冬の流氷や海の幸で知られる網走。でも、この街の魅力はそれだけではありません。
厳しい自然の中で育まれた独自の歴史や文化は、この土地を語るうえで欠かせない存在です。
なぜオホーツク文化はこの地で花開いたのか?
なぜ流氷が来る海で人は暮らし続けてきたのか?
そんな好奇心を満たしながら網走をもっと深く味わうなら、博物館めぐりがおすすめです。
博物館を楽しむ
網走の博物館は、網走駅からみて西側の市街地に2館、東側の天都山周辺に3館あります。
市街地エリア内、天都山エリア内であれば、それぞれ徒歩で巡ることも可能です。
ただし、天都山エリアにある博物館網走監獄と北海道立北方民族博物館は直線距離的には近いのですが、高低差のある山道を迂回するような道のりなので徒歩移動はかなり大変です。
両エリアを行き来する場合は路線バスなどの公共交通機関も利用できますが、北海道では本州とは比べ物にならないぐらい本数が少ないので、時間に制約が生じます。効率よく巡るなら、車移動が現実的でしょう。
では、それぞれの博物館の特徴と見どころを紹介していきます。
博物館網走監獄
網走といえば、「博物館網走監獄」というほど、名前を聞いたことがある人も多い、有名な博物館です。
ここには、もともとこの地にあった建物のほかに、木造の舎房や中央見張所、二見ヶ岡刑務支所の建物群などが、旧網走刑務所の敷地から移築されて保存・展示されています。
広い敷地に建物が点在しているので、ゆっくり見て回ると半日はあっという間に過ぎてしまいます。
それに緩やかな傾斜地なので、思いの外、体力をつかいます。
展示は、本格的な国家主導の北海道開拓が始まった明治からの歴史を軸に、当時の社会状況、網走監獄に収監された囚人の背景や人権意識にも触れる内容。
100年以上前に建てられ、重要文化財や登録文化財に指定された建物も複数あり、重厚な歴史を感じることでしょう。
展示を通して当時の囚人たちの過酷な労働や厳しい環境を体験できるようになっているですが、何より印象的なのは、囚人たちの暮らしを再現したマネキン。
思いのほかリアルで、ちょっとドキッとします。
北方民族博物館
アイヌ民族をはじめ、イヌイットやシベリア先住諸民族など、北方圏に生きてきた人々の文化と暮らしが紹介されています。
単に「寒い地域の民族」という括りではなく、厳しい自然環境の中で培われた生活の工夫に焦点が当てられているのが特徴です。
展示されているのは、衣類や住居模型、狩猟道具、日用品など。
動物の皮や骨、魚皮まで無駄なく活用した衣装は装飾も美しいのですが、防寒・防水といった機能性を徹底的に追求した作りになっています。
住居や防寒具の工夫を見ていると、寒さを遮断するための空気層の使い方や素材選びなど、現代の雪国の生活にも通じる知恵が少なくありません。
北方民族が育んできた文化を通して、厳しい自然で暮らす人々の知恵を知ることができます。
オホーツク流氷館
流氷の出来る仕組みや海にもたらす影響などを展示している、自然科学系の博物館です。
展示は、シアターやライブ映像を中心にした映像系コンテンツが充実していて、楽しみながら学べる仕組み。
「クリオネ」やオホーツクに生息する珍しい生き物のミニ水族館もあって、思いの外に可愛い。
さらに、体験型コーナーも人気です。
実際の流氷が展示され、直接触れられるスペースにはキタキツネの剥製がさりげなく置かれていて笑えます。
濡れたタオルを振り回して一瞬で凍らせる“シバレ体験”は、ちょっとテンションが上がりますね。
ほどよい遊び心があって、少しゆるさのある博物館です。
網走市立郷土資料博物館
市街地にある、網走の自然と歴史を学べる博物館です。
北海道を代表する建築家 田上義也の設計によって1936年竣工。
モヨロ貝塚を発見した米村喜男衛が、資料の散逸を防ぐために住友財閥の支援を受けて創設されたらしく、郷土館としては、なかなか経緯です。
建物の見た目や内装がとてもモダンで洒落ていますが、市立と聞いて想像するよりも規模はこぢんまり。意外とコンパクトで、見学自体はあっという間に終わります。
展示は、動物の剥製がずらりと並ぶ自然コーナーから、発掘された土器類、アイヌの人々の生活資料、そして家庭用品まで幅広い構成。
なかでも昭和のくらし再現コーナーは、どこか懐かしい。
モヨロ貝塚館ー網走市立郷土資料博物館分館ー
網走市立郷土博物館分館 モヨロ貝塚館
網走郷土資料博物館の分館で、本館から車で5分ほどの網走川の河口付近にあります。
本館の分館という位置づけですが、外観はむしろこちらのほうがそれらしいので、思わず「分館なのに?」と笑ってしまうかもしれません。
ここで紹介されているのは、アイヌ文化の形成に影響を与えた可能性があるとされるオホーツク文化人の遺跡とその文化。モヨロ貝塚から出土した資料を中心に、海獣猟を基盤とした暮らしや独特の埋葬習慣などが展示されています。
モヨロ貝塚周辺に暮らしていた人々は「モヨロ人」とも呼ばれますが、その起源やアイヌ文化との関係については、いまだ議論が続いています。完全に解明された文化ではなく、謎の民族といえます。
けっこうな数の動物の頭蓋骨があるため、苦手な方は少し考えた方がよいかもしれません。
博物館を巡ろう
網走の博物館は、どれも地域の歴史を独自に紹介する個性豊かな施設ばかりなので、複数の館を巡ることで、網走という土地の特色や北海道の歴史的背景をより深く知ることができるでしょう。
実際に訪れてみると、一日では周りきれません。
網走監獄だけで、半日使ってしまいました。
私としては、観光旅行として訪れる価値が十分あると思いますし、知的好奇心が満たされて楽しく、十分な魅力があります。


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