日本最東端を目指して、納沙布岬レポート

もうすぐ60歳になる母が、「日本の最東端に行きたい」と言い出しました。
調べてみると最東端は納沙布岬にあたり、日本で最も早い時間帯に朝日を迎えられる場所の一つです。

これまでに宗谷岬や与那国島を訪れてきた母は、今回も自分で旅程を組んでいました。その行動力は相変わらずです。
ただ、納沙布岬で日の出を見るには夜明け前の移動が必要になり、母は運転ができないため、今回は私がハンドルを握る形で同行することになったのです。

目次

夜明け前の移動

私たちの住む埼玉を出発し、中標津空港に到着したのは14時過ぎでした。
正直に言えば、いわゆる地方空港らしい規模、そこに直通便があるのは驚きです。
レンタカーを借り、そのまま根室市内まで移動して一泊します。

空港から根室まで、ほとんどが見通しのいい直線道路で信号も少なく景色の変化も乏しいため、運転していると距離の長さをじわじわ実感させられました。
ホテルに到着した頃には疲れが出てきて、荷物を置いた時点で一息つく暇もなく眠ってしまいました。

翌朝は午前3時に起床しました。まだ外は完全に暗く、気温は低く感じられます。
5月とはいえば、地元の埼玉ではこのぐらいの時間でも十分温かいはずなのに、上着が必要なぐらい寒い。
車に乗り込み納沙布岬へ向かいますが、ホテルから岬まではおよそ30分ほどの距離です。

市街地を抜けて間もなく、前方に数頭のシカを見かけたと思うと車道を渡りはじめました。
数十メートル離れていたので急ブレーキをかけるほどではありませんでしたが、判断が遅れていれば接触してもおかしくありません。
現地では珍しくない出来事なのかもしれませんが、普段はこんな事はありえなくヒヤヒヤしました。
今回は、運が良かっただけ。
そんな私の気持ちをよそに、母は年甲斐もなくはしゃいでいます。

納沙布岬の朝

岬に到着して見かけたのは一組か二組ほど、それぞれが距離を取りながら海の方を向いています。
観光写真で多くの人で賑わっている印象があったため、同じような光景を想像していましたが実際は違いました。
普通、日の出を見ることなんて、新年の時くらい。ましてや、こんな中途半端な時期に、朝日を見に来るモノ好きなんて少ないのは道理です。

晴れやかな良い天気でしたが寒い。風が強くて体感温度はさらに低く感じられ、手袋がないと指先が冷える。
母と二人でくっついて暖を取って海をみていると、水平線の先がわずかに明るくなり始めます。
光は帯のように広がって、中心から徐々に色が濃くなっていき、やがて赤みを帯びた輪郭が現れ、時間をかけて海面から持ち上がるように太陽が姿を見せました。

とても新鮮な気分で、寒い思いを差し引いても、ここまで来て良かったと思える瞬間でした。

最東端という場所

帰り際に目についたのが、通行路に描かれた「北方領土は日本国有の領土です」というメッセージと地図。
ここは、単に「東の端」というだけの場所ではないのです。
この朝焼けの向こう側、わずか数キロ先には貝殻島などの北方領土が存在しています。

歴史的、政治的な重みを帯びた島々が視界の先にあり、地理的な境界に近い場所に立っているという実感が湧きます。
上機嫌な母の思いをよそに、すこし複雑な気分で帰路つきました。

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