北海道南西、支笏洞爺国立公園内に位置する支笏湖は、約4万年前に火山の噴火によって生まれたカルデラ湖であり、現在でも北海道の内外問わず人気を博す湖です。最大水深約360mと非常に深いながらも抜群の透明度を誇るその姿は、神秘的でありながらどこか恐ろしさも感じさせます。
名前の響きから「死骨湖」と呼ばれ心霊と関連付けられることもあるようですが、果たしてどのようないわれがあるのでしょうか?
自然が作り出す恐怖体験!?支笏湖であった怖い話
支笏湖にまつわる不可思議なエピソードは、本格的な開拓がはじまるより遥か昔の江戸時代にすでに存在していました。
今から300年ほど前、飛騨屋久兵衛という木材商が支笏湖で木を伐りだす仕事をしていたときのこと。突如湖の中から栗色の毛に覆われ大きな耳を持つ、3mはあろうかという怪獣が長い首を突き出してきて、大層驚いたという話を残しています。久兵衛がそれをアイヌの古老に話すと、それは支笏湖に昔からいる大亀で、人を害したことはないとのことだったそう。
300年たった今でも、もしかするとその大亀が底の底に潜んでいるかもしれません・・・そんな神秘的な風情が確かに支笏湖にはあります。
その雰囲気からか、近年では「死骨湖」の名前もささやかれるように。
深い湖の底には藻が茂っており、一度沈んでしまったものは藻や木の根が絡みついて二度と上がってくることができないとか・・・。
幽霊を見たという噂や、雰囲気に呑まれかけたという体験談もしばしば耳にします。また、周辺には風不死岳と「死」の名をもつ山もあり、ここではヒグマが頻繁に出没し死亡事件も起こっています。
あたり一帯に何かどうしようもない力が満ちていて、我知らず引き寄せられてしまうような・・・そんな心地がするのかもしれません。
支笏湖は死骨湖だったの?その名の謎に迫る!
大河ドラマで話題となった「血洗島」などは武士が切り落とされた片手をあらったことから名づけられたそうですが、支笏湖は北海道の地名のほとんどがそうであるように、アイヌ語から名づけられた名前です。よって「シコツ」という響きと日本語の「死骨」には何の関係もありません。
その昔、現在の支笏湖並びに千歳市周辺は、アイヌ人の間でシ・コッ(大きな窪地)と呼ばれていたそうです。江戸時代になり和人が地図を作るようになると、シ・コッは「志古津(福山秘府)」「志骨(蝦夷商賈聞書)」「支骨(蝦夷日記)」と様々に表記されるようになりました。
では千歳市という名前はどこからやってきたのでしょうか?明治17年に刊行された「北海道志」によれば、初代箱館奉行の羽太正養が「シコツ」の響きは「死骨」を連想させて縁起が悪いとして、鶴の生息地であったことから「鶴は千年」にちなんで名付けたそうです。
そんなこんなで「シコツ」という地名は今や支笏湖にのみその響きを残しています。そして羽太正養の懸念通り、別名「死骨」湖であるとささやかれています。「千歳湖」であればそういった噂も立たなかったでしょうが・・・・・・アイヌ語の響きを今に伝える大切な地名なのです。
年中楽しめる観光地!神秘の湖を体感しよう!
支笏湖は3つの活火山に囲まれ、周囲には9割が自然林のまさに原始のままの森が広がるという非常に力強いスポットです。
夏には種々のアクティビティを体験できるのはもちろん、冬には氷濤祭りが開催されるなど、1年中楽しめる観光地となっています!
その湖畔に佇めば、その類まれな深さ、透明度に魅了され、思わず深くのぞき込んでしまいたくなることでしょう。
大自然の持つ抗いがたい力に引き寄せられてしまい、ちっぽけな自分が成す術もなく呑み込まれてしまうような……そんな湖。
皆さんも支笏湖を訪れて、不思議な力を感じてみてはいかがでしょうか?
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