オロロン鳥といった海鳥が北海道のある島に生息していることをご存知でしょうか?オロロン鳥は別名を「ウミガラス」といい、海鳥の一種です。北海道で有名な「オロロンライン」に由来してつけられた名前でもあるオロロン鳥。
今回はそんなめずらしく、貴重な鳥であるオロロン鳥についてご紹介していきます。
オロロン鳥とはいったい何者か?
さっそくオロロン鳥についてご紹介していきます。生態や分布、寿命など、オロロン鳥のあれやこれやについて覗いていきましょう。
生態・形態
オロロン鳥は体長約40〜44センチ、体重約1キロを越える海鳥で、日本では北海道にのみ生息が確認されています。チドリ目・ウミスズメ科の海鳥の仲間ですが、陸上を歩く姿はペンギンによく似ています。
イカやイカナゴ、カジカ、ギンポなどの魚類に加え、プランクトンなどを食べています。泳ぎが得意で水深約50メートルまで潜ることが可能です。反対に、陸上での歩きは不得意とされています。短い翼を高速に動かして飛行し、海面近くを飛びます。
オロロン鳥の天敵は主に猛禽類や、鯨類などの海獣または陸上の哺乳類です。日本においては北海道の天売島(てうりとう)でのみ繫殖が確認されています。繁殖時期は5〜8月で、陸上捕食者が近づくことの出来ない崖の上などで、集団にて繫殖をおこないます。基本的に巣は作りません。1回の繁殖で1個の卵を産みます。
「オルル〜ン、オルル〜ン」と鳴くことから、オロロン鳥と呼称されるようになったと言われています。北海道で有名な「オロロンライン」もこのオロロン鳥が由来となっています。
ちなみに、オロロンラインは北海道の石狩市から天塩町まで続く日本海沿いの国道を指します(国道231・232号線)。
分布
オロロン鳥は北太平洋、北大西洋、北極海に分布しています。日本では北海道の日本海側に浮かぶ「天売島」にて生息が確認されています。
寿命
オロロン鳥の寿命はおおよそ20年です。
絶滅寸前だった?オロロン鳥の実態に迫る
オロロン鳥に迫る絶滅の危機と、その原因についてお話していきます。
オロロン鳥の絶滅危機の原因と背景
オロロン鳥は絶滅危惧種に指定されている海鳥です。2022年の今でこそ北海道・天売島での生息が確認されていますが、一時期は繁殖数がゼロという事態が続いていました。
いったいその背景には何があったのでしょうか?
オロロン鳥が減少した背景には以下の原因があげられます。
- 餌となる魚類やプランクトンの減少
- 魚網などによる乱獲
- ハシブトガラスなどの天敵による卵や雛の減少
- 沿岸海域の汚染
- プラスチックなどのごみによる危害
驚くことにオロロン鳥。1938年には約4万羽の数が確認されていました。以前は北海道内の各地で繫殖がおこなわれており、天売島においても約8千羽のオロロン鳥が確認されています。その後、急激に数が減少しました。2002年には13羽の飛来しか確認されていません。2004〜07年の雛の数にいたってはゼロです。
オロロン鳥の声を真似たスピーカーの設置で飛来数が回復?
一時は急激に数を減らしてしまったオロロン鳥。しかし2003年からオロロン鳥の保護活動が進められたことにより、2006年には52羽のオロロン鳥が天売島に飛来しました。
2003年から環境省によって屏風岩へのスピーカーの設置が実施されています。スピーカーからオロロン鳥の「オルル〜ン」という鳴き声を鳴らし、島に仲間が居ることを伝え、オロロン鳥を惹きつけました。また、オロロン鳥が集団で繫殖をすることに着目し、鳥の模型である「ゴデイ」も設置されました。
現在は地元の保護活動もあり、オロロン鳥はその数を増やしています。2019年の時点では約62羽のオロロン鳥が飛来しているとのことです。
オロロン鳥のパラダイス!目指すは北海道・天売島!
北海道でオロロン鳥に会うなら絶対おすすめの「天売島」をご紹介いたします。オロロン鳥のパラダイスともいわれている天売島とはいったいどのような島なのでしょう?
天売島ってどんなところ?
天売島は北海道北西部に位置しています。日本海に浮かぶ小さな島で、人口は約273人です(2021年時点)。
西側は断崖となっており、春から夏にかけてオロロン鳥が飛来します。絶滅危惧のオロロン鳥や他の貴重な海鳥を保護する目的で、繁殖地は鳥獣保護区域に指定されています。8種類100万羽の海鳥がやって来る繫殖地で観光地としても有名です。
さいごに
本州で見かける海鳥とは異なった姿をしているオロロン鳥。その容姿はどちらかというとペンギンに近いイメージです。今回はそんなオロロン鳥の生態や絶滅危惧の背景を見てきました。北海道の天売島でしかお目にかかることの出来ない貴重なオロロン鳥が、今後もその数を増やしていってくれることを願っています。
ところで、今回ご紹介しましたオロロン鳥ですが、なんとオロロン鳥のオブジェが存在しているんです。それも本物にそっくりなオロロン鳥のオブジェです。しかも巨大!
なんでもバブル経済の時に建てられたものらしく、オロロン鳥オブジェの高さはなんと7・5メートルにも達します。以前は北海道の羽幌町(はぼろちょう)に5体のオブジェがあったそうなのですが、現在は老朽化などによって2体に数を減らしています。
さすがはバブル経済期です。5体のオロロン鳥オブジェにかけた費用はなんと1,700万円だそうで、これはひと目見ておきたい、とそう思った筆者でした。
オロロン鳥のオブジェがある羽幌町は、今回ご紹介させていただきました「天売島」から近い場所にあります。これはもう、オブジェを先に見るか、本物のオロロン鳥を観察するのが先か、の問題となってきます。現在残されている2体のオブジェはどちらも国道232号線のオロロンライン沿いにありますので、訪れる方は是非、巨大オロロン鳥に会ってみてください!
最後までお読みいただきありがとうございました。
※画像はイメージです。
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