オンネトーは、阿寒摩周国立公園の西端に位置し、雌阿寒岳の麓にある周囲2.5kmの美しい湖です。
オンネトーとその周辺を紹介したいと思います。
オントネー
オンネトーは、アイヌ語で「年老いた沼」あるいは「親沼」を意味します。噴火によってできた堰止湖で湖水が酸性であり、食用となる魚が住んでいなかったのでアイヌの人達は、もはや生産性がなくなったという意味で「年老いた」という意味の名を付けたのでしょうか?
それとも、「昔は魚を多く生み出していたのであろうが、年寄りになって湖の美しさは昔のままだが精力を使い果たして魚を生み出せなくなったのであろう。ご苦労様でした。」と考えて名付けたのでしょうか?
一時、人為的に生きてゆけそうな魚を導入したのですが、自然の状態を壊してしまうということで元の状態に戻しています。
オンネトーは湖面の色が条件によって、澄んだ青、エメラルドグリーン、およびダークブルーに変わって見える神秘的な湖です。オンネトー湖畔には、美しい針葉樹や広葉樹が迫り、基本的には緑ですが黄や赤が混じり、それらに樹木の影を映す湖面が呼応して、素晴らしい風景を提供しています。
オンネトー湯の滝
オンネトーの南側から約1.4kmのところにマンガン酸化物生成現象で知られたオンネトー湯の滝があります。
この温泉は活火山である雌阿寒岳と阿寒富士の西側の麓に拡がる原生林内にあって、30m近い高さの2筋の滝から成っています。滝上流には、40 ℃ほどの温泉が湧き出しています。
この湯の滝は、マンガン酸化物生成現象を地上で見ることができる貴重な場所になっていて、国の天然記念物に指定されています。従来、マンガン酸化物生成現象は海底で観測されていました。
オンネトー湯の滝の泉源と滝斜面に、光合成によって酸素を放出する藍藻類であるシアノバクテリアや酸素と温泉水に含まれるマンガンイオンとを結合させるマンガン酸化細菌などが生息しています。
このような微生物の複合作用で、滝の斜面で二酸化マンガンが形成され、年間1トン以上の黒色マンガン泥が生成されます。凄い量ですね。
人間が生活する地盤には、過去の地球の活動が原因で、場合によっては有害な重金属が含まれていることがあります。このような場合に凝集沈殿法によって地盤の地下水に含まれている重金属を沈殿除去するのが普通です。しかし、この方法は高コストであるという欠点があります。近年、微生物の働きを利用して重金属をコスト効果高く除去する方法が研究されています。オンネトー湯の滝は、効果が高いかどうかは別として、微生物を利用した重金属除去システムの一例と考えることもできます。
例えば、日照や、風速や、雨や、雪や、気温や、滝の湯の湯温や、滝の周囲の草木やコケの状況や、滝に集まってくる動物の排泄物や、滝に集まってくる昆虫などを観察してみるのも面白いと思います。マンガンは重金属に分類されます。
最後に
アイヌの人達がいたわった美しいオンネトーの近くの湯の滝を、これらの視点で眺めるのも楽しいことでしょう。
ただ、オンネトー周辺の地域はヒグマが出没するので、ヒグマとのトラブルに巻き込まれないように、細心の注意を払っていただきた位と思います。
※画像はイメージです。
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