ここで紹介するウポポイは、白老町(しらおいちょう)に開設された「民族共生象徴空間」の愛称です。ウポポイとはアイヌ語であり、「おおぜいで歌うこと」という意味で、「しらおい」は、アイヌ語の「シラウオイ」からきている言葉で「虻(あぶ)の多いところ」という意味のようです。
ウポポイ開設の意義は、我が国の貴重な文化であるアイヌ文化を復興・発展させる拠点となることであり、またアイヌの人々といわゆる和人の共生の象徴となることです。ウポポイが設置された意義について一和人として考えてみました。
アイヌを考える
現在、アイヌの大半の人達が、和人と同じような暮らしをしていますが、その精神的な哲学は、長年農耕民であった和人とずいぶん異なっているようです。
江戸時代の末まで、アイヌの人々は基本的には狩猟採集民として暮らし、自然に対する謙虚さがあります。
食物となる植物類や魚や鳥や動物に対しても節度をもって接し、種の絶滅を惹き起こすような採集や狩猟を行うこともありませんでした。その背景には、この世の全ての生き物や道具にさえも程度の差はあるが神性が宿っているという哲学あるいは宗教心があるからであると考えます。
恐ろしい猛獣でさえも、乳児のときから心を込めて育て上げると何年経っても育て上げてくれた人のことを忘れず、成獣になってもその人に抱きついて甘える例さえあるといいますから、人間と獣の間の心の差も思っているほどは大きくはないのかもしれません。人間は自分達より弱い立場にある動植物を絶対に虐待してはならないと思います。
これらのことを頭に置きながらウポポイを見学すると、勉強になることが多いと思うのです。
ウポポイとは?
施設としては、国立アイヌ民族博物館、伝統的コタン、体験学習館、体験交流ホール、歓迎の広場やいざないの広場があります。
国立アイヌ民族博物館では展示鑑賞、体験交流ホールでは「伝統芸能」が上演されています。アイヌの民族衣装は模様に鋭さがあり、美しく、アイヌの人達の踊りは、自然との調和を表現していると感じる事ができるでしょう。
体験学習館においては「楽器演奏監修」や「アイヌ料理の調理体験」。伝統的コタンでは「植物と暮らし」や「アイヌ語学習プ」などもあってアイヌに触れることができます。また、事前予約すれば、植物と暮らしの紹介を兼ねて「コタンの樹木案内」が体験できます。
ちなみにですが、子熊のときから可愛がって育て上げた熊に対する有名な神事であるイオマンテの儀式、趣旨が誤解されることもあり、現在は行われていないようです。
※画像はイメージです。
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