北海道南西部にある長万部町は、函館と札幌を結ぶ函館本線の途中にあり、室蘭本線が分かれる場所でもあります。
昔から列車の乗り換えや停車で人が行き交う、いわば“通り道”のような町です。
そんな土地で長く親しまれてきたのが、かなや本店の「かにめし」です。
戦後から続く、かなや本店のかにめし

長万部駅前に店を構えるかなや本店。かにめしが誕生したのは1947年です。
戦後まもなくの長万部は、函館本線と室蘭本線が分かれる乗り換え駅で、限られた停車時間の中で手早く食べられる弁当が求めらました。
そうした条件の中で形になったのが、現在のかにめしです。
ごはんの上に細かくほぐした蟹の身を均一に敷き詰め、味付けは強くしすぎない。具材も水分の出にくいものに限られています。
見た目の華やかさよりも、冷めても味が落ちにくて食べやすい。
結果として、ほとんど形を変えずに今でも続いています。
変えなかったというより、変える必要がなかったと言ったほうが近いかもしれませんね。
列車風なイートインでいただく

「自由席」と書かれた看板の先にあるのは、快速列車「海峡」で実際に使われていたリクライニングシートが並ぶ、列車をイメージしたイートインスペースがあります。
年季を感じますし、少し埃っぽさが気になるかもしれませんが、本物のシートから伝わってくる列車の雰囲気から旅情を感じます。
正面の大きなモニターには、前面展望の動画が流れ続け、鉄道が好きな人なら、この空間だけでも楽しめるはずです。
シートに座って、ふたを開けるとカニの香りがふわっと広がります。
ごはんの上には細かくほぐされた蟹の身がぎっしりと敷き詰められ、しいたけや錦糸卵、グリーンピースが控えめに彩りを添えています。

ご飯はやや水分が少なく、口に入れるとほぐれるというより、軽くまとまる感触です。
味付けも柔らかく、最初のひと口は少し物足りなく感じるかもしれませんが、食べ進めるうちに蟹の繊維がほどけて、遅れて旨味が出てくる感じ。
このじんわりとした味わいが、食べ終わったあとにしっかり残り、みかんの缶詰が口の中をリセットしてくれます。
長万部という場所と一緒に記憶に残るような、そんな一食です。
ごちそうさまでした。


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