2020年9月。12000円で6日間特急列車に乗り放題の“HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パス”という破格のきっぷが発売されているという情報を入手し、乗り鉄としての使命感を胸に、北海道へ向かった。
1日目
仙台からのフェリーでは、旅の下調べをしている間に苫小牧に到着。早速苫小牧駅へ向かう。パスは、先着順で北海道内でしか購入できないというから、駅に着くまでソワソワが止まらない。無事に窓口でパスゲット!指定席も予約する。旅の目的の五割は達成した気分になる。
パスを持つ手が震え、浮き足立ったが、今日はパスは使わない。温泉大国でもある北海道。まずは温泉に入り、明日からの旅の準備をしようと、苫小牧から室蘭本線で一時間の登別まで向かった。途中白老駅で、先日オープンしたばかりのウポポイを発見。白老町はまた東北・仙台藩士との繋がりもあることも知る。
さて、登別駅で降り、向かうは海岸沿いで気になった虎杖浜温泉。宿から海沿いを散歩すると、鮭の遡上を見ることができたり、釣りを見守るカモメを発見したり。
虎杖浜温泉は、全道一の湯量で、柔らかくぬめりのあるいい湯だった。さらに、露天風呂からふと外を見ると、木彫りの大きい像が立っている。あれ、動いた。え?蝦夷鹿?!風呂場でしばしビビる。
鮭にカモメに蝦夷鹿に。村人ならず、たくさんの生き物たちとの出会いがあり、すでにパスを手にした興奮より、新しい出会いに興奮した初日となった。
2日目
いよいよ、北海道LOVEフリーパスのフル活用開始。根室本線で釧路までずーっと草原が続き、朝の連ドラ「なつぞら」を思い出した。釧路で乗り換え、今回のハイライトの一つである、花咲線へ。みるだけでワクワクする花咲線のホームページは必見!
車窓からは釧路湿原と海岸線を車窓から最大限に満喫。青空は、湿原にまで映えていた。
そして、今日の宿のある浜中で下車。浜中町は、モンキー・パンチの生まれ故郷。無人駅だが、ルパン三世や不二子ちゃんが迎えてくれる。
夕暮れ前、8キロ先の霧多布岬を目指す。人とはほとんどすれ違わなかったが、馬とは遭遇。
霧多布岬に到着し、黄金色の夕焼けも絶景を独占し、しばしたそがれる。
帰り道は真っ暗で、蝦夷鹿や馬や熊に衝突する恐れがあるため、バスをひろい、一路宿に戻ると、豪華な海鮮丼が待っていた。
3日目
宿の人に勧めてもらった霧多布湿原をひたすら歩く。三時間歩いた先の琵琶瀬展望台からのパノラミックな風景に、歩き疲れも吹っ飛ぶ。ここで食べた厚岸牡蠣も絶品。気がつけば20キロ六時間の散歩。北海道の広さに、だんだん歩いたキロ数の感覚を忘れる。
そして根室へ向かい。北方領土をのぞみつつ、夕暮れを過ごす。デミグラスソースがかかったポークカツがのったエスカロップと食べたあと、花咲蟹も食す。歩いた甲斐は、胃袋でも満たす。
4日目
花咲線に続き、もう一つの今回の目的路線である釧網本線に乗る。釧路湿原を通り、川湯温泉で下車。
目指すは、にぶし温泉の屈斜路湖荘。湖畔は穏やかでまた美しく、そこでぼーっとしていたら、1日が終わった。
5日目
中標津在住の知人にドライブに連れて行ってもらう。雨模様も、北海道の大地には似合う。硫黄がグツグツしている硫黄山の景色も、雨だからこそ、神秘的な姿が映えていた。
そして知人がオススメしてくれた野付半島へ。不思議な形と風景で、北海道の地形は本当に面白い。そこから一気に知床へ。羅臼で食べたえび丼は、真っ赤っかで眩しくぷりっぷり!
羅臼昆布を購入し、今日の宿、清里に到着。夜は、昼間の雨が嘘のように、満天の星空が広がっている。
6日目
清里での朝焼けは、ジャガイモ畑も照らしていた。
本日は晴天なり。屈斜路側から見た摩周湖に続き、裏摩周を尋ねる。これまた絶景。
そして一路中標津へ。草原には「牛」の文字。牛乳ソフトクリームも絶品。牛乳で乾杯するという、牛乳条例があるのも納得だ。
開陽台の展望台からは、パノラミックな草原そして北方領土まで一望できる。北海道は、山と海と草原とが広がっていることを全身で体感。
そして網走で、能取湖のサンゴ草の群生を見る。真っ赤な湖はとても綺麗で神秘的。
7日目
いよいよ最終日。天都山から朝の網走を一望し、旭川、千歳経由で苫小牧へ。名残惜しい、あっという間の6泊7日の旅が終わる。
破格のパスの魅力に惹かれて足を運んだ北海道。しかし魅力は鉄道だけではなく、9月の北海道はどこもかしこも、カラフルで万華鏡のように美しかった。食、温泉、風景、出会う人や動物全てが印象的。世界は6日で完成しても、北海道旅行は7日間でも完成しない。名残惜しいまま、仙台へ向かうフェリーに乗った。パスを購入した時に、旅の目的の半分達成した気になっていたが、旅は終わってもまだ道半ばだ。
他の季節に行ったら、また違った色の違った景色が楽しめるはず。そうだった。購入したパスは、“HOKKAIDO LOVE!周遊パス”。購入したのは、北海道がますます好きになる片道切符だったことに気づく。乗り鉄だからというだけではなく、ますます北海道が好きになったから、また北海道を訪ねよう。
コロナの時期だったからこそ、ゆったりと、最高のひとり旅を楽しんだ。次回は、友人や家族を連れて、もう一度同じところも訪ねてみたい。また、新しい出会いにも溢れるだろう。さて、何月に訪ね、どの路線に乗ろうか。もう、次の旅は始まっている。
山形をベースに、国内外を時に短期的に時に長期的に行き来する、蕎麦と温泉と夕焼けを愛する乗り鉄アラフォー女子。
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