富良野といえば、広大なラベンダー畑の風景が定番ですよね。
けれど、妙にファンタジックな森のショッピングエリアがあるのをご存知でしょうか?
森の小さなお店たち
それは「ニングルテラス」といい、富良野プリンスホテルの敷地内の森の中にあります。
ウッドデッキの遊歩道で繋がれた小さなログハウスが立ち並び、それぞれで個性豊かなクラフト作品が売られています。例えば、ペーパーワークや羊毛フェルトのブローチ、森の動物をかたどった彫刻など、木や自然の素材を使い、北海道の旅の思い出やお土産にぴったりな品物が沢山。
春から夏にかけては森の中で涼しい風を感じ、冬になると辺り一面真っ白な雪景色の中を散歩。夜にると、それぞれのログハウスが暖かな光に照らされて幻想的な景色になり、季節や時間を問わずに”ああ北海道に来たんだな”と思わせてくれるでしょう。
映画がお好きな方であれば、緑の惑星に住む、モフモフした小人の宇宙人の村を思い出すかもしれませんね。
ニングルってなに?
ところで「ニングル」って何かをご存知でしょうか?
私は友人たちとここを訪れた時、得意げに語ったことがあります。
「アイヌに伝わる森の小人なんだよ。森の守り神のような存在で、自然を守り続けるという意思が、この小さな場所から感じるよね」・・・と。
それを聞いていた博識な友人が、何とも申し訳なさそうな顔で「それ、アイヌの伝承じゃなくて、倉本聰氏の創作ですよ」と口を挟みました。
しばらくの沈黙。夏なのにラベンダー畑からとても冷たい風が心を吹き抜けたのです。
「ニングル」とは、脚本家・倉本聰氏が描いた物語『ニングル』に登場する創作の存在。
純粋なファンタジー作品ではなく、自然や環境破壊をテーマにしたリアルの中にファンタジーが混じって語られ、「ニングル」は人類へ警鐘を鳴らすような存在なのです。
元々アイヌの口承に出てくるわけではない。
つまり、この幻想的なショッピングエリアは「ニングル」テーマパークというわけです。
それでも・・・・
テラス内には2世帯のニングルたちが住んでいて、森の中に小人の家や通り道、沢には橋などの、それっぽいオブジェが隠されていたり、ニングルたちが驚かないように大きな声さないようになどの注意書きもあったりすると、ほんとうにいるように思えてきます。
創作だと解っていても、ログハウスの灯りが雪の夜にぼんやり浮かぶ様子は美しく、どこか胸を打ちます。
おそらく「本当にあるか」ではなく、「信じたいもの」があるからでしょう。
嘘でもいい信じる心を失わない限り、森の中には「ニングル」がいるような気がします。
すくなくとも、ここで買った品物と共に私の心の中には残っています。
・・・でも念のため、アイヌの伝承だと断言するのは控えましょう。
※画像はイメージです。
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