頭部は赤色、体は白色、尾と足は黒色といった美しいボディで見る者すべてを魅了するタンチョウ。今回の記事では、タンチョウの生態や特徴、からだの秘密について、そして北海道でオススメのタンチョウ観察スポットをご紹介いたします。
日本最大級の野鳥「タンチョウ」に会いに北海道へ!
昔話「鶴の恩返し」でお馴染みの美しい容姿を持つタンチョウ。彼らは多くの人を魅了し、虜にしてきました。日本の千円札に描かれていたりと非常に有名なタンチョウですが、実は本州でお目にかかることは出来ません。タンチョウは日本で唯一、北海道でのみ会うことができる貴重な生きものなのです。
心震わすタンチョウの魅力
タンチョウの魅力は下記のお写真を見て頂けると分かるように、ハッと息を呑むほど美しい惚れ惚れとするボディをしています。カタチだけでなく、その色合いも神々しく映ります。凛とした佇まいには、つい息を呑んで見惚れてしまう事でしょう。神秘的なタンチョウを一目見たいと、海外から訪れる写真家たちもいます。
タンチョウは日本最大の湿原である釧路湿原のシンボルでもあり、アイヌ語でサルルンカムイ(=湿原の神)と呼ばれています。
神秘的な野鳥タンチョウの生態
タンチョウは、ツル目ツル科に分類される鳥です。日本では北海道でのみ見られるタンチョウですが、生息地としては湿原や河川、湖の水辺があげられます。
雪に溶け込むような白い体に、首元、羽先、脚が黒く、頭部がはっきりとした赤色をしているのが特徴です。
タンチョウの主食はエビやカニといった甲殻類に昆虫などです。その他に小型の鳥類なども捕食しているタンチョウはなんと木の実を食すことがあるのだとか…。どうやら彼らは何でも食すことの出来る雑食のようですね。
体重は約6~11㎏あり、全長は約1m50㎝ほどで、翼を広げるとなんと全長2m40㎝になり、とても大きな印象を受ける鳥なのです。タンチョウの平均寿命は約20~30年です。
タンチョウのからだは不思議でいっぱい
タンチョウの生態を覗いたところで、次はタンチョウの体の不思議について見ていきましょう。
真っ赤な頭頂部のひみつ
遠くから見ても分かるように、タンチョウの頭部は艶やかな赤色をしています。
丹頂(タンチョウ)という名前の由来は、赤色の「丹」と頭頂部分の「頂」を合わせた意味だそうです。
ところで皆さんはあの赤い頭…気になりませんか?
実はタンチョウの頭部にはある秘密があるのです。
タンチョウの頭部には羽毛が生えていません。つまり赤いのは羽毛では無く別のものなのです。「それならあの赤いのは何?」と首を傾げてしまうのも無理はありません。
なんとタンチョウの頭部の赤い部分は皮膚で出来ているのです。皮膚が剥き出しの状態になっているわけですが、いったい何のために羽毛ではなく、皮膚なのでしょうか?
タンチョウの頭部の赤い皮膚には訳があります。
繁殖期や天敵が現れた際にタンチョウが興奮した威嚇したりすることで、赤色の部分がこぶのように大きく膨張する仕組みになっているのです。そこでタンチョウの頭部の大きさを観察して見ると、その時のタンチョウの感情を読み取ることが出来るかもしれません。
タンチョウの華奢な脚に秘められたパワー
タンチョウの脚は黒色で細長く、見るからに華奢な脚をしています。しかしこの華奢な脚こそ、敵対する相手を打ち負かすのに必要なタンチョウたちの武器なのです。タンチョウが攻撃をするのは何もクチバシだけではありません。
タンチョウの脚の先端には鋭利な爪が両足4本ずつ備わっており、その爪を引っかけて相手を攻撃します。たとえば、タンチョウの天敵であるはずのキツネや野犬ですら、タンチョウの蹴りをまともに受けたらひとたまりも無いと言われています。
絶滅の危機から脱した伝説の鳥
2021年時点でのタンチョウの生息数は約1900羽と、絶滅とはほど遠い数のように思います。そんなタンチョウは今でこそ「天然記念物」として指定されているのですが、過去には絶滅の危機に局面したことがある動物なのです。
時代をさかのぼること約400年前の江戸時代、タンチョウは日本各地で見かけることが出来たそうです。それが明治時代に入るとタンチョウの乱獲が始まり、更には湿原を開拓することにより、みるみるうちにタンチョウの数は減少してしまいました。次第にタンチョウは絶滅したものと思われてきました。
しかし大正時代に北海道東部でタンチョウが発見されて以来、1935年にはタンチョウを天然記念物として扱いようになり、更に1952年には特別天然記念物に指定されました。
人々の手厚い保護により、現在ではタンチョウの数も順調に増えてきています。
北海道でタンチョウに会うならコチラがおすすめ!
