増毛町、廃線となったJR旧増毛駅から徒歩3分ほど、観光通りとなっている交差点にその店はありました。
1916年(大正5年)に創業されたという志満川(しまかわ)食堂。
4代にわたって営業を続け、3代目店主を務めたご主人の後、妻が4代目として店を引き継ぎました。
常連客から「かあちゃん」と呼ばれ親しまれていましたが、後継者が見つからなかったことに加え、店主自身の高齢化や原材料価格の高騰も重なり、2022年(令和4年)に閉店。
長年親しまれた店だけに、閉店を惜しむ声が多く聞かれました。
引き継いだのはフレンチシェフ
志満川食堂の味を引き継ぐために名乗りを上げたのが、フランス料理人の三國清三さん。
三國さんは増毛町で生まれ、15歳で料理人の道に入りました。
帝国ホテルで修業した後、駐スイス日本大使館の料理長を務め、フランスでも修業を重ね、帰国後は東京・四谷に「オテル・ドゥ・ミクニ」を開店。
フランス料理の料理人として国内外で活躍し、「世界のミクニ」と呼ばれるまでになりました。
その三國さんにとって、志満川食堂は単なる故郷の食堂ではありません。
子どもの頃から食べてきた思い出の味なのです。
閉店した志満川食堂を残したいという思いから、4代目店主だった「かあちゃん」に店の継承を申し出たところ、「三国さんがやってくれるのなら」と快諾を得たようです。
生まれ変わった食堂
こうして志満川食堂は、新たに「三國本家」として生まれ変わりました。
志満川食堂時代の看板を残し、店内は黒を基調とした壁など新しい内装を取り入れながらも、テーブルやイスなどが引き継がれ、昔ながらの食堂らしい雰囲気は残されています。
料理の開発では試作を重ね、志満川食堂の「かあちゃん」にも味見をしてもらい、復活した看板メニュー「かあさん醤油ラーメン」。
フレンチシェフらしい、追加トッピングの「フレンチチャーシュー」も用意されています。
ちょっと高いのですが、一見の価値はあると思えるほどの味です。
もう一つの看板となるのが、増毛産の甘エビを使った「増毛甘海老カレー」。
甘海老フライを添えたカレーで、「かあさん醤油ラーメン」と一緒に味わえるハーフ&ハーフも用意されています。
ボリュームはそこそこありますが、女性でもすんなり食べ切れる料だと思います。
増毛名産のタコを使った「三國タコザンギ」、「三國たこめし」、食後には「三國プリン」といった「三國」の名前が入ったメニューがあり、「三國本家」ならではの特徴があって、どれも美味しい。
三國本家
開店したばかりの頃に比べると、だいぶ落ち着いてきましたが、昼食時には行列ができることもあります。
席数は30席ほどと限られているため、時間に余裕を持って訪れるとよいでしょう。
昼のピークを避けるなら13~14時頃、夕方は15時半~17時半頃が比較的利用しやすい時間帯です。
「かあさん醤油ラーメン」は、志満川食堂から受け継いだ魚介系のあっさりした味わいが特徴。初めて訪れる人にも、なつかしい食堂の味を楽しめる一杯です。
冬期は休業となるため、営業期間中に増毛の観光と合わせて訪れるのが良いでしょう。


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