釧路フィッシャーマンズワーフMOO

釧路川沿いの岸壁に沿って長く伸びる、異様な存在感を放つ奇抜なデザインの建物があります。
それが「釧路フィッシャーマンズワーフMOO」なのです。

目次

釧路を象徴する存在

この施設、釧路フィッシャーマンズワーフMOOは1989年(平成元年)に開業しました。
設計は釧路出身の建築家、毛綱毅曠氏。いわゆる「奇才」と呼ばれるタイプで、地域モチーフをゴリ押しで建築に叩き込む作風、それゆえにタンチョウ、山、船、炭鉱、タンクのモチーフが全部ごちゃ混ぜ。

そして重要なのが、これは単なる商業施設ではない事です。
1980年代後半、日本がまだ浮かれていた時期に「ウォーターフロント開発」という流行があって、釧路でも河畔再開発の一環として構想され、行政・商工会議所・開発公社が絡んで作られました。
バブル期の地方再開発、観光+商業+公共機能の混合、地域アイデンティティを建物に直接刻み込む設計思想が押し込められた変な建物・・・、もとい、80年代日本が地方都市に夢を見て作った巨大な幻想の結晶です。

今となっては、これほどの箱を作るのは望んでも出来ません。
だからこそ、釧路の象徴だと言えるのです。

フィッシャーマンズワーフMOOを歩く

建物は5階建て、一階は商店が集中しています。
土産物店と飲食店が並び、海産物中心のラインナップが目立つので、釧路港に近い立地をそのまま商品構成に反映させているのでしょう。地元の人も利用しますが、どちらかと言えば、観光向けだと感じます。
隣接するガラスドームEGGは植物園のような雰囲気、散歩道がありちょっとした屋内公園です。

対して二階から上は明らかに性格が違っています。
飲食店はあるものの、展示や公共スペース、公共機関や企業オフィス、医療関連施設も入って、地域インフラに近い構成です。
釧路の市民生活をサポートすると同時に、釧路の文化や様々な情報を発信する役割も担っています。

私が特に気に入ったのは、二階で見付けた洒落たカフェ、ベイカフェ風車です。
カウンターの正面は外が見通せる窓になっていて、釧路川が眺められるようになっています。
飛び交うカモメを目で追いながらカプチーノなんて、最高の気分です。

MOOへの思い

この施設を調べていくと、当初から商業だけでは成立しないことを前提に建設されていることが分かります。
私は当初、バブル期に作られた他の施設と同様に、経済の停滞を想定できず、テナント不足を補うために後から行政機能を入れたものだと考えておりました。

しかし、観光と商業を中心とした複合施設として計画されている一方で、すでに開業当初から郵便局などの公共機関が入っていることから、商業が不調でも行政機能によって下支えする構造が前提となっていたといえます。
観光、行政、業務機能を重ねることで、いずれかが崩れても全体は維持される設計です。

バブル期に構想された華やかな外観とは裏腹に、その中身は極めて現実的。
人の流れに左右されず、街の機能として存続できる仕組みが組み込まれています。

そのため、この建物は現在も残り続けているのでしょう。
流行の中で生まれながら、流行そのものには依存していません。
奇抜に見えるのは外側だけで、中身はやけにしたたかです。

※画像はイメージです。

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