突然ですが、みなさんはシャチと聞いてどんなイメージを抱くでしょうか。
シャチは海洋生物のなかで食物連鎖の頂点に君臨する捕食者です。そんなシャチは凶暴で恐ろしいイメージを持たれがちです。
しかし、それは本当なのでしょうか?
現在、国内で野生のシャチを見ることができる地域は限られています。そのうち、北海道ではシャチの群れを観察することも可能です。
大海原を自由に泳ぎまわる、海の王者、シャチ・・・一度は間近で見てみたいですよね。
本記事では、シャチの生態、性格、北海道でシャチウォッチングをたのしめる場所や、そのツアーについてお伝えしていきます。
シャチって何者?
シャチは、「哺乳綱鯨偶蹄目マイルカ科シャチ属」に分類される海洋性の哺乳類です。
かれらは基本的に家族などの群れで行動をします。シャチの体長は約6メートル、その体重は、約3000〜5000キログラムと、これはイルカの仲間では最大級の大きさです。これまで見つかったシャチの中でもっとも大きい個体の体長は、なんと、9.8メートル。体重は10トンに達します。
また、シャチは狩りが巧みなことでも有名です。
シャチの捕食対象は、魚類(サメを含む)、イカ、海鳥、アザラシ、アシカにとどまらず、自分のからだの倍以上ある大型のクジラを捕食することもあります。
時に、陸上生物であるホッキョクグマですら襲うことがあるというのだから驚きです。しかし、すべてのシャチが哺乳類を獲物としてとらえているわけではなく、魚を中心に捕食するタイプのシャチもいます。
それでは、いったい、シャチはどのようにして獲物を仕留めているのでしょうか?
じつは、シャチたちはたがいにコミュニケーションを取りあって狩りに挑んでいます。たとえば、大型のクジラを狙う際に、シャチは、数頭でコミュニケーションを取りあいながら一頭のクジラのまわりを囲います。体当たりなどをして相手を疲弊させて仕留めます。ほかにも氷の下から標的であるアザラシを狙ったりと、狩りの手法はさまざまです。
シャチの生態
シャチは非常に活発な海の生きものです。海面にからだを打ちつけてジャンプをしたり、海面から頭をのぞかせて周囲を見わたすといった行動がよく観察されています。
かれらは好奇心が強く、興味をもったものにみずから近づいていく習性があります。
1日のあいだに約100キロメートルもの距離を移動することが知られており、その速度は50キロメートルにも及びます。これはバンドウイルカに匹敵するスピードです。
シャチの寿命
オスのシャチの寿命は約、30歳です。いっぽうメスの平均寿命は約、50歳といわれています。ちなみに世界最高齢であるシャチは105歳まで生きたといわれています。ずいぶんと長生きなのですね。
海の殺し屋と呼ばれているシャチは本当に凶暴なのか?
映画などでシャチたちは必ずといっていいほど悪者として表現されています。しかし、実際にシャチが人間を襲うことはめずらしく、一概に凶暴な生きものとはいい切れません。
「海でサーフィンをしていたら、シャチに足を噛まれた」という報告があげられることはありますが、これは捕食目的ではなく、遊びの一環としてじゃれあっていたという見解がなされています。
また、水族館でおこなわれるショーの最中に人間を襲って怪我をさせたなどの報告がありますが、某映画のようにシャチが人間を食べた、という事例はありません。まれにアザラシと勘違いして人間を襲うといったことはありますが、基本的に、シャチが人間を捕食目的で狙うことはないとされています。
北海道はシャチの宝庫
シャチは世界中に分布している生きものです。とくに、北極海の沿岸に多く生息しています。日本では北海道の根室海峡から北方四島にかけてよく目撃されています。そうです。北海道はまさにシャチの宝庫なのです。下記は北海道で野生のシャチを見ることができる地域です。
- 苫小牧沖
- 釧路沖
- 網走沖
- 羅臼の海(根室海峡)
これらの場所で野生のシャチを観察することができるのは、4月〜8月です。この時期はシャチに出会える確率がぐんとあがります。クルーズ船に乗ってシャチをウォッチングするのにベストなシーズンといえます。
なぜ北海道でシャチを見るのがベストなのか
北海道の知床や根室海峡で野生のシャチが多く見られるのはなぜなのでしょうか?
そこには、位置とプランクトンが大きく関係しています。知床はみなさんもご存知のとおり、日本の最北端に位置しています。冬になれば大量のプランクトン(オキアミなど)が流れ着くことでも有名です。
プランクトンを食べる魚が集まってくる。すると、今度はそこへ、魚を餌とするシャチの群れが集まってくるというわけです。
テレビでも特集されるくらいシャチとの遭遇率が高い北海道は、日本国内で唯一、野生のシャツを間近で見ることができる場所なのです。北海道の海にやってくるシャチの群れは時に700頭を越えるといわれています。
また、北海道では、白いシャチの目撃情報があります。シャチウォッチングの際にはぜひ見つけてみてくださいね。ちなみにからだが白いシャチは非常にめずらしく、めったにお目にかかることはできません。
切っても切れない、シャチとアイヌの関係
シャチは、アイヌ語で「レプンカムイ」と呼ばれています。意味は「沖の神」。アイヌの人たちは自然界の動植物を神(カムイ)として崇めてきたことで有名です。
そのうち、陸上の中でもっとも位が高いとされているのが森の神でもある「キムンカムイ(クマ)」でした。そして海でもっとも位が高いとされているのがシャチです。
シャチは、クジラを襲って沖へ座礁させていたと考えられています。クジラの肉はアイヌの人たちにとっては貴重な食料源です。それら、クジラの肉を恵んでくれたのは、レプンカムイ。つまり、シャチたちというわけです。
シャチに会いたくなったら・・・
野生のシャチに会いたくなったら、迷わず、北海道へ行くことをおすすめします。野生のシャチの群れと遭遇できるのは日本では北海道しかありません。
おすすめのツアーは下記の『世界遺産 知床・羅臼 シャチ ウォッチングツアー』です。時期はちょうどこれから、春から夏にかけてです。気になるかたはぜひチェックしてみてくださいね。
ちなみに、北海道、羅臼には「羅臼神社」という神社があります。ここには「シャチ守り」という一風変わったお守りがあります。お守りには、羅臼岳を背景に、二頭のシャチが描かれています。これを胸にいざシャチ探しの旅に出発です!
本日もさいごまで目をとおしてくださいましてありがとうございました。
※画像はイメージです。
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