北海道とクジラの関係

この記事では北海道とクジラの意外な関係や、アイヌの文化、ホエールウォッチングのおすすめ時期や場所についてお伝えしていきます。

目次

今、北海道で注目を浴びているクジラ

2023年 現在、北海道におけるクジラ事情や、北海道で見られるクジラの種類、場所、ホエールウォッチングのおすすめ時期などをご紹介していきます。

北海道でおこなわれているホエールウォッチング

日本には100以上の水族館があります。これは世界的にみて一番多い数です。そんな水族館ではじめてクジラが飼育されたのは昭和9(1934)年ごろです。

ただし、現在においては、残念ながら水族館でクジラを飼育・展示している水族館はありません。クジラと出会うことができるのは自然の海のみです。クジラに会うにはクルーズ船などの船に乗り、野生のクジラを観察することができるホエールウォッチングがおすすめです。

日本国内で人気が高いホエールウォッチングは以下の地域です。

  • 北海道
  • 東京都(小笠原諸島)
  • 高知県
  • 鹿児島県(奄美大島)
  • 沖縄

これらの中でも北海道ではクジラをじっくり長く、観察することが可能です。北海道でのホエールウォッチングをする際のおすすめ時期は3月〜10場所は知床や羅臼岳、室蘭などのエリアがおすすめです。冬季にはクジラのほかにもアザラシなどの生きものに、夏季にはシャチやイルカなどの生きものに出会うことができます。

北海道の海は生きものの宝庫です。マッコウクジラはもちろん、ミンククジラなどのヒゲクジラにも出会えるチャンスもあります。

北海道で見られる海の生きもの

知床、羅臼岳、室蘭などのエリアでおこなわれているホエールウォッチングでは、クジラ、イルカ、オットセイにシャチなど、おおよそ18種類もの海の生きものたちと出会えるチャンスがあります。とくに天候の良い日にはクジラとの遭遇率が高くなります

クジラの種類とホエールウォッチングベストシーズン

北海道ではシーズンごとに出会える可能性の高いクジラがいます。

  • ミンククジラ(4~7月)
  • マッコウクジラ(7~10月)
  • ツチクジラ(3~4月 / 8~10月)

出会いたいクジラや生きものによってエリア、時期を選択するのもホエールウォッチングをおこなう際の一つの手法です。ホエールウォッチングでクジラを見つけ出すためには以下のことを気にかけ、実践してみるといいでしょう。

  • 海面に目を凝らす
  • 白色の霧のようなものが海面にあがったらその周辺をとくによく観察する(クジラがあげる噴気を目印にします)

海面に目をこらしていればクジラがあげる噴気に気がつくことができます。

北海道で楽しむ!ホエールウォッチング情報!

一生に一度はホエールウォッチングを経験したい。そんな願いを叶えるために本章では北海道でおこなわれているクルーズプランをいくつかご紹介いたします。

知床ネイチャークルーズ

北海道知床半島、羅臼沖や、根室海峡を回遊するクルーズです。ベストシーズン(4月〜7月)であればクジラとの遭遇率も高いのでおすすめです。

また、冬季には、流氷によってプランクトンが運ばれてきます。プランクトンは魚たちの栄養豊富な餌です。プランクトンを求めてやってきた魚たちを目当てにクジラやイルカといった海洋哺乳類が集まってきます。この循環があるおかげでクジラとの遭遇率が高いのです。

ゴジラ岩観光知床半島ラウスクルーズ

北海道、知床でおこなわれているホエールウォッチングです。満足度の高いこちらのクルーズではホエールウォッチングのほかにも「流氷クルーズ 撮影コース」や「知床半島ウトロクルーズ」「流氷游クルーズ」など、多岐にわたるプランが用意されています。

ホエールウォッチングの料金は8,800円からとお手頃で、6歳未満の幼児は無料で乗船することができます。また、15人以上でホエールウォッチングの計画を立てている場合は10%の団体割引などが適用されます。お財布にやさしく、ホエールウォッチングを心ゆくまで楽しむことができます。

マッコウクジラやミンククジラ、ツチクジラ、イシイルカ、シャチ、カマイルカ、フルマカモメ、オオワシ、オジロワシ、アザラシ、トド、オットセイなど、出会える生きものが多いのも魅力のひとつです。(※ 野生生物のため確実に会えるとは限りません)

知床・羅臼観光船はまなす

例年4月〜9月の間に運航されているホエールウォッチングです。通常一日に2便、クルーズ船が出航します。1便は午前9時から、2便目は午後13時からと、スケジュールにあわせたクルーズを堪能することが可能です。所要時間は約3時間ほどで、料金も大人8,800円からとお得に乗船することができます。

クジラの化石がたくさん!北海道の海に眠るクジラたち

この章では、過去に北海道で白骨されたクジラの化石をご紹介いたします。じつは北海道では国内最大級となるクジラの化石が見つかっているのです

体長18メートル体重30トンの巨大クジラ

北海道、新十津川町にある物産館の2階には、500年前に生息していたとみられる「シントツカワクジラ」の骨格標本が展示されています。

なんでも533〜360万年前の地層から見つかった化石で、当時としては、国内最大級のクジラであったそうです。推定体長18メートル、推定体重30トンの巨大クジラは新種の可能性もあるとのことです。

