途中下車の旅〜厚岸駅

ふらり気ままに鉄道で一人旅。
根室で一泊したあと釧路に向かう途中、理由もなく道東の厚岸駅で下車しました。

目次

次の列車まで

時刻表を見ると、次の列車は三時間以上先。
この待ち時間なら厚岸の町を一通り見て回れると思い、改札を抜けて駅の外へ出る。
駅前通りに並ぶのは数件の食堂だけで、コンビニの姿はなく、便利さは期待できそうにありません。
人通りも少なく、ちょうどよく萎びていて、典型的な地方駅の空気が臭う。

向かった先は海事記念館。
偶然見つけた小さなミュージアムですが、入館無料という点でまず合格。
港町という土地柄にも噛み合っており、暇つぶしに立ち寄るにはちょうどいい。

海事記念館

そこは、想像していたよりもずっとちゃんとした建物の博物館でした。
入口には素通りする理由が見当たらない程の「本日開館」を主張する看板が出ており、総合案内を見るとプラネタリウムまで併設されているらしい。

展示内容は、海で栄えてきた町であることが一目でわかる構成です。
漁船の展示をはじめ、厚岸で行われてきた漁の歴史や手法について学ぶことができる。
古くから牡蠣の産地として知られる厚岸ですが、その生産や流通が時代とともに変化してきた過程も展示されており、単なる郷土紹介だけで終わっていない点が印象的だった。
さらに、これまで名前すら知らなかった厚岸神楽についての紹介もあり、この記念館を訪れなければ知ることのなかった要素が多いです。

館内展示の中でも目を引くのが、「船のしくみ」と題されたコーナー。ここでは、実際に使われていた漁船から移設された操舵室がそのまま展示されています。
内部は当時の状態をほぼ維持しており、汽笛の音などの演出も相まって、実際に船に乗り込んだかのような感覚を味わえます。

なお、案内にはプラネタリウムの存在が明記されていたものの、訪問時は稼働しておらず、鑑賞することはできませんでした。残念。

厚岸大橋には大きなカモメが間近に

ふと海が見たく鳴り、厚岸大橋へ向かいました。
外海と厚岸湖を隔てる半島同士を結ぶ赤い橋で、橋の脇には歩道が整備されています。
歩いて渡っいけますが、風が容赦く吹付け、かぶっていた帽子が飛ばされそうになりカバンに押し込みました。
橋を渡り切った先も気になったのですが、時間の都合で引き返すことに。

帰り道、海事記念館で知った「牡蠣島」を探しながら歩く。
小さな鳥居と建物を見つけ、資料で見たものが実在することを確認できて、なんだか楽しい気分に。

そして驚いたのはその直後です。
橋のたもとに大きなカモメが平然と降り立ったのですが、一メートル以内まで近づいてもびくともしません。
それ以上近づくと、さすがに飛び去ったのですが、それまでは人間を気にする様子もありません。
これほど間近でカモメを見たのは初めてで、想像以上の大きさに思わず驚きました。

厚岸漁業協同組合直売店 エーウロコ

厚岸大橋の袂にある厚岸漁業協同組合直売店「エーウロコ」は、覗いた瞬間に格の違いがわかる直売所。
水揚げされたばかりの魚介類がずらりと並び、見ただけで鮮度が解ります。
値段も意外なほどリーズナブルで、普段なら躊躇するような食材にも手が届きます。

施設内でそのまま食べるのも悪くないのですが、この店の良いところは発送対応にあります。
購入した品をその場で配送できるため、持ち歩きに気を遣う必要がなく。おみやげ用途としては、これ以上ない条件。

親戚用と自分用にいくつか選んで送りました。
旅が終わった後も、北海道の味が楽しめるのは嬉しい。

道の駅厚岸グルメパーク

次の列車まで残り一時間あまり。
駅のすぐ近くにある、道の駅厚岸グルメパークへ向かいました。

ちょうど昼の時間帯で、美味しそうな店を探して館内を見て回る。
牡蠣をその場で焼いて食べられる店もあったのですが、最終的に選んだのは、厚岸ウイスキーと合わせて楽しめるオイスターバール「ピトレスク」。

厚岸ウイスキーは以前から存在を知っていて、入手は極めて困難な代物です。
蒸溜所であっても常時販売されているわけではなく、市場に出る際もほとんどが抽選販売になってしまいます。
ところが、ここでは提供メニューとしてきちんと飲むことができるのです。

注文したのは、厚岸ウイスキーのショット、三種の生牡蠣と味付けの異なる三種の牡蠣を組み合わせたセット。
牡蠣の濃い旨味とウイスキーの香りは相性が良く、昼食としては明らかに贅沢すぎる内容でした。

この組み合わせを、次にいつ味わえるかは分かりません。
だからこそ、もう二度とできないかもしれない貴重な経験ができました。

一つの旅の終演

そして、列車の到着十五分前に店を出ました。
名残惜しさを感じる間もなく駅へ戻り、やがて列車が到着する。釧路方面へ向かって、静かに動き出した。

車内に流れるアナウンスを聞きながら、さっきまで口にしていた牡蠣とウイスキーの余韻だけが、妙に現実感を持って残っています。
窓の外に広がっていた港町の風景は次第に遠ざかり、やがて列車は山の中へと入っていきました。

短い滞在ではありましたが、厚岸での体験を反芻しながら、次の目的地である釧路へ向かう。

※画像はイメージです。

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