ホッキ貝のおもしろい生態と特徴、北海道との関係性や取り組みについてお伝えします。
また食としてのホッキ貝もご紹介していきますので、ぜひ目を通してみてくださいね。
ホッキガイってどんな貝?
ホッキ貝は北海道や東北地方で古くから食用として広く流通している貝です。北海道はホッキ貝の漁獲量で全国堂々の1位。現在では関東でも一般に流通するようになりましたので、皆さんもお寿司屋さんなどで見かけたことがあるのではないでしょうか?
艶やかな紅色が目を惹きますね。
ホッキ貝 名前の由来
ホッキ貝は二枚貝の仲間、バカガイ上科バカガイ科の一種で別名を「ウバガイ(姥貝)」と呼ばれています。
じつはこのウバガイこそがホッキ貝の正式名称なのです。しかし、通称として親しまれているのは”ホッキ貝”なので少し不思議に思いますよね。
でも、そこにはしっかりと由来があるんです。
ホッキ貝を漢字で書くと「北寄貝」となります。これはホッキ貝が最も採れる地域である北側、つまり北海道や東北など”北寄り”の地域に由来しているためです。
ちなみにアイヌ語でホッキ貝は「ポクセイ」と呼ばれています。「ポク」は下、「セイ」は貝を意味するといわれています。由来には諸説ありますが、ホッキ貝の生態に基づいているのではないかといわれています。
砂地に生息し、潮が引くと砂の中に潜ってしまうホッキ貝はつねに”下”にいるということからポクセイになったのではないかと考えられています。
ホッキ貝の生態と特徴
大型の二枚貝であるホッキ貝は大型で約10センチにまで成長します。殻は厚く、硬いのが特徴です。貝殻の色は環境によって変わりますが、基本的には黒みがかった茶色をしています。身は紫に近い褐色です。
ほとんどのホッキ貝は2〜3年で成体になります。
意外にもホッキ貝の寿命は長く30年ほどといわれています。これは同じ二枚貝であるアサリやハマグリの約3倍に匹敵します。
ホッキ貝の分布は日本海北部、茨城県以北の太平洋、シベリア沿岸で、冷たい海の浅瀬に生息しています。ホッキ貝は自分で動くことはできないので砂浜で見かけるケースも多く、潮干狩りでも採ることが可能です。
5〜6月に産卵し、卵は海中で孵化します。その後はプランクトンとして海を漂い、やがて海底に沈着して成長します。
厚い殻でおおわれ大型に分類されるホッキ貝の天敵は「カシパン」です。
カシパンは見た目こそヒトデにそっくりですが、ウニの仲間です。カシパンはホッキ貝と同じ環境を好むため、餌であるプランクトンの取り合いがおこります。また、カシパンはホッキ貝の水管をふさいで栄養を摂取できなくしてしまうこともあります。
ホッキ貝が持つ透明な棒の正体は?
ホッキ貝にみられる細く長い透明の棒……これを寄生虫だと思いこんでしまう人は少なくないようです。しかし、これはホッキ貝の組織の一部であって決して寄生虫ではありません。
この透明の棒状のものは「桿晶体(かんしょうたい)」といって、ホッキ貝を含む多くの二枚貝が持っている器官です。桿晶体はホッキ貝が食べたもの(主にプランクトン)の消化を助ける役割をもっていて、ゼラチン質で形成されています。
私たちが桿晶体を食べてもとくに害はありません。ただし、すべてのホッキ貝に寄生虫がいないとも限りません。たとえば「アニサキス」や「ヒモビル」がその代表です。ヒモビルに関してはとくに食中毒の危険はないのですが、アニサキスは別です。
アニサキスは食後数時間〜十数時間のうちに食中毒を引き起こし、悪心、嘔吐、はげしい腹痛を生じます。また、アニサキスはホッキ貝の内臓に寄生するとされているので、自分で調理をする場合は注意が必要です。
北海道の取り組み
北海道はホッキ貝の主要な産地として知られています。年間約4000トンの水揚げ量を誇り、さらにホッキ貝の持続的な利用を目指した資源管理など、さまざまな取り組みがおこなわれています。
ホッキ貝 突き採り漁業
ホッキ貝の突き採り漁は、北海道 渡島総合振興局管内北斗市でおこなわれている伝統的な漁法です。6〜8メートルほどのアルミ製の棒で海底を突いてホッキ貝を探り当てます。
棒の先端には4本の爪(ヤス)が取りつけられており、ホッキ貝を壊すことなく挟みこむことが可能です。
ホッキ貝の繁殖と管理
北海道ではホッキ貝の資源を守るため、漁獲できる量を決めています。また、殻の長さが7.5センチ以下(北斗市 旧:上磯町では9.0センチ以下)のホッキ貝を採ることを禁止するなどの規制もおこなわれています。さらに産卵期や稚貝の成長期に禁漁期間を設けることで、資源の保護につとめています。
食べると美味しいホッキ貝!