大学生が100年前の化石を発掘

2020年。北海道教育大学の釧路校の教授と生徒たちが、約100万年前のクジラの化石を発掘したとのニュースが話題となりました。クジラの下顎の特徴からしてヒゲクジラ類であるナガスクジラ科の種類ではないかと考えられています。

当時発見されたクジラの化石は、約2300万円前〜1万1000年前の地層から発掘されたものとしては保存状態の良好な標本のようです。

北海道の海とアイヌ

アイヌの文化とクジラの関係をご紹介いたします。

アイヌとクジラ伝説

アイヌの人たちは、さまざまな動物を「カムイ」として崇めています。カムイは神の意味です。しかしながら海の生きものであるクジラはカムイと呼称されることはありませんでした。クジラはアイヌの言葉で「フンペ」と呼ばれています

陸地にクジラが座礁すると食料として蓄えることができます。クジラの肉は膨大な量です。そのため、当面のあいだ、食料に困ることなく生活をすることができたそうです。それらのことからも座礁したクジラは自然からの恵みと考えられ、「寄りクジラ」と呼ばれていました。

北海道の伊達市、有珠町に「チャランケ岩」と呼ばれる岩があります。このチャランケ岩にはちょっとした伝説が残されています。伝説は以下のとおりです。

ある時、座礁した寄りクジラの肉を争って二人の村長が議論をしました。その議論があまりに白熱したため、双方は疲れ果て、やがて岩になってしまったという伝説です。そのほかにも「厚肉の砂鯨」といったクジラにまつわる伝説が残されています。

クジラではなく、シャチが神様?

クジラの座礁はアイヌの人たちにとって重要な食料となりました。そのことを喜ぶ踊りなどもあったくらいです。しかしながらアイヌの人たちがクジラをカムイ(神)として呼ぶことはありませんでした。

いっぽう、同じ海の生きものであるシャチは「イコイキカムイ」という神の名で呼ばれていました。クジラを岸へと追い込むシャチの存在を尊重していたようです。

ちなみに「イコイキカムイ」はクジラをいじめる神という意味です。シャチはイコイキカムイのほかにも、沖の神として「レプンカムイ」とも呼ばれ、崇められていました。

正月料理で欠かせない? クジラ汁の郷土料理

クジラの肉を使用したクジラ汁は郷土料理として、古くから北海道に伝承されてきました。塩くじらの肉に、こんにゃく、大根、豆腐などの材料を使ったクジラ汁は、道南地域の正月には欠かせない品となっています。現在においても正月の三が日にはクジラ汁を食べるといった習慣があります。

一部の地域では「くじな汁」とも呼ばれ、地元の方に親しまれている料理のひとつです。

北海道は、江戸から明治時代にかけてニシン漁が盛んにおこなわれていた地域でもあります。ニシンを岸へと追い込んでくれるクジラは、縁起のいい動物として崇められていました。

北海道のような寒い地域において、タンパク質が豊富で栄養価の高いクジラの肉は、貴重な食べものです。凍てつくような冬を乗り切るために重宝されてきました。クジラ肉を長く保存するためにクジラ汁で使用される肉には塩を使用していたそうです。

現在でも各家庭でクジラ汁は引き継がれています。また、道南地域でおこわれているイベントでクジラ汁が登場することもあります。

クジラ肉は飲食店にも

郷土料理としてクジラ汁をご紹介しましたが、じつは北海道の飲食店でも手軽にクジラ料理を堪能することができます。クジラ料理を扱っているいくつかの飲食店を以下にご紹介いたします。

酒菜亭 嬉八

JR石北本線から歩いて12分の場所にあるクジラ料理を中心とした飲食店です。顧客満足度が高いお店で、クジラ料理のほかにもお刺身や地酒など、種類が豊富に取り揃えられています。

旬味 千

五稜郭公園から近い立地にあるクジラ料理を提供している居酒屋です。クジラ肉を使ったお刺身やステーキ、くじら肉のベーコンが人気のお店です。クジラ料理のほかに、ふぐを使用した料理などを楽しむことができます。

鴨とり権兵衛

北海道釧路市にある居酒屋です。レトロな内装は女性にも大人気。夜の11時まで営業していることもあり、気軽に立ち寄れる居酒屋として親しまれています。クジラ料理、海鮮料理、魚介料理を専門に取り扱っているお店です。

さいごに

2023年1月。大阪湾にマッコウクジラが迷いこんだというニュースが報道されました。マッコウクジラは深水2000メートルを潜ることができるハクジラ類の中で最大のクジラです。
そんなマッコウクジラがどうして大阪湾に迷いこんだのか、不思議です。海は謎に満ちています。わたし達が知っている海の世界というのはごく一部でしかないんだなぁ、ということをあらためて実感いたしました。
この報道もあいまって自然の海で野生のクジラをウォッチングし、海への理解を深めていきたいという気持ちが高まってきました。

今回は、北海道とクジラの関係性について書かせていただきました。北海道という地がホエールウォッチングに適しているということ、北海道で発見されたクジラの化石や、アイヌの人たちが残したクジラの伝説、古くからあるクジラ肉を使った伝統料理……。

北海道とクジラの関係は深く結びついているということを心から感じました。一生に一度はクジラを間近で見てみたいものです。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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