虎杖浜の海沿いに、アヨロ温泉があります。
海に溶け込むわけでもなく、逆に浮き上がるわけでもない、妙に中途半端な存在感の建物。
なんとも言えないグリーンの屋根に真っ赤な文字で「アヨロ」と「温泉マーク」の看板が際立ち、昭和の記憶をお持ちの方は懐かしさを感じるかもしれません。
今回の記事では、このアヨロ温泉について、入浴時の体感だけでなく、泉質の特徴やこの場所が持つ背景まで含めて見ていきます。
アヨロ温泉の成り立ち
アヨロ温泉がある虎杖浜周辺は、海沿いに集落が続く地域で、人々は古くから漁業とともに暮らしていました。
虎杖浜一帯は、かつて国道36号沿いに温泉開発が相次いだ地域のひとつです。
登別周辺から続く沿岸部では、昭和30〜40年代にかけてボーリングによる温泉掘削が進み、複数の温泉施設が点在する臨海温泉郷のようなエリアが広がっていました。
アヨロ温泉もその流れの中で誕生した施設で、昭和40年代の掘削によって温泉が湧出し、当初は旅館としての形を持っていましたが、建物の老朽化を経て、2010年に現在の日帰り入浴施設としてリニューアルオープン。
同時期に誕生した周辺の温泉施設が姿を変えたり消えていく中、アヨロ温泉は形を変えながら同じ場所で営業を続けています。
ちなみにアヨロという地名はアイヌ語に由来するとされています。周辺では「アヨロ遺跡」と呼ばれる遺跡の存在も確認されており、この地域にアイヌの営みがあったことは考古学的にも確かなようです。
アヨロ温泉を訪問
石でできたフクロウの像がおでむかえ、入口を抜けるとやけに広いロビーが広がっています。
リニューアル前は不思議なオブジェが沢山飾られ鬱蒼としていたらしく、その名残のようにいくつかのオブジェとガラスケースに木製の七福神が飾られています。
フロントは目立つ位置にありますが、実際の支払いは券売機で行う形式です。
初見だと一瞬とまどうかもしれません。
ちょっと面食らいつつお風呂へ向かいます。
浴室は大浴槽、高温湯と眠湯、ジャグジーの内風呂、露天風呂もありますが、周囲が囲まれているので景色はみえません、せいぜい見上げれば空が見えるぐらい。海沿いなのですが、位置的に眼の前が駐車場なので仕方ありません。
全体の印象としては、狭めかな。
泉質の特徴と美肌の湯
温泉の湯はアルカリ性単純温泉の100%源泉掛け流しです。
効能は神経痛や冷え性、疲労回復などなど。
実際に入ると、お湯は少し色がついているようですが、匂いや強い刺激は感じません。
使っているとじわじわと効果が上がってくるように思います。
個人的に大浴槽ぐらいの温度がちょうどよく、露天風呂へ行き来し、それぞれをゆっくり浸かるのが良さそうです。
湯上り後はしばらく体がぽかぽかし、肌がなめらかでつるっとした感触になるので「美肌の湯」と呼ばれるのは伊達ではないです。
こうした泉質の良さが口コミで広がり、近年は少しずつ知名度も上がってきました。
以前は地元の人が中心の落ち着いた雰囲気でしたが、最近は地方ナンバーの車も増えてきている印象です。
感じた魅力と楽しみ方
アヨロ温泉の一番の魅力は気軽にいいお湯に入れることです。
ただ、利用するうえでいくつか知っておきたいポイントもあります。
アメニティやタオルの貸し出しはないため、事前に準備していくのがおすすめ、洗い場の数も多くはないので、混雑時は譲り合いながら使うと気持ちよく過ごせます。
入浴後、無料の休憩スペースもあるのですが、食事をとってゆっくり過ごすなら有料休憩室がおすすめ。
そもそも安い料金ですが、最初に入浴料とセット券を買うとお得です。
入浴中、入浴後にも、また来たいと思える理由がちゃんとある温泉。
何度も通いたくなる魅力を感じます。


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