鹿追町老人ホーム殺人事件のミステリー

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1997年、鹿追町の老人ホームで入所者が殺害されましたが、室内は襲われた形跡はなく、奪われたものも確認できません。
高齢男性はなぜ狙われたのか、姿の見えない犯人の正体とは。
未解決となった「鹿追町老人ホーム殺人事件」のミステリーに迫ります。

目次

事件概要

1997年6月3日午前12時30分頃、北海道河東郡鹿追町北町にある特別養護老人ホーム「しゃくなげ荘」で、当時80歳だった入所者の沼倉忠さんが何者かに刺されました。

第1発見は、巡回中だった施設職員の女性Aさん。
忠さんはベッドの上で仰向けに倒れ、首から血を流して亡くなっていました。
司法解剖された結果、死因は頸動脈切断による出血性ショック。凶器は現場から見つかっていません。

彼の部屋は「ぼたんの間」と呼ばれる個室で、施設の西側にありました。
入口と廊下の間はアコーディオンカーテンで仕切られ、誰でも自由に出入りできる状態ですが、4カ所ある施設の出入口は定期的に職員と警備員が点検し、当日は異常もありませんでした。

どこから侵入したのかといえば、窓から足を踏み入れたのです。
忠さんは部屋にある窓の鍵をかけ忘れることがあり、窓枠に残された足跡が確認され、警察の鑑定ではアメリカ製の某高級スニーカーとも特定されています。

枕元の緊急呼び出しブザーが鳴らなかったことから、寝ている間に襲われたと判断されました。

なぜ高齢男性は殺されたのか?

被害者の忠さんが入所したのは、事件から8年前の1989年11月。
大声で怒鳴り散らすほど気性が荒く、息子たちは面倒を見切れず、認知症の症状も現れていたため、施設へ預けることになったのです。
事件当時は1人で歩ける状態になく、いずれか遠くないうちに最後を迎えるという状況でした。

そうなると遺産目当てで殺害だと思うでしょうが、資産と呼べるものはなく、あえて今さら殺害する意味がりません。
では誰が?なぜ?忠さんを死に至らしめたのか。

【考察1】無視できない30代の男

事件1カ月前の5月12日、忠さんは左目の下から血を流して2針縫うケガを負いました。
そのとき「30歳くらいの男にやられた」と発言しますが、施設側は認知症が進行していた彼の話を信じません。
確かに正しく判断できないかもしれないし、思い付きを口走った可能性もあるでしょう。
何かにぶつけた傷と判断し、警察へ通報しませんでした。

「自分でぶつけたことを隠したい」「職員の気を引きたい」という理由から、嘘をついたとも考えられますが、彼は負傷してまで自分を正当化するためでも、妄想を膨らませるでしょうか。

これまで何度もやり取りし、相手にされないことは感じていたと思われます。
それにも関わらず話したのは、事実だったからではないでしょうか。

【考察2】闇落ちしたX

「しゃくなげ荘」のある鹿追町は人口約4,900人。
老人ホームの周囲は田園地帯、商業施設もないため、用事がなければ訪れる場所ではありません。
金銭目当ての物取りではなく、忠さんに対する怨恨でしょう。

だとすれば、犯人は彼の状態を知っている身近な人間。
身内や職員は事情聴取を受けていますが、犯人だとすれば本当のことは言いません。
警察は説明された事情を受け止めるしかなく、気になることがあっても追及できなかったのではないでしょう。

その根拠としては忠さんの性格で、気分が損なわれると窓から物を投げていました。
職員が着替えさせる目的でかがみ込んだ際、嫌がって顔を蹴ったこともあります。

病状の安定を願って一般病院へ転院したときは、医師や看護師に抵抗。
他の患者とも衝突するため、老人ホームへ戻されました。

そのせいで責任者は職員と忠さんから責められ、逃げ場のない環境へ追い詰められたかもしれません。
つまり彼は、施設にとって扱いの難しい厄介者。
「放っておいても亡くなる」「今さえ我慢すれば」
そう感じていたとしても実際に手を煩わされ、我慢の糸が切れたとき、犯してはならない一線を越えた可能性も否定できないのです。

犯人がXである証明

夜間は職員2人と警備員1人を合わせた3人が担当していました。
前日6月2日午後11時の巡回では、異常がありませんでした。
次の巡回は、Aさんが訪れた翌3日午前12時30分で、犯行は巡回と巡回の間、1時間30分の間に行われている。

こういった情報を知るのは、内部の人間でなければ不可能。
もちろん「運良く巡回の間に凶行へ及んだ」という見解はあるものの、動機が怨恨である以上は確実に仕留めたいはず。それを前提に考えれば、巡回を避けられる時間帯でなければならない。
第3者への嘱託もあり得ますが、巡回時間を知っているのは内部の人間であり、 Xが関係者である確率も高いのではないでしょうか。

「それなら証拠も見つかるのでは?」と思われるかもしれませんが、当日はパニック状態。
現場は多くの人が出入し、荒らされたと言われています。
警察は現場保存を試みていますが、証拠はどさくさ紛れてもみ消されたと想定されるでしょう。
そのため見当はついたかもしれませんが、決定打に欠けたのではないでしょうか。

事件の顛末

忠さんを殺害した犯人は、今も逮捕されていませんが、殺人罪の時効は刑法が改正され撤廃されました。
適用条件は、廃止された2010年4月27日までに成立してないません。
この事件は1997年6月3日に発生し、廃止日までに12年10カ月しか過ぎていない。

すなわち時効はまだ有効。
Xは、この先の人生で逮捕されないとも限らないのです。

※画像はイメージです。

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