増毛町を訪れたら、立ち寄りたいのが日本最北の酒蔵として知られる国稀酒造です。
創業以来、増毛の地で酒造りを続けてきた国稀。
店頭には日本酒が並び、酒蔵の建物や展示からは、長い歴史を感じられます。
お酒を選ぶ楽しみはもちろん、明治期から続く酒造りの歴史に触れられるのも、国稀を訪れる魅力です。
今回は、国稀酒造の歴史や酒蔵の見どころ、蔵元での買い物の楽しみ方をご紹介します。
日本最北の酒蔵、その始まり

創業者は、新潟県佐渡出身の本間泰蔵です。1873(明治6)年に小樽へ渡り、呉服商の番頭を務めた後、1875(明治8)年に増毛へ移りました。増毛では呉服商や荒物雑貨の販売、ニシン漁などに携わっています。
当時の増毛はニシン漁で栄え、漁場には多くの人が集まっていました。酒の需要も大きかった一方、北海道で流通する日本酒は本州から運ばれるものが多く、輸送費もかかりました。
本間泰蔵は、佐渡の酒屋から酒造りの知識を得ていたとされます。増毛で商売を続けるなか、酒造りにも取り組み、1882(明治15)年9月20日、増毛郡役所に醸造免許を申請しました。
現在の場所に酒蔵が建てられたのは、1902(明治35)年です。
創業から年月を重ねるなかで、増毛の地に酒造りの拠点が築かれていきました。
酒造りを支えているのは、暑寒別岳連峰を源とする伏流水。
増毛の自然に育まれた水と、長い年月にわたって受け継がれてきた酒造りが、国稀の味を支えています。
酒蔵には仕込み水を汲める場所があり、私も実際に持ち帰ったことがあります。
以前、その水でカップ麺を作ってみまると、いつもと同じラーメンなのに、水が違うだけでここまで味が変わるのかと思うほどおいしい。
酒造りには良い水が欠かせないということを、身をもって実感しました。
杉玉と暖簾、酒蔵に残る歴史

国稀酒造は日本酒だけではなく、明治、大正から続く建物や石蔵も、訪れた際にじっくり見てほしいところです。
入口に吊るされた大きな杉玉を見ると、酒蔵に来たという実感が湧いてくるのです。
杉の葉を丸く束ねた杉玉は「酒林」とも呼ばれ、酒蔵などで古くから使われてきました。
すぐそばには「酒」と大きく書かれた暖簾が掛かり、さらに酒蔵らしい雰囲気を感じさせます。
中へ入ると、少し薄暗く、夏でもひんやりとした空気が流れているようです。
長い年月のなか、使い込まれた室内の雰囲気から、ながい歴史を実感することになります。

施設内の資料室には、酒造りに使われてきた道具や酒器、昔のラベルなどが並んでいます。さらに、ニシン漁で使われた船も展示されており、酒蔵の歴史だけでなく、ニシン漁によって栄えた増毛の町の姿も見えてくるのです。
酒造りが行われている蔵の内部を見学できるので、ちょっとした博物館に来たかのように思えます。
増毛の歴史と酒造りの関係を知ることで、店頭に並ぶ日本酒の印象が違ってくるでしょう。
蔵元でしか出会えないもの

増毛町産の酒米「吟風」を使った銘柄や、地域限定の商品も造られています。
日本酒は種類が多く、詳しくないとどれを選べばいいのか迷うこともあります。
そんなときは、店員さんに好みを伝えて相談することもできますし、実際に試飲して選ぶこともできます。
全部の種類が試飲できる訳ではありませんが、味わってみれば、銘柄ごとの香りや味の違いも分かりやすく、自分の好みに合う一本を見つけやすくなります。
お酒のほかにも、酒に合いそうな食べ物が売られています。
私も試飲した酒の味を思い出しながら、「これなら合いそう」とあれこれ選びました。
家に帰ってから、買ってきた日本酒を飲みながら一緒に食べてみると、ときには思ったのと違うなんて事もあります。
酒だけでなく、合わせるものまで選んで帰れるのが面白いところですね。
増毛に来るたびに、寄りたくなる場所
お酒好きでなくても、日本最北の酒蔵として140年以上にわたり増毛で酒造りを続けてきた歴史や、昔ながらの酒蔵の雰囲気を感じることができます。
観光シーズンの日中は見学や買い物に訪れる人で混み合うこともあります。
日本酒をゆっくり選びたい場合は、夕方など比較的人の少ない時間帯か、冬の観光客が少ない時期をオススメします。
酒蔵見学や試飲の内容、実施状況は時期によって変更される場合がありますので、訪れる際は国稀酒造の公式サイトで最新の情報を確認してください。
増毛を訪れる機会があれば、酒を飲むためだけでなく、長く酒造りが続いてきた歴史を感じに、国稀酒造へ立ち寄ってみてください。


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