大学生ひとり旅、日本の果て「宗谷岬」まで行って来た。

車が好きすぎて、気づけばとんでもない距離を走ってしまう。そんな「距離ガバ勢」の私。

大学2年の夏、ふと「日本の果てに行きたい」と衝動的に思いました。
その強い思いだけを頼りに、親の車を借り、埼玉から北海道の宗谷岬を目指して出発したのです。

お金はほとんどないけれど、時間だけはある・・・。
ガソリン代以外に使う余裕はないので、寝泊まりは車で済ませます。自宅の布団を後ろの座席へぎゅうぎゅうに押し込んだ、破天荒な旅の始まりでした。

目次

新潟から小樽へ

車で行く北海道への第一歩は、新潟港から新日本海フェリーに乗る。

フェリーの旅は安いが、決して快適ではありません。
客室は雑魚寝フロアで、周囲のイビキと下から突き上げてくるようなフェリーのエンジン音に包まれ、眠れずにウトウトとしながら過ごし、朝方5時すぎに小樽へ到着。

朝方5時すぎ、小樽に到着。
船を降りると開いている店は一軒もなく、肌を刺すような冷たい風が吹きつけ、眠気と寒さで思考はぼんやりと霞みます。それでも、「ここは北海道だ」という実感が、押し寄せる波のよう押し寄せてきます。

目指すのは、日本最北端の宗谷岬。まだ道を、車を走らせたのでした。

車中泊はやめられない

北海道へ降り立った日は、船での疲労もあって早い時間に休む事にしました。

まだ人の目はありますが、道の駅の駐車場に車を止め、軽く背もたれを倒し、自宅の布団をそのまま突っ込んで寝床にしました。ふかふかだけど、少し切ない旅の部屋。

コンビニで買った缶チューハイを布団の中でこっそりあけ、メシは北海道ローカルグルメのオンパレード。
セイコーマートのおにぎり、そしてド定番「焼きそば弁当」、北海道限定「ガラナ」。

湯切りして、スープ飲んで、フーフー言いながら頬張る焼きそば弁当の味。
誰もいないという自由さと開放感は、青春のご褒美でした。

そして宗谷岬へ

北へ北へと走る道、だんだんと店もコンビニもなくなっていきます。
そしてついに、宗谷岬に到着しました。
「日本最北端の地」と刻まれた石碑は、思ったより小さかった。

夏でもお盆を過ぎた頃だったので、誰もいません。
波の音と風の音しか聞こえず、その静けさがむしろ心にしみます。

「ここが、地図のいちばん上か」

黄昏れながら、日本の果てで太陽を見送り、あの時ほど贅沢な時間は無いでしょう。

そのまま駐車場に泊まり、達成感となんだか言い難い背徳感を交互にかみしめながら、焼きそば弁当を食べました。
すべてが馬鹿みたいに思えたのですが、でも最高だった。

僕の宝物

帰りがけ、「最北端給油証明書」がもらえると聞いていた、日本最北端のガソリンスタンドで給油しました。
でも何も聞いて来ないので、勇気を出して、こちらから話しかけました。

「すみません、あの証明書って、もらえたりしますか…?」

スタンドのおじさんは笑いながら「ああ、よく来たね」と、証明書を手渡してくれました。

紙一枚なのに、何千キロの旅の重みがそこにあり、間違いなく、僕の宝物のひとつです。

旅の終わりに

車を借りると言ったものの宗谷岬まで遠征するなんて、親は思ってなかったのでシコタマ怒られました。
布団とスーパー飯で過ごした貧乏旅。
あのとき感じた自由は、本当にかけがえないものです。

宗谷岬に立ったことで、僕の中にスイッチが入り、日本の“果て”を制覇する旅が始まったのです。
長期休みのたびに、東北制覇、関西制覇、四国、九州の果てまでも。

金なんてなくていい。快適さなんて二の次。
ただ「行きたい」と思う心と、実行するちょっとの覚悟さえあれば、日本のてっぺんには誰だって立てます。

※画像はイメージです。

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