ここではホッキ貝の食としての魅力をお伝えします。近年では、お寿司のネタとしても人気を高めているホッキ貝は歯ごたえが良く、噛めば噛むほどに甘みが広がっていく非常に美味しい貝です。
ホッキ貝 道内産地
北海道におけるホッキ貝の漁獲量は4800トンほどです。中でも苫小牧市は約800トンの漁獲量を誇っています。これは国内の約15パーセントを占めていることになります。また、市町村別では20年連続で日本一です。
ホッキ貝の旬はいつ?
基本的にホッキ貝は年間を通して入手でき、おいしく食べることができます。そんな中でとくにおすすめの時期が冬から春にかけてです。冬の冷たい海水で身が引き締まり、また産卵前で栄養が蓄えられているホッキ貝は肉が厚くて味も濃厚です。
ホッキ貝はどうして赤くなるのか
上記でも述べたとおり、本来ホッキ貝は全体的に紫に近い褐色をしています。それが火に通すことで鮮やかな赤色に変化するのです。では、なぜ赤くなるのでしょうか?
これは皆さんもよくご存知のエビやカニと同じで、アスタキサンチンと呼ばれる赤色色素(カルテノイドの一種)が含まれているためです。
この物質は熱を加えることでタンパク質から分離し、空気中の酸素によって艶やかな色へと変化します。
また、アスタキサンチンには抗酸化作用のほか、美肌効果や疲労回復、ストレス軽減に効果があるとされており、最近ではサプリメントとしても広く扱われているほど注目されている栄養素でもあります。
ホッキ貝を使用したオススメ料理3選
ホタテと同じくおいしい貝として話題のホッキ貝は、お寿司のネタのほかにも、焼く、煮る、揚げる、炊くなど、その調理法はさまざまです。ここではホッキ貝を使用した料理でとくにおすすめの3つをご紹介します。
苫小牧のホッキカレー
北海道、苫小牧市内では以前からホッキ貝を使用した”ホッキ貝カレー”が家庭料理として人々に愛されてきました。ホッキ貝特有の甘みと旨みにカレーのスパイスが絡み、クセになるひとも多い一品です。現在では飲食店などで手軽にホッキカレーを堪能することができます。苫小牧市内を訪れた際はぜひお試しくださいね。
ホッキご飯
コリコリとしたホッキ貝の触感と、炊き込みご飯の甘みが絶妙にマッチ。口にいれた瞬間にやさしくてどこか懐かしい味が広がります。
室蘭市母恋駅で売られている駅弁、「母恋めし」もおすすめです。10センチを越えるホッキの殻の中に、ホッキ貝をふんだんに使った炊き込みご飯が詰めこまれています。
お刺身
やはりお刺身は外せませんね。さいごに紹介するのはホッキ貝のお刺身です。歯切れの良いホッキ貝の食感とあとに広がる余韻を存分に味わうことができます。
オーソドックスな食べ方ではありますが、醤油やわさびにサッとつけて食べるのがオススメです。さらに軍艦、カルパッチョ、手巻き寿司など多彩な食べ方ができる点もいいですね。
※画像(ご用意ありましたらお願いします)
インパクト最大級!一度みたら忘れられない”ずーしーほっきー”
北海道北斗市の公式キャラクター「ずーしーほっきー」は、2016年の北海道新幹線新函館北斗駅開業を盛りあげるため、2013年に誕生しました。
5つのキャラクターの中から選ばれたずーしーほっきーですが、そのあまりに衝撃的な容姿にネットでは「キモイ」「コワイ」「狂気じみてる」「目の焦点がおかしい」「戦略的に正解」などの声があがりました。
強烈なインパクトを放ちながら、しっかり北斗市の特産物であるホッキ貝とふっくりんこ(ブランド米)をモチーフにしています。お世辞にもかわいいとは言えない・・・しかし、一度見たら忘れないルックスを兼ね備えています。
その証拠に「一度みたら忘れない ご当地キャラクターランキング」では全国1位に輝いています。
この結果に驚きよりも当然と思ってしまうのは筆者だけでしょうか。ずーしーほっきーの今後の活躍がたのしみでなりません。
北海道とホッキ貝のお話、いかがでしたでしょうか?
ホッキ貝の生態や特徴、北海道での取り組み、おいしいホッキ貝料理、そしてホッキ貝をモチーフにした公式キャラクター「ずーしーほっきー」をご紹介させていただきました。筆者もよくお寿司でホッキ貝を食べていたのですが、本記事を書いてはじめてホッキ貝の茹でる前の色を知りました。
また、二枚貝の仲間の中でもホッキ貝は、その生態からしても非常に興味深い貝だなと感じました。海の幸が豊富な北海道にはまだまだ魅力的な生きものがたくさんいます。
これからもそんな北海道の生きものたちをどんどんご紹介していけたらと思います。
※写真はイメージです。
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