効性が確認できたワクチンの開発に成功、11月20日に米国での緊急使用許可の申請をしました。日本国内メーカーでは年内から来春にかけて臨床試験の開始、数年以内の発売を目指し急速に開発が進められています。数年後には人類は新型コロナウイルス感染症を克服する展望が見えてきましたが、まだしばらく時間はかかりそうです。

※画像はイメージです。

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