旭川駅はただの駅ではないぞという話

北海道旭川市出身なので、幾度となくお世話になったJR旭川駅について書きたいと思います。
直近の訪問はことし8月ですので、その時の印象と高校生の頃(5年前くらい)の記憶を元に書きます。

動物園の街、あさひかわ。

動物園の街、あさひかわ。そんなの、1億回は聞いた。
旭山動物園。旭川動物園、あれ?旭川だっけ?市の名前が旭山?

道外の人だと、ひどい時には茫漠たる無人の大地に動物園以外は何もないと思っている。そのような旭川への無理解には辟易したが、旭山動物園が偉大すぎるので仕方のないことかもしれないと最近は思うことにしている。しかし旭川出身者、そして旭川を愛するものとしてここははっきりノーと言っておかなくてはならない。

私が本日紹介するのは、旭川に暮らす者、旭川を愛する者にとって常識中の常識。全市民の本拠地といっても過言ではない旭川駅である。

現駅舎は2012年にリニューアルオープンしたもので、木材の暖かさと金属・コンクリートの静謐な印象が混合するモダンな建築で、個人的には日本のあらゆる建築物の中でもかなり上位のcoolさだと思っている。

駅構内には、北海道出身の彫刻家・安田侃氏の手がけた「天秘」が静かに、されど堂々と鎮座している。驚くことに、触ることができる。誰でも無許可で、だ。その代わりといってはなんだが、作者や作品名を記したプレートの類はどこにもない。芸術品ながらに芸術品ぶらないのは好印象だ。

いよいよ完全無欠のこの世の楽園

2017年には併設のイオンモール旭川駅前店が開業し、旭川駅はいよいよ完全無欠のこの世の楽園となった。猫も杓子も今や駅前イオンである。行き交う人と車を眺めながらスタバで一服するのが乙だ。代表選手からマニアックなものまで一揃えの旭川土産も置いており、地元民ならず観光客にとっても大変ありがたい施設だ。

とはいえ、1日の乗降客数は5000人弱。これだけの大きさを持った近代的な駅が、である。朝夕は近隣自治体からの通勤・通学者がいるが、昼間の構内に人は決して多くない。冴え渡る空気の、がらんと広いモダン建築の中を、自分の足音だけを聞きながら歩くことが出来るのだ。すごいな、旭川駅。

旭川駅にとってのプロムナードに相当するのは言わずと知れた平和通買物公園である。1972年に設置された日本初の歩行者天国である、という豆知識で有名だが。実際に歩けば、昭和なノスタルジーと現代を生きる人の日常が同居するなんとも面白い光景が見られる。昔ながらの硬派な店と、誰にでも入りやすい新しめの店の割合は、体感半々くらい。

特筆したいのは、南口である。

しかし特筆したいのは、買物公園のある駅北口ではなく、南口である。

北口の華やかな印象とは真逆の、牧歌的な花壇と小川のガーデンテラスだ。老若男女、デートのカップル、犬の散歩、走り回る子供、本を読む人。ああ、昨年末にスターバックス北彩都店までオープンしたから、優雅なコーヒーブレイクまで捗ってしまう。

はて、ここは本当に日本だろうか?今は本当に21世紀だろうか?と疑いたくなるほど長閑な光景だ。旭川駅は道北の大都市・旭川の入り口であると同時に、その反対側には、都市に疲弊した現代人を癒す楽園への入り口も備えているのだ。

お分かり頂けましたか?

動物園だけが旭川でないこと、お分かり頂けましたか?
旭川はその玄関たる旭川駅そのものが、ここがどんな街であるかを控え目に、しかしとても豊かに物語っているのです。それがよーく分かったところで駅から旭山行きのシャトルバスに乗って下さい。なにせ旭川は動物園の街ですから。

末広
北海道旭川出身。現在、大学四年生。