北海道江差町では、毎年八月の上旬に「姥神大神宮渡御祭(うばがみだいじんぐうとぎょさい)」がに行われます。
江差町姥神神社渡御祭は蝦夷地最古と伝わる由緒ある祭りで、江差っ子にとっては一年で最も待ち遠しい日であり、町を離れた人々もこの時ばかりは帰郷して祭りに備えるのです。
夏休みに入ったばかりの夕暮れ時、町のどこからか太鼓や笛の音が響き、夏休みに入った夕暮れ時、町のどこからか太鼓や笛の音が響きます。
世代を超えて伝えられていく、この祭りを紹介します。
山車と町内
祭りの中心となるのは、町内ごとに受け継がれてきた13台の山車(やま)です。
山車の人形は当日、姥神大神宮で「魂入れ」の神事を受けて初めて神聖な存在となり、その瞬間から祭りの主役になります。
愛宕町の山車「神功山(じんこうざん)」は、江差の山車の中でも特別で、飾られている人形は宝暦四年(1754年)に作られ、江差に現存する最古のものと伝えられています。
海岸町と陣屋町の「松寳丸(まつほうまる)」は、名の通り船の形をした山車で、現存する唯一の舟形ヤマとして知られ北海道指定有形民俗文化財にも指定されています。山車の船首にちょこんと腰掛ける童子の姿は、祭りを見守る守護のようにも思えてしまうので。
橋本町の山車「聖武山(しょうむざん)」は、江差祭りの中でもとりわけ観客を驚かせます。
明治二十二年(1889年)と比較的新しく作られた山車ですが、最大の特徴は「動作人形」。
聖武山の人形は首や腕を動かすことができて、祭りの巡行ではまるで生きているかのようです。
他にも、源義経、平家の武将 悪七兵衛景清、ヤマタノオロチ退治などなどと、それぞれに特色ある山車が、揃いの法被を着た町内の人々によって引き回され、太鼓と笛の響きの中で進む光景は圧巻です。
お祭りのいろいろ
昼間の巡行は子どもたちが主役。幼い子どもも母親と一緒に綱を握り、小学生は太鼓や笛を担当し、交代で山車を引きます。山車の後ろには疲れた子どもが腰を下ろし、声を振り絞って掛け声をあげる姿は微笑ましい。
町内ではジュースや果物、アイスが用意され、子どもたちのもう一つのお楽しみとなっています。
新築や新規開店を迎えた家には「切り声」と呼ばれる男衆の祝詞が贈られ、威勢の良い掛け声に商売繁盛や家内安全の祈りが込められ、新たな門出を祝う伝統です。
祭りは朝から晩まで続き、その本当の熱気は夜にこそ花開きます。
日が暮れると太鼓の響きはより力強く、囃子や掛け声も大きくなります。声を張り上げ、太鼓や鉦を打ち鳴らす姿は見る者を圧倒します。
この瞬間、町全体が一つになり、夜遅くまでその熱気は続き、山車を収める「宿」でも祭りは途切れることなく盛り上あがるのです。
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