日本で最初のバットレス式(水圧を受ける側の壁を格子状のコンクリートで補強した形式)のダムが函館市内にあります。
目の前の広場には芝生があり、函館市民の憩いの場ともなっている笹流ダムです。
歴史や概要など
水道という概念のなかった江戸時代の日本では、近隣の河川から直接水を集めて生活用水として使っていました。
しかし函館(当時は箱館)には取水に使える河川がなく、長い時間と多くの労力を使って遠く離れたところを流れていた亀田川を市内に分流させることで水源を確保するという苦労を経験していました。
さらにそこで起こったのが1859年の国際貿易港としての箱館港の開港で、アメリカやイギリス、ロシアなどから渡ってきた外国人や、商売のチャンスと見た国内の移住者増加によって人口が増え、港町として急速に発展を続けたため、水の需要は年々逼迫していきました。
1877年頃には川の水が原因と見られるコレラが流行したこともあって西洋の近代的水道が必要と判断され、1889年には横浜に次いで日本で二番目の水道整備が函館で行われました。
その水道供給力増強を図るための水源として1921年に着工、1923年12月に完成したのがこの笹流ダムです。
先述した通り日本初のバットレス式ダムですが、日本では同型式のものは笹流を含めて6基しか現存していません。
2001年には土木学会推奨土木遺産に、2008年には近代化産業遺産群に登録されるなど歴史的な価値も非常に高いと言えるでしょう。
おすすめ
建造当時は高価であったコンクリートを節約するために選ばれたといわれるバットレス式のダムは少々無骨な印象を受けますが、山の多い近隣の地形にあって格子状に組まれたコンクリートには独特の雰囲気を感じることが出来ます。
ダムの横側からは高さ25メートルの堤に登ることもでき、湛えられた青く美しい水を間近に見ることもできます。
また、ダムの前にある広場は函館市民の憩いの場としても愛され利用されており、春は桜、秋は紅葉を楽しむこともできる絶景スポットとなっています。
特に桜は、同じ市内にある有名な五稜郭公園にも負けない美しさです。
アクセス
函館駅から車で30分、路線バスでも40分ほどでアクセスできる距離ですが、バスに関しては本数が多くない(日中帯は1時間に1本)のであらかじめ時間をチェックして行くことをおすすめします。
\ コメントくださ〜い /