中札内の森の中、マルセイバターサンドでおなじみの十勝の菓子メーカー「六花亭」が作った、アートの拠点というべき「 六花亭アートヴィレッジ 中札内美術村」。
敷地全体が公園のように開かれており、約14万㎡の林にいくつものギャラリーや展示館が点在しています。
訪れる人は、森を散歩しながら建物を一つひとつ巡るという、普通の美術館とはまったく違う楽しみ方ができるのが魅力です。
7つの美術館
敷地内には七つの美術館が点在しており、古い洋館から古民家、さらに現代建築までスタイルはバラバラ。それぞれ展示する作家の雰囲気に合わせて構成されており、建物ごとにまったく異なる世界観が味わえます。
ひとつ扉を開けるたびに世界観が切り替わり、その場の空気込みで鑑賞する設計になっているように思えます。
私のお気に入りの作家である、真野正美作品館は藁葺き屋根の古民家。
ほのぼのとした絵柄のなかに人々の営みを描く作風にマッチし、十勝在住の作家でありますので、まるで彼の家に訪れて絵を見せてもらっているように錯覚してしまいます。
他には、自然の厳しさの中に美しさが描かれた「相原求一朗」、力強いがユーモラスな日本画の「小泉淳作」、コミカルで楽しい雰囲気な世界観を描くイラストレーター「安西水丸」、リアル描写で自然を描く「百瀬智宏」、どくとくな雰囲気で引き込む「小川游」、公募展の作品展示があります。
意図や創作の背景に思いを馳せ、美術館を巡るのがこれほど楽しみな美術館は他にはないでしょう。
環境が作品を引き立てる
この美術館のもう一つの魅力は、散策ルートです。
瑞々しい植物や樹木に囲まれながら、ゆっくりと敷地内を巡ると、作品と自然環境が干渉し合い、展示室と屋外の境目が消えるような独特の感覚を味わえます。
ふと思ったのですが、建物の中からガラス越しに映る景色が、まるで絵画のように切り取られて、額縁に収められた一枚の作品のように見えるのです。
季節の移り変わりとともに色彩が刻々と変化し、光の入り方によっては風景が揺らいて柔らかく淡い色が広がり、まるで水彩画のような儚さ。夕暮れ時は赤や橙のグラデーションが広がり、日が沈むとともに、ゆっくりと静寂と暗い闇が訪れる。
窓越しの景色まで含めて展示物のように思えてなりません。
おすすめしたいのは
ゆっくり巡るなら午前中から訪れ、一日かけてゆっくり散策するのをおすすめします。
お腹が空いても、敷地内にレストランがあるので大丈夫です。比較的に和食系のメニューで、野菜たっぷりヘルシーにお腹を満たしてくれます。
静かな時間の流れの中でアートに触れ、庭を歩いて、五感をゆっくりと楽しむひとときは、日々の忙しさから解き放たれ、心を軽くしてくれるはずです。
※画像はイメージです。


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