エゾクロテンは可愛いだけじゃない?森の冷酷なハンターの素顔

北海道の森林に住まうエゾクロテン。かれらは別名、「冷酷なハンター」の名で知られています。エゾクロテンの可愛らしい容姿からは想像できない、狩りの模様をお伝えします。
今回はそんなエゾクロテンの基本情報から、エゾクロテンの歴史、私たち人間との関わりについても解説していきます。章の最後には北海道でエゾクロテンに出会えるスポットもご紹介!最後までお付き合いいただけると幸いです。

息を呑むほど可愛いエゾクロテンって何者?

北海道の野生動物の中でもかなりの人気を誇るエゾクロテンの基本情報をご紹介します。まずはエゾクロテンのからだの特徴からみていきましょう。

※画像をお願いいたします。

からだの大きさ

以下は、エゾクロテンの成獣時の体長・体重です。

  • 体長 約 40~50cm
  • 体重 約 1~1.5㎏
  • 尻尾の長さ 約 10~15cm
  • 耳の長さ  約 3cm

体重の割合に対して、胴が長いのが印象的ですね。分類としてはネコ目イタチ科テン属です。エゾクロテンの毛色は手足や尻尾をのぞいて、全体的に淡い黄色や、茶色をしています。顔まわりが白っぽい個体が多いです。

また、冬毛と夏毛では色に若干の変化がみられます。

Tokumi, Copyrighted free use, via Wikimedia Commons

エゾクロテンはこんなものを食べています

エゾクロテンは雑食性です。主食は小型の動物や昆虫です。その他にも山ぶどうなどの果実を食べています。小型の動物はネズミや鳥類を狩ることが多いです。自分よりも大きなウサギなどの動物を捕食し、食べることもあるようです。エゾクロテンは可愛いだけでなく、勇敢な動物としてもその名を馳せています。

寿命

エゾクロテンの寿命は、約15年です。

どんなふうに鳴くの?

エゾクロテンは状況によって様々な鳴き声をします。なかでも威嚇する時には「ギャアーウギュギュ」と鳴きます。

エゾクロテンの分布と歴史

エゾクロテンは北海道の県央と、北の地域、また東の森林に生息しています。よく観察されるのは道北や道東が多いです。明治までは北海道全域に生息していたと言われています。

明治にはエゾクロテンの毛皮が乱獲されてました。乱獲の結果、エゾクロテンは絶滅危惧種となります。エゾクロテンの絶滅の危機を受けて、1920年の大正期から2022年の現在に至るまで、エゾクロテンの狩猟は禁止されています。現在、狩猟可能な動物は決められていますが、そのリストにエゾクロテンは含まれていません。

また、北海道の道央にはエゾクロテンと野生化した「ホンドテン」が生息しています。そのことから交雑の可能性が考えられます。この異形交配の背景から、純粋種(純血種)であるエゾクロテンの減少が心配されています。

エゾクロテンの生態を探る

エゾクロテンの生活様式を覗いてみましょう。エゾクロテンは、北海道の森林に生息しています。樹上で生活を送っている個体が多いです。
活動場所としては沢や川の付近があげられます。エゾクロテンは、樹木に出来た洞窟状の空間(穴)または、民家の建物の屋根裏や縁の下を住処としていることが多いです。

森林で生活しているエゾクロテンは冬眠をしません。一年中しかも、昼夜問わず、活動しています。かれらは警戒心が強く、周囲を見わたす際には二本の足で立つことがあります。

繁殖期を除いて基本的に単独で行動をしています。

可愛い顔をしていながら優秀なハンター・エゾクロテン

狩りとは無縁の可愛らしい表情をもつエゾクロテンですが、狩りは得意です。かれらは時として、自分よりも大きな獲物を狙うことがあります。しばしば獲物に定められる「エゾユキウサギ」もエゾクロテンより大きな動物です。

躯体の柔軟性に優れているエゾクロテンは、木登りが非常に上手く、自分のからだよりも細い木にも登ることが可能です。樹上では「エゾリス」を狩って捕食します。

またエゾクロテンは動物を食したあと、その動物の頭部を残すことで知られています。これは捕食した頭蓋骨が硬いことが要因とされています。

なんと、「キタキツネ」とケンカをするエゾクロテンの姿も確認されています。くりくりとした瞳のキュートなエゾクロテンからはとても想像できない、気性の激しい一面も兼ね備えているようです。こういったことから、エゾクロテンは「森に住まう冷酷なハンター」と呼ばれています。

アイヌ語では「カスペキラ」

エゾクロテンはアイヌの言葉で「カスペキラ」と呼ばれています。
カスペキラとは、「しゃもじを持って逃げる」という意味をもつ言葉です。これには、里におりてきたエゾクロテンが人間の物を持ち出して逃げたり、飼育動物に危害を与えたりといった事象が含まれています。

エゾクロテンは悪戯好きな動物でもあるみたいです。

なお、エゾクロテンと人間の問題は今でも続いています。物置を荒らされたり、エゾクロテンが飼料のはいった袋を破ったりしている、という報告もあります。

エゾクロテンの住む北海道に天敵がいないことや、悪戯好きな性格が関係しているようです。エゾクロテンによる被害を避けるためには、かれらの侵入経路を塞ぐことが重要といえます。エゾクロテンは、わずか3センチの隙間でも侵入可能です。対策は入念に行いましょう。

Tokumi, Copyrighted free use, via Wikimedia Commons

エゾクロテンを求めて エゾクロテンに会いに行く

いろいろな顔のエゾクロテンを知ることが出来ました。愛くるしく、かっこいいエゾクロテンに一度は会ってみたいものです。

さて北海道のどこへ行けば、エゾクロテンに会うことが出来るのでしょうか? 野生動物なので100パーセント会えるとは限りませんが、市街地での目撃情報もあります。

知床自然センター

また、エゾクロテンに確実に会いたいという方は北海道にある動物園を訪れてみることをおすすめします。エゾクロテンの他にもたくさんの動物に会うことができます。

北海道 釧路動物園

旭山動物園

さいごに

エゾクロテンは見た目が可愛いだけに、その裏側の表情や性格を知ることができて嬉しいです。その愛くるしい表情から、ついペットのような感覚をもってしまいます。が、エゾクロテンはれっきとした野生動物です。狩りをする時のかれらの表情は真剣そのもの。しっかりハンターの顔つきをしています。

さて、筆者は本州のテンを見たことがあります。
本州のテンは北海道のエゾクロテンと違って、顔全体が黒っぽく、どこか印象が違って見えます。これは非常におもしろいことです。

地域によって動物たちの毛の色だったり、体格だったり、または性格が異なることもあるわけで、これは、とても興味深いことです。そういった意味でも現地にしかいない野生動物というのは貴重です。

今回ご紹介いたしましたエゾクロテンとも、北海道の森林で会ってみたいです。触れることは無理でも、かれらの行動や生活を垣間見れるだけで価値があります。雪に囲まれたエゾクロテンの姿なんて可愛すぎて悶絶してしまいそうです。

本日も最後までお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。

※写真はイメージです。