2000年10月5日午前3時55分、札幌市豊平区豊平1条1丁目の路上で、札幌交通のタクシー運転手、斉藤健一さん(当時59歳)が小型ナイフで刺されて殺害される事件が発生しました。
タクシーの売上を狙った強盗事件だと思うでしょうが、ところが、この事件は不自然な事ばかりなのです。
「豊平区内タクシー運転手強盗殺人事件」の謎へ迫ります。
事件概要
第1発見者は車で通りかかった男性会社員で、タクシーはエンジンがかかったままでハザードランプが点灯し、左側の後部座席はドアが開いて、利用客が降車したままの状態でした。
被害者である運転手の健一さんは、シートベルトを締め運転席に座り、左胸にペティナイナイフが突き刺さったままの状態でで絶命していたのです。
そして売上金とお釣りを入れた小型バッグ、その日の状況を報告した運転日報が奪われていました。
犯人と思われる最後の乗客は、午前3時26分に豊平川の対岸1kmの場所から乗車し、5分後の午前3時31分に豊平1条1丁目で降りています。犯行は午前3時30分~3時55分、発見されるまでの25分の間に行われたと判断。
料金メーターが840円で支払い表示されたままだったので、犯人は支払いを終える前に犯行に及び、売上を持って逃げたタクシー強盗ですが、犯人は衝動的にそれを思いついたのではなく、初めから計画していたと思われます。
タクシーへ乗ったのはわずか5分、降りた1条1丁目は住宅街で人通りが少なく「見逃されがちな場所」であるのを逆手にとって、捜査を混乱させたと考えられます。
また近くには、地下鉄の駅があるので逃走経路も確保しやすいと思います。
もうひとつの事件
この事件が計画的であった事を裏付けるような、タクシー運転手強盗殺人事件が1年前に起こっていました。
1999年7月26日午後11時30分頃、札幌市中央区北4条西17丁目で、大和交通タクシー運転手、赤堀慶克さんが殺害されました。
命を奪われたのは、通称「ミニ大通り」と呼ばれる歩行者専用道路。
タクシーは側道に停まった状態で防犯灯が点滅、3万円の売上金が入ったセカンドバッグが奪われていました。
料金メーターは1,560円を表示し、左胸に刃渡り10cmの果物ナイフが刺さったまま、運転席側の窓と後部座席のドアが開いた状態でした。
この事件では目撃者もいるのですが、犯人は未だに逮捕されていません。
この男が成功体験を得て、健一さんの事件も起こしたと推測します。
同一犯と思われる根拠
この2つの事件が同一犯によるものだと思われる根拠として、類似する犯行手口が考えられます。
金銭目的であれば、空き巣や窃盗など他にもいろいろありますが、「タクシーの売上金を狙う」というのは、常套手段とは思えません。自宅や店舗を荒らすより盲点をついたと思われ、確かに深夜であれば捕まる可能性は低いし、闇に紛れて逃走できるでしょう。しかし、タクシーの売り上げはその日によってまちまちで、回収してみなければわからない。もしかしたら1万円にも満たないこともあるかもしれません。
このようなリスクを犯してまで、タクシー強盗を実行する理由が犯人にはある。
そして、乗客を装ってタクシーへ乗車し、運転手を殺害して逃走する手口は同じ。
同一犯でなければあり得ない状況なので、連続強盗事件であることは言うまでもないでしょう。
犯人と思われる男の正体
警察は周囲の聞き込みを続け情報提供を募っていますが、有力な手がかりは得られていません。
ふと思ったのが、犯人は人間関係も狭く、まともに働いてないからではないから、社会との接点が薄いため捜査線上にも上がってこない。自宅にひきこもる傾向があるかもしれません。
男は少なからず内向きの性格で、普段はアルバイトや派遣社員で食いつないでいるので、確実とは言えず少ない金額でも満足できる。偶然乗ったタクシーで強盗事件を起こし、捕まる事がなかったので味占めて犯行に及んだのですが、怖くなって引きこもってしまい、完全に社会との接点が切れてしまった。
憶測の域を出ていないので、飛躍した推測と考えてください。
※画像はイメージです。
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