2022年8月、北海道各地において大量発生した昆虫がいます。その名も、クスサン。いったいなぜクスサンは大量発生したのか。クスサンは蛾の一種です。「おおきくて怖い」「モスラみたいな蛾」と語られるクスサンの正体、実態に迫っていきます。
モスラ似の蛾【クスサン】いったいどんな虫?
ここではクスサンが発生する時期や、クスサンの生態、分布についてお伝えしていきます。
クスサンは私たちの身近に生息する大型の蛾で、チョウ目・ヤママユガ科の一種です。幼虫は主にクリやクヌギ、サクラやウメ、クスノキ、イチョウといった樹木の葉を食べることで知られています。
クスサン(成虫)の体長は10〜13センチ程度です。発生時期は9月〜10月にかけてがもっとも多く、分布は「北海道」を含め、日本国内では「本州」「四国」「九州」「沖縄」と広範囲に及びます。
こちらは北海道にて大量発生したクスサンの写真です。みなさんも一度は目にしたことがあるかもしれません。クスサンの翅は灰色がかった黄色から、濃い赤褐色と、その翅の色は多岐にわたります。
翅をひろげると4つの丸い模様が見受けられます。これは「眼状紋」といって一種の擬態と考えられています。つまり、敵に対する防御のための模様というわけです。
もちろん、クスサンの目は、胴の前方に位置しており、正面から見てみると目はおおきく、頭から伸びた葉っぱのかたちをした触角といい、胴を覆うフワフワの毛といい、単体で見るとそこまで恐怖を感じません。
クスサンは害虫か、否か?
今回、北海道で大量発生したクスサン……やはり、気になるのはクスサンが害虫かどうかではないでしょうか。10〜13センチと非常におおきな蛾です。もしも、害があるとしたらとても心配ですよね。
しかし、ご安心ください。
クスサンは毒を持たない蛾です。クスサンの幼虫も成虫も毒を持っていなく、直接的な害はありません。しかし、農業的には多大な被害をこうむっているのも事実です。
じっさいにクスサンの幼虫は食欲旺盛です。一枚の葉っぱを丸ごと食べてしまうことが多々、見受けられます。樹木が丸裸に……なんていうこともあるみたいです。
クスサンは温暖な地域で多く発生しやすい傾向にあります。近年の気温上昇にともない、北海道でもクスサンが大量発生するといったことがおきています。
クスサンの成虫は基本的に夜に活動をおこないます。夜間、街灯などにクスサンが集まっているといった光景を目にした方も多いのではないかと思います。
成虫はおおよそ1週間から10日ほどの寿命のうちに卵を産みます。卵を産みつける主な場所は街灯や、民家の壁です。
ちなみに、クスサンの成虫は口が退化しているため、葉などの餌を食べるといったことはありません。
クスサンに殺虫剤は効かない
民家の近くを飛び回るクスサンを駆除するにはどうしたらいいのか。残念ながら、クスサンの成虫に殺虫剤は効果がありません。そのため、クスサンの発生を抑えるには孵化する前の卵を駆除する必要があります。高圧洗浄機などを使うと除去しやすくなるのでお試しください。また、ヘラなどではぎ取って土中に埋めてしまうのも効果的です。
なお、地面に卵を放置してしまうとクスサンは春に孵化してしまいますのでご注意ください。
北海道内にて大量発生!
令和4年の夏、北海道の各地でモスラに似た巨大蛾が大量発生しました。ただでさえサイズがおおきなクスサンですが、それが大量発生となるともはや怪奇現象ですよね。
令和4年、いったいどうしてクスサンはこれほどに大量発生したのでしょうか?
結論からいいますとその原因は未だに解明されていません。しかし、いくつかの要因があげられています。それらの一つに気候変動などによる環境の変化や、クスサンの天敵である鳥類や昆虫類の減少があげられています。いずれにしてもクスサン大量発生の原因はわかっておらず、複数の要因があるとされています。
また、今回のような大量発生は今後も起こる可能性があると予想されています。
どうなる、北海道?
いかがでしたでしょうか?
単体でクスサンを見るのと、複数匹で群がっているクスサンを見るのとでは、けっこうな差がありますよね。たしかにクスサンの姿はかの怪獣映画に登場するモスラにそっくりです。
もしもクスサンがさらに巨大化したら……そう考えるだけで背筋につめたいものが走ります。そうなればきっとCGなしの実写映画が一本、撮れるかもしれませんね。
ともあれ、このままクスサンが大量発生を続けたのでは農業に甚大なる被害がでそうです。クスサンの大量発生を抑える名案はなにかないのか?そう頭をひねった筆者は、あるおもしろい記事を目にしました。
その記事にはクスサンを調理し、じっさいに食べてみた感想が書かれておりました。
なるほど……と筆者は思います。
大量発生して問題になっているクスサンを食べる……そういった手もあるのだと、胸のうちで手を打ちました。たしかに昆虫というのは栄養価が高く、ある地域では古来より食料として重宝されてきました。いっそのことクスサンを食べてしまう。それもまたあり得なくないのかもしれません。
さて、今回は北海道で大量発生をした巨大蛾、クスサンについてお伝えしてまいりました。それではこのあたりでお別れです。
このたびも最後まで目をとおしてくださいましてありがとうございました。
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