公園のシンボルは黒光りするSL!
明治期の北海道の躍進を物語る日本遺産(2020年に登録)「炭鉄港」は、空知の石炭、室蘭の鉄鋼、小樽の港湾を鉄道が結ぶ雄大な「物語」で、多くの人の関心を集めている。
室蘭の「ぽっぽらん公園」(海岸町、観光協会横)には、当時荷役にあたったSL「D51560号」(通称デゴイチ)が現存。観光客らを歴史の旅へ誘っている。
デゴイチが生まれたのは、昭和15年。国鉄苗穂工場製。室蘭本線をはじめ全道で活躍していた。同49年に廃車になるまで、走行距離は270キロ超。現役引退後は旧室蘭市科学館の中庭にて安置されていた。
機関車全長は約12メートル。最大幅は約3メートル。正面には、金色の文字で名前が刻まれている。
2019年、同館がDENZAI環境科学館へリニューアルするのに伴い、現在の旧室蘭駅舎横に移転。きらびやかな装飾に身を包んだ姿は美しく、まちはちょっとしたセレモニー状態に。歴史的瞬間を一目見ようと、カメラを構えたファンらが街道に詰め掛けた。
安置された場所の近くは公園化。やがて「ぽっぽらん公園」と名付けられた。雨よけの屋根はあるが、長年の労役で劣化が激しい。そのため、定期的に市民有志のボランティアがサビをやすりで磨くなどして黒光りを保っている。
公園内は広さはないが、遊具はある。地面に線路が描かれるなど、鉄道を意識したユニークなつくり。老若男女が楽しめる市民の憩いの場だ。
高速バスの停留所が近く、降り立った人々はデコイチの迫力に皆驚く。晴れた暖かい日に公園内で弁当を食べるのも良いかもしれない。
また、公園に隣接する登録有形文化財の旧室蘭駅舎は、明治45年に建築された道内最古の木造建築物。デゴイチの正面に回り込み、写真を取ると、趣のある1枚になる。駅舎内は炭鉱港に関連する資料が豊富で、知識を深めるよい機会に。
市内の情報を知り尽くした観光協会事務局にもなっているため、観光の起点にするのも良いだろう。
炭鉄港は、鉄鋼業の衰えを皮切りに人口減少、財政難が止まらない室蘭復興の希望の光。これまで空知管内や小樽と連携し、積極的に発信してきた。
最近では、列車やゆかりの人物を描いた「炭鉄港カード」なる取り組みもあるらしい。市民の関心も強く、単独の取り組みもある。
デゴイチには、まち活性化に向けて明るい「警笛」をもう一度鳴らしてほしい。
明治の日本、近代化を支えた「一幕」がここにはある。
ぽっぽらん公園
〒051-0022 北海道室蘭市海岸町1丁目5−1
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