北海道警察本部爆破事件

1975年、北海道警察本部で爆破事件が発生しました。
学生運動に焦点が当てられるも、犯人は逮捕されておらず解決していません。

誰が警察を狙ったのか?犯行声明に隠された目的とは?
「北海道警察本部爆破事件」を取り上げます。

目次

事件の始まり

1975年7月19日午後1時57分、北海道札幌市中央区にある北海道警察本部庁舎。
その3階廊下で、金属製ロッカーが爆発する事件が発生しました。

突然の爆音と共に白煙が上がり、周囲の窓ガラスが割れた。
不幸中の幸いに土曜日だったため職員は少なく、死者は出なかったが、警察官と事務職員あわせて5人が負傷する事態となったのでした。

現場には爆発によって砕けた粉ミルク缶と多数のパチンコ玉の破片が散乱していた。
これは火薬を粉ミルク缶に詰めて密封し、爆発時に金属球が散らばり殺傷力を高めた、自作の爆弾と見られる。火薬の量や起爆装置の詳細は不明だが、構造からして高度な知識が必要であり、少なくとも素人の犯行ではありません。

さらに着目すべきは、爆発地点が3階だった点。
このフロアには警備部、すなわち公安を担当する部署が存在しています。明らかに、道警の中でも特定の部門を狙った計画的犯行であり、警察に対する挑戦とも受け取れます。

犯行声明

同日午後6時27分、道警本部に電話がかかり、「大通公園のコインロッカー18号を確認しろ」という謎のメッセージが残されいました。
捜査員が駆けつけると、ロッカーの中にはすべてカタカナで書かれた犯行声明文が発見されました。

その差出人は、過激派集団「東アジア反日武装戦線」。内容は、「アイヌモシリ(北海道)を植民地支配している道警への報復」として爆破を行った、という主張でした。

東アジア反日武装戦線は、1970年代に活動していた極左武装グループです。
彼らは1974年から75年にかけて、三菱重工、三井物産、大成建設などの大手企業を標的に連続爆破事件を実行し、多数の死傷者を出し、実行犯の一部は逮捕・起訴され、死刑判決が確定しています。
一方、北海道警察本部への爆破については、この組織の名を騙った可能性を含め、直接の関与を立証された者はいません。

いくつかの違和感

東アジア反日武装戦線による過去の犯行、たとえば1974年の三菱重工ビル爆破事件では、死者8人、負傷者約380人という甚大な被害を出している。
それに比べ設置された爆弾は、対人用に作られた小型のもので、無差別に警備部全体を狙ったとは考えづらい。
土曜日であった事もあるが、は死者はなく負傷者は5人にとどまっており明らかに規模が小さいのです。

声明に関しても、アイヌ民族への国家的抑圧を糾弾とありまが、それが警察本部の爆破という手段に結びつく必然性は見えにくと思います。

さらに、犯人がどうやって庁舎3階まで侵入できたかという点があります。
休日とはいえ警察本部の受付には誰かが勤務しています。3階に到着するまでの間に他の職員と接触する事もあることから、そうやすやすと内部に入り込むのは難しいでしょう。
ましてや、ロッカーの内部に爆弾を仕掛けるのは不可能に近いのではないでしょうか?

未解決の意味

この事件は最終的に公訴時効を迎え、未解決事件として幕を閉じました。公式には犯人は特定されず、動機や犯行の詳細も明らかにされていません。
捜査資料の中身は非公開のまま。あまりにも静かに、あまりにも唐突に、事件は歴史の闇へと沈んでいきました。

しかし、この沈黙そのものが何かを隠そうとする意思の表れではないかと考えると、一つの仮説が浮かび上がります。

それは「内部犯行説」です。

東アジア反日武装戦線の名を語りながらも、その実体は思想的背景の乏しい模倣犯。しかも、無差別なテロではなく、特定の人物に向けられた私怨に近い犯行だった可能性がある。
爆弾が設置されたロッカーは、誰のもので、普段どのように使われていたのか。
その情報は徹底的に伏せられ、報道も捜査当局も触れようとしませんでした。

もし、ロッカーの持ち主が事件当日にたまたま難を逃れていたとしたら?
そして、仮にその人物が警察内部の人間であったとしたら?
事件の狙いは、「その人物の殺害」だったとしたら?

しかし結果として不特定多数の被害者が出た。そのため警察としては、事件の深掘りをすればするほど、自らの内部の問題が露呈してしまう。そこで「東アジア反日武装戦線の模倣犯」という枠組みに事件を封じ込め、時間をかけて自然に風化させ、公訴時効を迎えさせた。

あくまで推測の域を出ない話ではありますが、「犯人が捕まらなかった」のではなく、「捕まえなかった」としたら?
どうしてもそのように思えてならないのです。

※画像はイメージです。

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