今からだいぶ昔の学生の頃、旅の本を読んでいると日本端っこめぐりの記事が目につきました。
最東端の納沙布、最西端の与那国島、最南端の波照間島、最北端の宗谷岬、それぞれを巡ろうと決意し、学生時代の最後の夏、まずは北海道を制覇しようと納沙布岬へ行くことにしたのです。
道東の出会い
納沙布岬へ行った夜、根室駅前の居酒屋で食事をしていると、昆布漁師をしているAさんに出会いました。
Aさんが熱く語る海の話で意気投合し、なりゆきで3日間、昆布漁を手伝うことになったのです。
貧乏学生にはとてもありがたいし、なかなか体験できる機会がなく、願ってもないことと、そのままAさんの家に向かったのでした。
翌朝6時頃、奥さんに起こされて軽トラックに乗り込み、眠い目をこすりながら花咲港近くの浜辺で、夜中に漁へ出たAさんの船が戻って来るのを待ちました。
昆布は分厚かった
帰ってきた漁船の甲板には、どっさり昆布が載っています。
ふだん目にする昆布といえばペラペラのイメージですが、獲れたての昆布は厚さが1〜2センチあってずっしりと重く、網を一所懸命引っ張りますが思うようにいかず、なかなかの重労働です。
船から降ろした昆布は、砂浜に広げて干すのですが、まずは広げるまでが一苦労。
その後、しばらくしてからひっくり返す作業を何度も繰り返します。
これを毎日続くというのは、なんて過酷な仕事なんだと思ったのですが、何事もなかったかのようにヒョイヒョイと作業をするAさん達をみて自分の非力さを感じてしまいました。
昼頃には疲れてクタクタになっていたところに、ご馳走になったおにぎりの美味しかったことを忘れません。
雨の日
次の日は雨で、漁の仕事はお休みでした。
皆で寝坊して遅めの朝ごはんを食べた後に、網の綻びを直します。
見よう見まねで手伝いながら、私の事やAさんが他の仕事をしないで漁師をしている理由、奥さんとのなれそめ等など、ゆったりとした雰囲気な中で他愛もない話に花が咲きました。
ふと気づいたのですが、北海道は夏でも寒いなと。
最後の3日目は晴れたので、浜で昆布と格闘です。
その日の夕食、手伝いとお礼として奥さんの握り鮨をごちそうして頂きました。
ヒラメやエイ、筋子など本州ではお目にかかれないネタが山ほどあり、お腹いっぱいです。
ありがとう!さようなら!
居酒屋で知り合った初対面の人を三日間も泊めてもらい、仕事の手伝いまでさせてもらう、とても貴重な体験。
北海道の広い大地のような、とても素朴なお人柄に触れることができました。
Aさんとお別れして、納沙布岬から北の海を見つめながら、最北端の宗谷岬に向かいました。
北海道の大自然やそこに住む人たちに感謝です。
今でもふと思い出し、元気でいるかな?と思います。
※画像はイメージです。
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