現在、北海道には年間およそ1500羽の鶴が飛来しています。この記事では北海道を代表する鳥である「鶴」のあれこれ、北海道と鶴の関係性、北海道で鶴に出会えるスポットをご紹介します。
ぜひ、北海道を観光する際の参考にしてみてくださいね。
北海道のシンボル、タンチョウとは?
北海道を代表する鳥であるタンチョウの特徴についてご紹介します。
タンチョウ鶴の特徴
北海道だけでなく日本を代表するタンチョウは、ツル目ツル科ツル属に分類される鳥類です。野鳥のなかでも大型の鳥で、つばさを広げると約250センチにものぼります。体重は約10キログラムとずっしりした印象です。
純白の羽毛におおわれたタンチョウは、古くから親しみのある鳥として、現在でも多くの道民に広く愛されています。
このようにタンチョウのからだは白色ですが、のど、首は黒褐色をしているのが特徴です。頭のうしろが赤く、皮膚が露出していることから「丹頂」の名がつけられました。
生息
主な生息地は北海道の「釧路湿原」です。
釧路湿原は国内最大級の湿原で、タンチョウのほかに多様な生きものたちが暮らしています。
ほかにも北海道東部に位置する根室「風蓮湖」付近でタンチョウの生息が確認されています。
生態
タンチョウの食べものは昆虫や小型の甲殻類、タニシなどの貝類、カエルなどの小動物、魚類、果実や野草など多岐にわたります。
夏の時期は群れをつくらず、番や親子で行動をともにします。いっぽう冬になると里近くへ移動し、家族で群れをつくり生活をすることが知られています。
ヨシの茎や小枝をまぜて巣をつくり、4〜5月ごろに卵を産みます。
寿命
タンチョウの寿命は約30年で、飼育下では約60年といわれています。
タンチョウのうつくしい鳴き声
突然ですが、皆さまはタンチョウの鳴き声を聞いたことがありますでしょうか?
じつはタンチョウ鶴はとてもうつくしい声色をしている鳥としても有名です。
澄んだ声色で、いつまでも耳にしていたくなるような声をしていますよね。タンチョウ鶴の鳴き声はオスとメスで異なります。オスが「コー」とより甲高く鳴くのに対して、メスのタンチョウ鶴は「カッカッカ」と比較的短い音を発します。
オスとメスの声があわさることで「コーカッカッ」と耳に聞こえます。
これらは番(つがい)による鳴き合いで、互いの絆を深めたり、なわばりを伝えたりしているといわれています。
また、怒ると「シャー」と鳴いたり、仲間に呼びかけるために「クルゥッ」と鳴くなど、うまく使いわけています。
タンチョウと鶴の違い
タンチョウと鶴はともにツル科に属する鳥類です。
タンチョウは鶴の一種というわけですね。
日本では現在7種の鶴が観測されていますが、国内でゆいいつ繁殖をおこなうのはタンチョウのみとされています。
ここで、タンチョウと鶴のちがいをいくつか取りあげてみます。
- 体長の違い
タンチョウ:全長 約140センチ
鶴:全長 約100センチ
タンチョウと鶴ではからだの大きさが異なります。 - 色の違い
タンチョウ:頭から背中、胸、腹部まで白色で頭頂部のみ赤い
鶴:白や黒、灰色などをしている
ツルには、全体が白っぽい色をしている「ソデグロヅル」や青みがかった灰色をしている「マナヅル」、黒色の「ナベヅル」などがいて種類によって体色が異なります。 - 生息地
タンチョウ:北海道の湿原や草原に生息
鶴:世界中の湿原や草原に生息
タンチョウは絶滅した?
今でこそ天然記念物として保護されているタンチョウですが、乱獲や湿原の開拓などにより一時は絶滅がささやかれていました。
しかし、大正時代にふたたび釧路地方で十数羽のタンチョウが確認されます。生息が再発見されてからは生息地の保護や給餌場を設けるなどの保護活動により、見事にその数を増やしていきました。
2023年現在、タンチョウは「絶滅危惧Ⅱ類(VU)(環境省第4次レッドリスト)」に指定されてはいるものの、手厚い保護により数を安定させています。
北海道でタンチョウを観察できるスポット
ここでは北海道でタンチョウを観て、感じ、楽しむことのできるスポットを3つ、ご紹介します。
鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ
10ヘクタールと広大な敷地を有する『鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ』では毎年なんと300羽にのぼるタンチョウ鶴が飛来するといいます。
例年11〜3月にはタンチョウ鶴への給餌がおこなわれることからも、人気の高いスポットとして有名です。
季節によってちがった姿のタンチョウ鶴を見られるのも魅力のひとつでしょう。
10月「なわばり争い」、11月「鳴きあい」、12~1月「集合」、2月「求愛ダンス」、3月「飛行」、4~9月「子育て」。
『鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ』は、ガイドも充実しています。タンチョウの生態や行動などを解説してくれるので、はじめてタンチョウと会うという方にもおすすめのスポットです。
鶴見台
北海道 釧路湿原の北側、鶴居村にあるタンチョウ給餌スポットです。
タンチョウへの給餌がおこなわれる11月から3月はとくに多くのひとでにぎわっています。ピーク時で約200羽のタンチョウが集まるといわれており、運が良いとタンチョウのダンスを見ることができます。
駐車場もあるので機材を運んだカメラマンなどが国内からやってくる、たいへん人気のあるスポットです。また、鶴見台の真向かいにあるカフェレストランからもタンチョウ鶴を観察することができます。
自家栽培の野菜やハーブを使用した料理に名物の『丹頂カレー』など、メニューも豊富な人気のカフェです。室内からゆっくりタンチョウ鶴を観察できるのが良いですね。
釧路市丹頂鶴自然公園
「たんちょう釧路空港」から車で約10分の好立地にある『 釧路市丹頂鶴自然公園』では、保護を目的として数十羽のタンチョウ鶴が飼育されています。
そのため、年間を通してタンチョウを観察することができます。
また、釧路市丹頂鶴自然公園は、世界ではじめてタンチョウの人工ふ化に成功した施設でもあります。タンチョウ鶴の生態を熟知してつくられた飼育施設で、じっくりタンチョウを観察してみてくださいね。
さいごに〜いかがでしたでしょうか?
北海道を代表する野鳥「タンチョウ」についてご紹介してきました。北海道を観光される際はぜひ参考にしてみてくださいね。
また現在、保護活動によりタンチョウは順調にその数を増やしていっていますが、そのことであらたな問題も生じています。
それは、農作物の被害です。ほかにも自動車との衝突事故も課題としてあげられています。とはいえ、北海道の広大な土地はわたしたち人間だけのものではありません。ですので、今後どのようにしてタンチョウと共存していくかに焦点をあてて考えることが大切なのだと思います。
さいごまでお付き合いいただきありがとうございました。
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