函館市の旧戸井線 コンクリートアーチ橋

一般的に知られている函館の観光名所は、明治・大正時代の建物が残り異国情緒あふれる街並みで知られる西部地区や夜景が見られる函館山、戊辰戦争最後の戦いの舞台となった五稜郭、北海道三大温泉の一つである湯の川温泉など、その多くが市電(路面電車)の線路沿いにあります。
今回はそのエリアから少し離れたところにある旧戸井線コンクリートアーチ橋について紹介します。

目次

歴史と概要

もともと「戸井線」は国鉄の前身にあたる鉄道院の時代に津軽海峡の防衛という主に軍事目的で構想され、現在のJR五稜郭駅で函館本線から分岐し、湯の川や汐首を経由して現・函館市東部にある戸井までを結ぶ路線として計画されたものです。
1936年に着工し計画の9割の長さまで建設が進みましたが、1943年に戦時中の資材不足によって中断となり、物資輸送のために使われた時期があったものの、終戦後も建設が再開されることはありませんでした。

1950年代に入り青函トンネルの必要性が議論された際、距離の短さから青森県の下北半島を経由して戸井線につなぎ函館まで向かうルートも案として出されましたが、トンネルを通す海底の深さや周辺に火山性の山が多いことを理由に津軽半島と渡島半島西側を結ぶ現在のルートに決まり、結局完成することなく今に至ります。

輸送用の鉄道という当初の目的としては利用されなくなった戸井線ですが、特に知られているのがタイトルにもあるコンクリート製の「アーチ橋」です。戦前・戦中という鉄材の不足している時代に作られたためにコンクリートが使われたと言われているアーチ橋は非常に美しく、まるで南ヨーロッパの一風景を思わせます。

おすすめポイント

ぜひ楽しんでもらいたいのは、海に面した山に沿うように作られた美しい形状と、築80年以上という歴史を感じることのできるコンクリートの重厚な雰囲気です。
またアーチ橋を見られる道から5分ほど歩いたところには「本州に最も近い(17.5km)北海道の岬」でもある汐首岬があり、晴れた日には遠く青森県の大間を望むこともできるスポットになっています。

アクセスに関しては函館駅から車で約30分、バスで1時間(汐首灯台バス停)ですが、バスに関しては最も多い日中で約1時間に1本の運転のため必ず事前に時刻表をチェックし、行きと帰りの時間を決めてから行くのが良いでしょう。

旧戸井線コンクリートアーチ橋のアクセス情報

住所:函館市汐首町
最寄り:汐首灯台バス停
※観光施設ではありません。近隣に民家がありますので、配慮のうえでの見学をお願いします。

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