懐かしい味?!初めての味?!北海道特産の「八列とうきび」

ある日。家族みんなで、いただきもののとうきび(とうもろこし)を食べていた時のこと。
その時たまたま遊びに来ていた伯父がポツリと一言。

「子供の頃によく食った、『八列とうきび』が食いてぇなぁ・・・。」

八列とうきび??八列とうきびって、どんなとうきび?

「八列とうきびっつったら八列のとうきびだ!今のとうきびみたいに甘くなくて、とうきびの味しかしないとうきびだ!」

・・・伯父よ。ヨクワカラナイヨ。
とりあえず・・。伯父の願いも叶えてあげたいし、私も興味が湧いたので、噂の「八列とうきび」探してみましょうか・・・。

目次

八列とうきび

八列とうきびとは、メキシコ料理のとうもろこし粉で作られるトルティーヤなどに使用されているフリントコーン(硬粒種)の仲間で、明治期から昭和初期にかけて北海道で最もよく栽培されていたとうもろこしです。当時は乾燥させて冬場の保存食や、粉にしてトウキビ粥などにして食べられていました。

やがて、みずみずしくて甘いスイートコーン(甘味種)などが主流となり、昭和40年代にはほとんど栽培されなくなったそうです。
現在は、北海道でも数カ所でしか栽培されておらず、収穫して一日たつと実が固くなってしまうため、流通もしていません。

かつては大通公園の「とうきびワゴン」で売られ、北海道の伝統野菜として「味の箱舟※」にも認定された八列とうきび。どこかで販売しているところはないだろうか・・・と探してみると、道の駅 三笠で販売されていることが分かりました。

これはぜひ行かなければ!

※「味の箱船」――未来に残したい味――
各地方の伝統的かつ固有な在来品種や加工食品、伝統漁法による魚介類などの中には、このままでは消えてしまうかのしれない、小さな生産者による希少な食材がたくさんあります。こうした食材を世界共通のガイドラインで選定し、さまざまな支援策によって、その生産や消費を守り、地域における食の多様性を守ろうという取り組みです。

日本スローフード協会HPより引用

道の駅三笠へ

そして、天気の良い日を見計らって道の駅 三笠へと出発。

八列とうきびとは初対面の私と、八列とうきびを伯父と同じように懐かしい!と感じる母は、それぞれのワクワクとともに、三笠へと向かいました。

道の駅 三笠に到着すると目に入るのが、焼き八列とうきびの大きな看板。

「昔の八列とうきび」「名物」と書かれていると、いやがうえにも期待は高まります。
道の駅三笠には、八列とうきびを目当てに訪れる人も少なくないんだとか。

道の駅の横にある楽市楽座と書かれた直売所が並ぶ通路を入っていきます。

中にはメロンやスイカ、きゅうりなどの農産物の直売所や、ソフトクリームやバーガーなどの軽食も売られています。

そして、私達を八列とうきびへと誘う案内の張り紙や看板があり、誘われるがまま進んでいくと・・・。

とうきびを焼く香ばしい匂いとともに焼きとうきびの販売所を発見。

近づくと、私が知っているとうきびよりも細くて長ーいとうきびが焼かれていました。

焼き場の横の壁には八列とうきびのポスターが。

とうきびが焼き上がるのを待つ間、焼いてくれているお姉さんと話していると、彼女がポスターに描かれている「おねーさん」だと気づきました。

どうやらこの八列とうきび、「おねーさん」がほぼ一人で毎日焼いているそう。

私が訪れたのは9月中旬だったのですが、「少し前は気温も暑いし炭は熱いしで、本当に地獄!扇風機があっても熱風しか来ないんだもん!」と笑いながら話してくれました。
元気で明るい「おねーさん」が焼いてくれたとうきびは、香ばしい匂いが食欲をそそります。

目的のものを手に入れた私たちは、「おねーさん」にお礼を言って売り場を後にしました。
そのまま帰ろうか、と車に戻りかけたところでいい香りを放つ一台の車に目が止まりました。

やきとり!

道の駅 三笠のもう一つの名物、キッチンカーで販売しているやきとり屋さん「くいしんぼう」。

値段は、豚串・とりかわ130円、焼き鳥160円。(日によって販売していない串もあります。)
もちろん、迷わず購入。

帰り道、用意していた保温バッグに買ってきたとうきびと焼き鳥を、しっかり蓋も閉めて入れていたにも関わらず、香ばしいとうきびと焼き鳥の香りに食欲を刺激されまくり、何かの修行かのように耐え続ける母と私でした・・・。

八列とうきび

そのまま食欲を封じる修行の末、家にたどり着いた私たち。
さっそく食欲開放です。

八列とうきびは名前の通り、粒の列は八列しかありません。
そしてかなり細くて長い。

甘くて美味しい!と最近人気の、ピュアホワイトという品種のトウキビと比べてみると、違いは一目瞭然。

一口食べてみると、水分はほとんど感じられず、ホクホクもちもちとした食感です。
果物のように口の中に水分が溢れてくるピュアホワイトとは全く違い、とうきびって穀物だっただ、と改めて実感します。そして噛めば噛むほどとうきびの味がじわじわと感じられます。

一口目は「そんなに美味しいものじゃない?!」と思った私でしたが、食べ進めていくにつれ、なんだかクセになる味と食感。
あっという間に1本食べ終わってしまいました。

食べ慣れたとうきびよりも粒が硬いのでよく噛んだせいか、もちもちとした粒のせいか、1本でかなりの満足感がありました。
そしてもう一つの戦利品、焼き鳥はというと、こちらもボリューム満点!塩加減は抜群!炭火のいい香りがして、とても美味しい焼き鳥でした♪

おわりに

伯父と母には思い出の懐かしい味、八列とうきび。初体験の私には、新鮮な味と食感が楽しめました。
しっかり自分で味わってから(笑)伯父にも思い出の味を届けました。

食べた後に、感想は?と聞くと・・・。

「美味しかった!けど・・・。」

けど??

「あんなもだったか?もっと長かった気がするな。腕の長さくらいデカかった気がするぞ。」と。

そりゃー小学校低学年の腕の長さくらいはあるでしょうよ!伯父さん、今いくつだと思ってんの!
思わぬ笑い話もおまけでつけてくれた、八列とうきびでした。

参考:
味の箱船 | 日本スローフード協会 (slowfood-nippon.jp)

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