函館に旅行にいったとき、叔父が体験した不思議な話です。
とある山の上にある北海道の自然に囲まれた静かなホテルに、家族全員で一泊します。
ですが叔父が仕事の都合があって、後から合流する事になり、先に到着したホテルで私達家族は叔父を待っていました。
時間も遅くなり送迎バスもなく、叔父はホテルへは近隣の駅からタクシーでホテルに向かう事にしました。
「A山の上にあるホテルまでお願いします。」
と叔父はタクシーに運転手さんに伝え乗車。
すると、タクシー運転手さんは、
「A山ですか。そうですか。A山、行けるかなぁ、」
と話しかけてきます。
叔父はジョークだと思い、タクシーが出発すると長旅の疲れから眠ってしまいました。
しばらくすると真っ暗闇な山の中で目を覚まし叔父は、
「ここはどこですか?」と尋ねると、「A山です」とタクシー運転手は答えたそうです。
「ホテルまではあとどれぐらいですか?」
と訪ねても、運転手はなにも言わずにただ黙って運転を続けています。
しばらく様子を伺っていると、どうもおかしい?と叔父は思います。
距離からすると駅からホテルまで20〜30分もかからず到着するはずです。
「ホテルまではあとどれぐらいですか?」
と何度聞いても返答のない運転手に、憤りを感じた叔父は、
「ホテルに行ってもらわないと、困るんだよ!」
と少し強めに訴えると、運転手さんは突然車を止めて、
「代金は5000円位だけど、要りません。」
「ここを真っ直ぐ登るとホテルがある、10分位だからホテルから迎えに来てもらって合流してください。」
「申し訳ありません」
と言い出します。
叔父は、
「こんな中途半端な場所に降ろされても困る」
「失礼があれば謝罪するので、ホテルまで乗せて欲しい」
と何度も話すのですが、どういった理由なのかは解りませんが、頑なに拒んでタクシーから降ろされてしまいました。
真っ暗な山の中の道で途方にくれてしまう叔父。
かといって何時までもここにいる訳にもいかないので、ホテルに電話しますが話し中、何回電話しても話し中。
ホテルには繋がりませんが、私の携帯には繋がり、事情を説明されました。
私は状況が状況なので、ホテルで懐中電灯を借りて、歩いて迎えに行く事にしました。
一方、連絡をしながら、叔父も真っ直ぐ歩いて向かっています。
ホテルを出て真っ暗な夜道をしばらく歩いていくと、パチ、パチ、パチパチと拍手の様な音を聞きました。
怖いと言うよりも、暗闇で何かイベントを開催していると思う様な感じです。
私はどこでやってるのかな?テレビ番組のドッキリかな?なんて思ったほどです。
しばらくすると、今度は笛の様な音が聞こえたのです。
警察の笛の様な音です。
真っ暗闇、拍手の音、笛の音・・・
これは絶対撮影だ!テレビ番組のドッキリの撮影だ!と思い、私は真っ暗闇なのに嬉しくなりました。
またしばらく進むと叔父の携帯のライトの光が見えてきて、二人は合流しました。
叔父に途中で聞いた、パチパチと拍手の音、笛の音の話をすると、叔父も同じように聞いていて、叔父は鳥かと思ったと言っていました。
真っ暗闇の中、叔父と私は顔を見合わせて、何だろうと?
もし撮影なら何らかの光はあるだろうけれど、山の中には光は全くありません。とたんに怖くなりました。
そうすると大きな笑声が聞こえてきました。確かに人間の笑う声。
もう怖くなり2人で走ってホテルに向かいました。
叔父は、ホテル到着するとあまりの怖さにフロントにいる従業員に文句を言い出します。
「なぜ話し中で電話がつながらないのか?」
と伝えるとフロントの従業員は、
「電話が話し中と言う事はないです。電話かかっていないですから。」
と言われるのでした。
そんな事無いと思い、携帯の通話履歴をみると、ホテルにかけたはずなのに知らない電話番号になっています。
たしかにホテルの電話番号へかけたのに、なぜか全く知らない電話番号になっていて叔父は首をかしげるのでした。
試しにその電話番号にかけても、現在使われていませんとお話中ではなく、全く通じません。
そして翌日、叔父はタクシー会社になぜ途中でおろされたか、原因を追求するために連絡しました。
電話にでたタクシー会社の方に、運転手の名前は分からないけど、年齢と時間を伝えました。
そうすると
「○○さんかなぁ・・・」とつぶやきます。
なんとなく通話履歴にある携帯の番号に心当たりがあるかと聞いてみると、タクシー会社の方は、その運転手の携帯番号だと答えます。
それと同時に、
「何故ご存知なのですか?」
と驚くながら聞き返してきました。
その反応を不思議におもった叔父は、「○○さん」は誰なのか?と聞くと、タクシー会社の方の話では・・・
○○さんはすでに亡くなっていました。事故でもなく、自殺でもなく、函館山で突然死だったそうです。持病の心臓発作。
しかも1か月前の昨日。同じ場所・・・・。
私が思うのは、タクシー運転手さんは天涯孤独で家族もなく全くの1人暮らしだったそうで、寂しかったのか、成仏するのに誰かが必要だったのでしょう。
笛の音はその時の警察の笛、拍手は来てくれてありがとう、笑声は安堵・・・・だったのでは今では思います。
叔父と2人でその場所に手を合わせ心から成仏をお祈りしました。
※画像はイメージです。
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