彼方に響く札幌市電のメロディホーンが、わずかに都会の喧騒を思わせる場所。それが『中島公園』。
木々の立ち並ぶ中央には『菖蒲池』があり、一周するとおよそ1km以上。朝からジョギングで汗を流す人の多いコースです。
そんな自然豊かな中島公園の一角には、アクアマリンと白をベースとした、なにやら見慣れぬ洋館が。
これこそが今回紹介したい場所。その名も『豊平館』です。
日中はさまざまなコスプレイヤーたちが洋館の雰囲気に合わせて写真を撮っていることもある、隠れた名所となっています。
豊平館とは
豊平館の本館が完成したのは明治13年。
元々は民間の宿泊施設として建設されましたが、明治14年8月には、明治天皇がお泊まりになられました。
館内には実際の部屋もあるので、さっそく入館してみましょう。
受付を済ませて真っ直ぐ進んでいくと、まさに明治時代にタイムスリップしたかのような光景が広がります。
まず出迎えてくれるのは、建設当時から現役のシャンデリア。
大正時代からは電球に変わったそうですが、明治時代はロウソクが使用されていたとのことです。

腕利きの西洋料理屋
入口から右側に進むと、喫茶室『ハルニレ』があり、レトロな雰囲気の中でひと息つけるスペースとなっています。
個人的には、寒い日に飲むホットココアがお気に入りです。
塩クッキーという手作りの焼き菓子も販売されており、一緒にいただくこともできます。
ホロホロとした食感が、ココアやコーヒーと合うのが嬉しいですね。
ちなみにこの喫茶室。
明治時代には東京の腕利きのシェフがフランス料理を提供していたこともあるそうです。
その料理の質から「服は丸井、料理は豊平館」と例えられるほどだったとか。
現在はかつての料理はありませんが、憩いの場としての役割は健在です。
ちなみに『丸井』とは、北海道で今でも愛されるデパートである『丸井今井』を表しています。
昔は呉服屋さんだったそうです。
天井の一工夫
豊平館は宿泊施設だったため、展示されている部屋の中には天蓋付きのベッドや、シンプルながらも高貴な家具が再現され、揃っています。
しかし、何より注目したいところは『メダリオン』です。
メダリオンとは、シャンデリアの吊元にある丸い模様で、漆喰を塗り付け、部屋の名前に因んだ花の飾りをを立体的に作り上げたもの。
葡萄や百合、椿など、彩色されたものも含めて合計17種類が各部屋に描かれています。

シャンデリアの謎
次は2階に向かいます。
真紅のカーペットの敷かれた、昔ながらの急勾配の階段を登って行きます。
さすがに膝がガクガクしますが、2階にはそれだけの見どころがあるので、頑張って登っていきましょう。
登ってすぐのホールの左側には、まるで舞踏階でも開かれていたような広間がありますが、残念ながらそのような催し物はなかったそうです。
ここは主に、明治天皇の謁見の間として使用されていたとのことで、ちょうど向かって右側に明治天皇が着座されていたそうです。
当時はかなり緊張感があったに違いありません。
ちなみに、広間の右側のシャンデリアは大正時代に何らかの理由で落下したことがあるそうです。
その理由は、今でも定かではありません。
天皇もお泊りになられた部屋
ホールに戻り、廊下を右へまっすぐに進むと、さまざまな花の名前が付いた部屋の更に奥まったところに『梅』の部屋があります。
ここが最大の見どころです。
なぜならここは、明治、大正、昭和天皇が行幸啓の際に滞在された部屋だからです。
梅の部屋なので、もちろんメダリオンも『梅』となっています。
椅子は見るからに座り心地が良さそうで、再現された寝間も天蓋付き。
当時はベッドのあるホテルが少なかった中で、豊平館は珍しくそのような設備が整っていたといいます。
それだけ開拓使が力を入れていたことが伺えます。
残念ながらこの椅子に座ることはできないとのことです。
座ってみたかったですが、天皇陛下が着座されていたのであれば仕方がありません。
眺めるだけでも十分に素晴らしさが伝わってきます。

まとめ
今回は、『豊平館』についてお話しさせていただきましたが、いかがだったでしょうか。
まさか公園内にこのような立派な建物があるなんて、想像もつかないことでしょう。
私も初めて見たときは驚いたものです。
ガイドさんの話を聞いたことで、まだ知らぬ豊平館の魅力に触れることができ、非常に感慨深かったです。
あなたにも是非、豊平館の魅力に触れていただきたいです。


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