ニポポってなあに?

おばあちゃんの家などで見かける、ちょっと不気味な木彫りの人形。
無表情な顔でこちらを見つめ、アイヌっぽさを感じさせる男女の人形は、どこか愛嬌を感じながらも独特の雰囲気を放っています。
道民以外の方でも、一度は目にしたことがあるかもしれません。

この人形の名前は「ニポポ」。
北海道の民芸品として知られていますが、その誕生はアイヌ文化だけではありません。
今回は、そんなニポポの正体をご紹介します。

目次

ニポポとは?

ニポポとは、アイヌ語で「小さな木の人形」や「木の小さな子」を意味する言葉です。
もともとは樺太アイヌの間で魔除けや幸運を呼ぶお守りとして作られていた木彫りの人形で、願いをかけると叶えてくれる存在としても親しまれていました。

現在知られているニポポは、その樺太アイヌの木像をもとに誕生した民芸品です。

1950年代、朝鮮戦争後の不景気により地域経済が停滞していた網走で、新たな郷土民芸品づくりが模索されていました。そこで、樺太からの引き揚げ者が持ち帰ったニポポに注目が集まります。
網走市郷土博物館の館長がその木像を参考にし、彫刻家がデザインを行い、網走刑務所の受刑者が製作に携わり、更生作業の一環として手彫りのニポポが作られるようになります。

1956年に発売されたニポポは観光客の人気を集め、やがて網走を代表する土産品として広く知られるようになりました。

網走の街を見守るニポポ

ニポポは土産物として知られていますが、網走市のシンボルのひとつでもあります。
市内を歩くと、まず目に入るのが網走市のカントリーサインです。さらに網走駅前の街灯や商店街、天都山のオホーツク流氷館前など、市内のさまざまな場所にニポポが設置されています。

特に印象的なのが網走川周辺です。橋や堤防フェンスには数多くのニポポが並び、まるで街全体を見守っているかのような光景です。

地元では街の風景に溶け込んだ存在として親しまれているようです。個人的には観光で訪れると、あまりにもあちこちにあるので、なとなく監視されているようで不気味に感じてしまいます。

ちょっと不思議な郷土アイテム

ニポポは、樺太アイヌの文化、戦後の網走、そして網走刑務所と、思った以上に複雑な歴史を持つ民芸品。
近年は受刑者の在所期間の短期化や需要の変化などもあり、生産数は以前ほど多くなく、手に入れる機会も少しずつ減っているようです。

私も以前、網走市に住んでいました。誰が買ったか解りませんが、住宅の玄関先に当たり前のように飾られていました。
当時は特に気にも留めていませんでしたが、その歴史を知った今では、ただの木彫り人形には見えません。
昔から身近にあったものが、気づかないうちに少なくなっていくのは少し寂しいものです。

※画像はイメージです。

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