25歳の時、現実の辛さに押しつぶされ、仕事を辞めて今後どうするか考えていました。
せっかくなら長期旅行と思ったですが、そんなお金はどこにもありません。
そうしていると、たまたまネットで2週間の農業インターンシップを見つけたのです。
元々農業に関心があって、どうせなら一次産業が盛んで規模も大きい北海道にしたいと思い、募集を調べるてみると、野菜、畜産、いろいろとありました。
そこで見つけたのが浦河町の競走馬飼育。
これは珍しいかもと、牧場のお手伝いに参加しました。
浦河町の印象
私の北海道は十勝地方で、広大な農地で畑を耕す程度の浅はかさ。
浦河町も、競走馬の飼育が盛んな土地であるということ、場所さえも初めて知ったのです。
8月の後半、本州ではまだまだ夏真っ盛りなのに、なんだか肌寒さを感じました。
駅に付いたのは良いけれど、小さなプレハブ小屋だけで何もありません。
初めて体験した無人駅で、駅前なのにコンビニすらなく、不安に押しつぶされになりながら、牧場主が迎えに来てくれるのを待ちました。
予定の時間よりかなり遅れてやってきた牧場主に若干の不信感を覚えながら、車にのって牧場へ向かいます。
当たり前かもしれませんが観光地の雰囲気とは程遠く、途中で見かけたお店の殆どはシャッターが閉まっていて、市街地を抜けるとひたすらの大自然。
家がポツンポツンと見える広い土地、時々馬を見かけながら、ようやく到着した牧場。日が暮れつつあり、街頭なんか無く、家のから漏れる灯りだけで辺りは真っ暗です。
これから2週間、うまくやっていけるだろうか・・・一抹どころでは無い不安が頭をがよぎりました。
牧場での日々
牧場での仕事は朝の馬に餌やりから始まります。
名前は忘れてしまいましたが四角い牧草かなにかを固めたフードに麦や塩などを混ぜ、馬たちの餌入れに入れていくのですが、思ったよりも大変です。
慣れてくるとじゃれてくる馬もいます。
動物は正直で誠心誠意対応すれば懐いてくるし、そうでなければ察しますので、嬉しいと思う反面、いつも余裕が無い時がばかりでイラッとします。
そして何より大変だったのが馬小屋の掃除。糞尿のついた草がとても重く、道具も上手く扱えず、最後まで苦戦しました。匂いは最初のうちは臭いとおもったのですが、次第に慣れて、なにも感じないようになりました。
一緒に働いていたパートの女性は、牧場を掛け持ちしていると聞いて体力あるなあと驚いた。
泊まり込みで朝早くから夜遅くまで重労働、娯楽は無い環境なので、夜逃げ同然にいなくなってしまう従業員が割といるらしいのです。
私は2週間ですが、この作業がずっと続き、冬になり雪が降ったらと思うと、ちょっと無理かな。
理想と現実の違い、一次産業の厳しさを思い知ります。
いろいろな思い巡り
インターシップ最後の日、牧場主は私を労って、盛大に馳走してくれました。
自分たちの事、牧場の事、牧場で働くことの厳しさや楽しさを教えてくれ、安易な気持ちでは出来ない仕事だという、現実を思い知ったのです。
今まで体験したことのない、泊まり込みでの肉体労働で、都会との違う時間の流れ方。
人間関係のストレスはないのですが、自分のペースでやると終わらない仕事。だからといって、一人ひとりに責任があるので、最後までやりきらないとならない厳しさ。
2週間しかいなかったものの、いままでの自分を見つめ直す転機となる体験でした。
最終日に見た、あの満点の星空の美しさが心に残り、今でもふとした瞬間に思い出します。
※画像はイメージです。


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