野生のタンチョウに会いに北海道を訪れる人々は数多くいます。中には骨の折れるような距離を旅してタンチョウに会いにやってくる方も。これから遠路はるばる長旅をしてタンチョウに会いに行こうと考えている方の中には「もしもタンチョウに会えなかったら無駄足になるのでは?」との不安の声あげる方も居ると思います。そこで、人気のタンチョウに100%会えるおすすめスポットをご紹介していきたいと思います。
おすすめタンチョウ観察スポット5選
北海道内でお勧めのタンチョウ観察スポットを5箇所紹介いたします。
400羽のタンチョウが飛来?!「鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ」
タンチョウ保護活動の一端を担っているのが鴨居・伊藤タンチョウサンクチュアリです。
毎年2月頃になると、タンチョウによる優美な求愛ダンスをご覧になれます。その美しい鳴き声や動きに注目です。鴨居・伊藤サンクチュアリでは冬場になると、タンチョウ達に餌付けを行ないます。その際にはなんと400羽のタンチョウ達が飛来することもあるのだそう…。
タンチョウの優美なダンスに魅了される「鶴見台」
釧路空港より車で約29分、北海道釧路高原北側に位置するタンチョウスポットです。タンチョウが見られるのは11~3月頃。北海道の新鮮な雪で一面真っ白の神秘的な空間にて求愛ダンスを披露するタンチョウの姿に魅了されること間違いなしです!
釧路空港から10分!「釧路市丹頂鶴自然公園」
釧路空港から車で10分とアクセス良好の釧路市丹頂鶴自然公園。館内には展示室や、窓越しにタンチョウを眺めることの出来るレクチャー室を完備しています。室内からじっくりとタンチョウを観察するのにおすすめです。
野外飼育所を併設「阿寒国際ツルセンター【グルス】」
人工給餌発祥の地といわれている阿寒国際ツルセンター【グルス】では、自然観察会を開催(観察会の詳細は下記HPよりご確認下さい)しています。
また国内唯一のタンチョウの施設があり、一年を通して飼育しているタンチョウに会うことが可能です。
タンチョウ以外の動物にも会える「釧路市動物園」
エゾシカ、エゾモモンガ、エゾリス、エゾフクロウなど北海道の動物に会うことが出来る動物園です。もちろんお目当てのタンチョウに会うことも出来ます。タンチョウエリアには観察デッキが設けてあり、好きなだけタンチョウを観察することが可能。釧路空港から車で約11分の場所にあるアクセスの良いおすすめの動物園です。
タンチョウに会うための北海道移動手段
最後に、広大な北海道を移動するための交通手段についてまとめてみました。タンチョウに会うことのできる釧路への交通手段を下記の4つに絞っています。※移動時間は札幌から釧路の区間を基準にしています。
1 電車(JR)で移動する
バスより料金は高くつきますが、なんと言っても移動時間が短いです。釧路行きの特急「スーパーおおぞら」の所要時間は約4時間前後と比較的短くなっています。膨大な自然に囲まれた北海道の景色を列車の車窓から眺める旅も良いですね。
2 車(レンタカー)
自動車移動の利点はいくつかありますが、一番は(発車時刻等の)時間に縛られることなく移動が出来ることでしょうか。または家族で出掛けるなど、人数が多い場合は公共交通機関を利用するよりもお得に移動が可能です。高速道路を利用することで時間の短縮も!(高速道路を利用しない場合には約7時間かかります)
3バス(高速バス)
高速バスを利用する最大のメリットは乗車料金が安いという点にあります。往復で利用するなどの場合はさらに割引の利く場合もあります。だたし、天候などにより運休する可能性も視野に入れておいた方がいいかもしれません。
4飛行機
飛行機を利用した場合は、なんと約45分で目的地である「釧路空港」に到着することが可能です。他の移動手段に比べて料金は少々お高いですが、圧倒的な数時の差が開きます。一刻も早くタンチョウに会いたい方におすすめです。時間に余裕のある旅を楽しむことが出来そうですね。
魅力がいっぱい、北海道釧路市!
美しいタンチョウの姿は本記事のお写真でも十分に伝わったかと思いますが、間近で見る野生のタンチョウはやはり違います。白銀世界でのタンチョウ達による求愛ダンスの可憐さ、青い空へと澄み渡る勇ましく美しい鳴き声は格別です。
北海道釧路市、一度は訪れたい素敵なところです。
日本で唯一お目にかかる事のできる貴重な野生のタンチョウ。是非彼らに会って大きな感動を味わってください!どこを向いても魅力しかない北海道の旅を満喫するお手伝いが出来ていたら幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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