北海道あるある?!ジンギスカン戦争

ジンギスカンといえば、北海道ローカルフードの代名詞。
異論は認めない。というか、ここで否定するやつは羊に謝って欲しい。

さて、このジンギスカン、北海道ではわりと本気のいさかいを生む危険な食べ物であります。
何が原因かなのか、産地、肉の部位、メーカー、そんなものは前座にすぎず、本丸はタレ。

私はいわば「元内地の人間」なので、道民の血に刻まれた魂レベルまでは正直理解できません。
とはいえ、こういう食べ物絡みの内戦なんて、どの地域にも掃いて捨てるほどありますよね。

目玉焼きに何をかける、醤油、ソース、はたまた塩。
厚焼き玉子は甘いのか、しょっぱいのか。
気づけば卵ばっかりだが、要はそういう話です。

外野から見れば不毛でも、当事者からすれば生死に関わるのです。それが食文化の真髄でしょう。
その視点で見ると、ジンギスカン戦争はまさに北海道あるある。

「ジンギスカンの食べ方って、そんなにバリエーションある?」
そう思った内地のあなた⋯甘い。ビートより甘い。
ジンギスカン『タレ』戦争について話を進めていきます。

目次

ジンギスカン戦争、勃発までの道のり

ジンギスカンは「旅行で北海道を訪れた際に店で食べるもの」という認識の人が大半でしょう。
ですが地元民にとってジンギスカンは、もっと日常的な存在で、普通に家で食べます。

家でホットプレートを囲み、家族で焼き肉をする。そんば光景自体は、どこの家庭にもあるはずです。
違うのは一つだけ、鉄板に乗っている肉が、牛、豚、鶏以外に羊肉。
家庭によっては、羊肉だけというケースもあるのです。

そしてこの「家庭で食べる」という事が、事態をややこしくします。
家庭ごと、地域ごとに、タレも食べ方も違う。

そう、道民はジンギスカンに関してこだわりが強すぎるように思うのです。
その結果、ちょっとした違いを軽く扱うと、簡単に戦争が始まります。

事情その1〜肉

ジンギスカンといえば羊肉。北海道のスーパーでは、羊肉は珍しい食材ではありません。
牛・豚・鶏と並び、当たり前の顔をして専用コーナーを与えられ、焼肉売り場にも当然のように鎮座しています。

問題はここからで、羊肉と一口に言っても、ラムとマトンがあり、さらに、冷凍ロール、味付き、タレ漬け、生肉と選択肢は無駄に多い。

事情その2〜焼き方

そして分岐点として、焼く前にタレに漬けるのか、焼いてからタレをつけるのか。
ジンギスカンにおける地雷原であり、地域差が最も露骨に現れるポイント。

滝川市を中心とした道北エリアでは、焼く前にタレで揉み込む「もみだれ」が主流で、最初から味が完成していることを良しとする。
一方、函館や釧路などでは、焼いてからタレをつける「後付け」が主流。
肉は肉、タレはタレ。役割を混ぜるなという思想と考えられます。
札幌や帯広はというと、地域や家庭によって見事に混在で、結果、話題に出すと空気が一瞬止まるほどです。

名寄市には、大正時代に広まったとされる「煮込みジンギスカン」なる異端まで存在し、焼く前提の料理という常識を、平然と破壊してきます。

さらには、野菜の上に肉をのせる蒸し焼き、肉と野菜は分けて焼く、野菜は焼かず肉だけという派閥や、具材を焼く順番が決まっているケースも合って、事態をややこしくするのです。

このように、どのジンギスカンで育ったかによって、正解だと思っている食べ方が違い、そして人は、自分が慣れ親しんだ味を「普通」だと思い込み、それ以外を否定しがちに思います。

ジンギスカン「タレ」戦争

最大の争点ともいえるタレ問題、戦争の勃発です。

ジンギスカンのタレは、基本的には醤油ベースの甘辛い味付けが主流。
醤油を軸に、りんごや玉ねぎなどの野菜、にんにくや生姜といった香味野菜が叩き込まれます。
もちろん、それだけでは終わらず、塩味、味噌味、スパイス強め等、配合はメーカー、店、家庭ごとにバラバラで、正解など存在しません。

ですが、北海道には、どう足掻いても避けられない二大勢力が存在します。
ベル食品の「成吉思汗たれ」と、ソラチの「特選成吉思汗」。
なお、道民はジンギスカンのタレをまとめて「ジンタレ」と呼びます。

ベル食品とソラチ、どちらのジンタレも歴史が長く、他メーカーのタレも数多く存在しますが、最終的に人はこの二つのどちらかに帰属することになります。

まず、ベル食品の「成吉思汗たれ」。
醤油ベースで、全体的にスパイシー、玉ねぎに加え、にんにくと生姜が前に出る。
香辛料の主張が強く、クセのある羊肉をさっぱり食わせにくるタイプ。

対するソラチの「特選成吉思汗」は、やや甘め。
こちらも醤油ベースですが、玉ねぎに加えてりんごをたっぷり使用し、少しとろみがある。
子どもにも受けが良く、味は濃いめで、ご飯が消える、危険な方向に完成度が高い。

さらに追い打ちをかけるように、店のオリジナルタレ、市販される専門店の味、ローカルメーカー製品が乱入し、そして最後に現れるのが、タレ不要派、塩派、スパイス派、家庭の秘伝レシピ派という勢力。

ここまで来ると、もはやカオス。
ジンギスカンは料理ではなく、思想の衝突なのかもしれません。
同じ鍋を囲んでいるはずなのに、頭の中では全員それぞれの正解を焼いて⋯それはそれは戦争にもなるでしょう。

ジンタレさえあればOK?

ジンギスカン戦争はまさに北海道あるあると言えるでしょう。
外から見ると笑い話でも、中にいると、割とかなりガチ。

ちなみに、夫の実家では食べ方そのものに強いこだわりはなく、もみだれの肉も食べるし、ラムを塩コショウだけで焼くこともあって、その辺は柔軟です。

ですが、ジンタレだけは別。
なぜか頑固にベル食品派。
美味しそうだと思って別メーカーのタレを買ってきても、ガンとして手を出しません。
そのタレでジンギスカンを焼いて食卓に出そうものなら、普通に文句が出ます。

食べ方は変えられるのに、タレは変えられない。
不条理だとは思いますが、「道民だから」という、万能すぎる理由でこちらが折れることになります。
何を言っても、すべて却下され成立しません。

さて、皆さんのご家庭ではどうでしょう。
譲れないタ、許されない焼き方、空気が凍ったジンギスカンの思い出。
あればぜひ、コメントで教えてください。

安心してください、ここでは誰も否定しません……たぶん。

※画像はイメージです

面白かった?

平均評価: 0 / 5. 投票数: 0

投票がありません、最初の評価をしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

\ コメントくださ〜い /

コメントする

コメントは日本語で入力してください。(スパム対策)

CAPTCHA

目次