木彫りの熊といえば北海道、北海道といえば木彫りの熊のイメージですよね?
そもそも、なぜ北海道のお土産は「木彫り熊」なのでしょうか?
そして、道民の家には「木彫り熊」があるのでしょうか?
今回は北海道の「木彫り熊」について話ます!
木彫り熊とは?
木彫り熊は熊の形に彫られた民芸品で、よく見かけるのは四つん這いの熊が鮭をくわえているものではないでしょうか。実はそのメジャーな「鮭をくわえた熊」以外に、なにもくわえていない、立ち上がっている等、様々なデザインがあります。
熊は生まれたときは手のひらに乗るくらい小さいサイズですが、大人になると人間より大きく成長することから、「大きく成長する・大物になる」という意味が木彫りの熊には込められ、槐(エンジュ)という家の大黒柱に使われ木で作れたものには「厄除け・魔除け」の効果もあるようです?
木彫り熊の発祥は?
木彫り熊の発祥は道南の八雲町と言われています。渡島半島の函館の少し上に位置する町で、明治維新後に尾張徳川家が開拓しました町です。
今から約100年程前、八雲町ではじゃがいもの栽培から酪農への転換期にありました。そのため農民たちの暮らしは、非常に貧しいもの。毎年のように八雲町へ訪れていた、徳川農場の農場主で第19代当主「徳川義親」は農民の暮らしぶりを目にして心を痛めていたのです。
義親は1921にヨーロッパへ旅行し、スイスのベルンの土産店で民芸品の木彫りの熊を購入しました。それを八雲町へ持ち帰り、これを手本に農作業ができない冬の期間に製作して収入源にしてはどうか?と住民たちに提案しました。
これが八雲町の「木彫り熊」の始まりと言われています。
もうひとつの発祥地 旭川
当初、八雲町の木彫り熊はスイスの民芸品を手本に作られたため、あのメジャーな「鮭をくわえたスタイル」ではなかったようで、「鮭をくわえた熊」は、もうひとつの発祥地と言われる旭川にルーツがあるようなのです。
1926年、旭川に住むアイヌ民族の松井梅太郎は熊狩りに向かいました。しかし、熊を取り逃がしてしまった上に大怪我を負い、その熊を忘れることができずに木で熊を彫り始めたそうです。
アイヌの人々にとっての熊は、「キムンカムイ(山に住む神)」と呼ばれ高位の神です。アイヌ民族の男性は、たしなみとして小刀「マキリ」を使った木彫りの技術を習得し、古くから神具に熊を彫っていました。
そのような背景から、梅太郎の彫った木彫り熊に人々は魅了されたのかもしれません。こうして梅太郎の木彫り熊の評判を聞きつけ、次々に木彫り熊を彫りはじめ、観光みやげとしての木彫り熊は大ヒット商品となっていきます。
ちなみにですが旭川の木彫り熊のルーツは八雲町から影響を受けたという説と、旭川独自のアイヌ民族由来ものという説がありますが、定かでは無いことを付け足しします。
一家に一つ木彫り熊?!
みなさんのご自宅には木彫り熊ありますか?
その昔、ほぼ各家庭に一匹、木彫り熊がいたのではないか?というくらい見かけた気がします。
関東にある私の実家にもあって、子供の頃ピアノを習っていた教室のアップライトピアノの上にも、鮭をくわえた熊が鎮座していましたのを覚えています。(笑)
その理由の一つは、昭和30〜40年代にかけての「北海道ブーム」。
北海道をテーマにしたドラマや映画が数多くヒットした事もあって、多くの人々が北海道を旅行し、修学旅行先にも選ばれるぐらいでした。
そこでお土産といえば、北海道らしい木彫り熊。
自分用や家族、親戚、お友達へと一躍大ヒット商品となり、まさに北海道土産の代名詞として、全国各地一家に一つ木彫り熊の時代がやってきます。
爆発的な売れ行きのため機械による大量生産がされた物も多く、粗悪品が出まわるなど、本来の伝統工芸品としての魅力が薄れてしまった。そこに生活様式が変化で、木彫り熊は重くて置き場所に困る存在となり、売り上げは徐々に減っていったのです。
再び注目される木彫り熊
木彫り熊の発祥地、八雲町の木彫り熊資料館があり、様々なスタイルの木彫り熊が展示されています。
旭川の熊は毛並みが彫られているものが主ですが、八雲のものは表面がつるっとしてる傾向があり、地域差や作家さんの作風の違いと、様々なスタイルの熊がいるのです。
最近では木彫り熊を広める活動をする団体により展覧会などが開催され、伝統的な技術も含めて、座っていたりスポーツをしていたり?!様々に描かれている熊のかわいさもアピールされ、国内だけではなく海外の人々にも注目しれてるようになっているです。
有名な作家さんがつくった木彫り熊は、足の裏などに作家さんの名前やサインが彫ってあり、熊によってはプレミアがついてはネットオークションなどでトンデモナイ値段で売買されている物もあります。
みなさんのご自宅に木彫り熊があるようでしたら調べてみてください。もしかしたらお宝かもしれませんよ?
私が持っているのは、まだ北海道に移住する前、自分用のお土産に購入した手のひらサイズの「鮭をくわえた熊」です。小さくてかわいいなと思って買いました。とてもかわいくてお気に入りですが、残念ながら作家さんのネームらしきものは彫ってありませんでした。(笑)
果たして道民の家に木彫り熊は存在するのか?!
道民の家に木彫り熊があるかと言うと・・・私の家族、親戚、友人、知人に聞いてみたのですが、どこの家も見当たりませんでした!
やはり、北海道のお土産だからでしょうか?
しかし先日、テレビで見ていると発祥地の八雲町は、木彫り熊をお持ちのお宅が多いようで、家庭を持つ際に縁起物として贈られたり、作家さんの作品として購入する方もいるそうなのです。
木彫り熊には、歴史といろいろな種類があるのを解って頂けたでしょうか?
これから道内を旅行する際、木彫り熊の売場に注目してしまいそうで、その地域ごとの木彫り熊を見つけるのも旅の楽しみになるかもしれませんよ?
みなさんも北海道へお越しの際には、ご自宅にある方もない方も「木彫り熊」に注目してみてくださいね!
※画像はイメージです。
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