今から20年ほど前の話です。若かった当時の私は一人旅を繰り返して、北海道から沖縄までいろんな場所に行ってました。
この話は、北海道を一人旅していた時のことです。
声をかけられた
バスを乗り継いで道内を旅行していたのですが、ある停留所でバスの係をしている現地の人に声をかけられました。
どこから来たのかとか、普通に聞かれたのは覚えていますが、ただの親切な人だと思って話をしていたと思います。
相手がおじさんだったので、今思うと危ないなと思うのですが、旅先で知り合った人と仲良くなることも多いので、その辺を案内してあげると言う言葉を鵜呑みにして車に乗ってしまいました。
そのあとは、地元の回転寿司に連れて行ってくれたりして、奢ってくれた上、ずっと色々しゃべってくれたので警戒心も薄れていました。
聞き慣れない単語
でも会話の中に「モーテル、モーテル」と何回も知らない単語が出始めた時には、「モーテルって何?」という感じで、愛想笑いで聞き流していました。
「モーテル」ってつまり、ラブホテルみたいな安宿っていうことだったのです。
やっと意味がわかり始めた時に、流石にまずいなと思い始め、私の口数が少なくなったころ、おじさんが察し始めました。
泣いてしまった
私もだんだん悲しくなってきて、さめざめと泣いてしまいました。怖いのももちろんなんですが、好意的なおじさんがそんなことを考えてるのがやりきれなくて、そして自分も浅はかだったと涙が出てきたのです。
私が普通についてきたので、モーテルに誘っても大丈夫だろうと思ったおじさんも勘違いが激しいですが、私は私で、世間知らずだったし、人を信じやすいバカだったのです。
そうこうしていると、おじさんはうろたえ始め、そんなつもりじゃなかったとか言い訳を始め、自分は精子がなくて死んだ嫁さんには子供ができなかったけど、満足させられたとか聞いてもないことをペラペラ喋り始めました。
その最中も、私は泣き続けていたのですが、何だか同情心も沸き、怖いながらもお寿司を奢ってもらって車に乗せてくれた人だし、そんなに悪い人じゃない気がしてきました。
結局どうなったかというと
おじさんは結局、泣かせるつもりはなかったんだみたいな言い訳を繰り返し、駅前の小さなビジネスホテルのフロントまで送ってくれました。
そしてフロントの人に、親戚の子が泊まりたいと言ってるから泊めてあげてみたいな言い訳をして、フロントの人を困惑させていました。
自分は悪くないよ、親切な人だよ、ってことなんでしょうが、私が半べそだったので、フロントの人もなんか変だなと感じていたと思います。
その夜は何だか落ち着かず、怖いような思いでしたが、今思うとものを知らないって怖いなと感じます。
何もなくて良かったです。
※画像がイメージです。
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